第16話 勝手な人ばかりなのだが
何処だここは?
広くて白い部屋には魔法陣の描かれた円盤型の台が幾つもあって、俺達はそこに乗っていた。
台は恐らく転移魔法用の設定到着地点ってところか。
「えーと、ここは?」
「ノーストノーザ校の中よ?もう、あんな所で一人で居たら駄目じゃない?」
よ、よかったぁ。
予定してた最寄の、大陸最北端の町の学校だ。
そして駄目と言われてもねぇ・・・学校に着けたのだから感謝はしておきますか。
「助けて頂いてありがとうございます。ユウア・ノインハーミルと言います」
「え?あ、うん。私はリタよ。」
「リタさんは怖く無かったのですか」
「わ、私?私は・・・」
いきなり部屋のドアが激しく開かれ、話を遮った。
「こんの馬鹿がぁ!何回目だ。安易に転移魔法使ってんじゃねぇ!」
登場したのはスキンヘッドで目に縦傷のついた厳つい顎髭オッサン(ハゲ男・・・やめておこう。スキン男とでも呼ぼうか)。
マッチョ筋肉質だか、意外と小さい160cm後半位。
そしてあぁ痛そうな拳骨。
「しかもガキなんか連れてきやがって」
「うぅぅぅぅ、だってだって悪い人達に囲まれてたんだよ?逃げ道塞がれてたんだよ?震えてたんだよ?」
「ああ゛?だからって第一迷宮に唯のガキがいるわけねーだろ。小さい種族の血が濃い冒険者の可能性もあるだろうが(二発目)」
「あうっ、うぅ~。そ、そうだ。ユウアちゃん何歳?」
「えっ?今7歳で次の・・・」
「ほらっ、子供を保護したんですっ!」
何でどや顔なんですか。
そしてスキン男こっち睨まないで、その顔怖いです。
「何でてめぇガキ一人で迷宮なんかに居た?」
いやー言葉に怒気が含まれていて、恐ろしいです。
「学校を目指してて」
「いや、迷宮だよ?一人で?危なく・・・」
リタさんの言葉の途中に殺気を感じ、思わず飛び退いた。
少女もスキン男と距離を距離をとっていた。
「ははは、ガキにしちゃぁいい反応だ。迷宮を進んで来たってのは本当だろう。リタっ!こいつはお前よりもできそうだぜ。今回の転移魔法使用料金は俺が払ってやる。いい人材連れて来た駄賃だ」
「えっ、本当?教官ありがとえ?私より?本当にぃ?」
じと目で睨まないで、結構可愛いです。
にしても、びびった。
いきなり殺気なんて放つなっての。
で、話は終わったのかな。
「えーと、それで僕はどうすればいいのですか?」
「そうだな、まずは俺と手合わ「嫌です」ここでは駄目だな、ついて来い」
いや、入学まで後一季程なんですがどうすればいいですかって話です。
はぁー。
なんでこうも人の話を聞かない人ばっかりなんだ。
はぁー。
「あはは、あの教官戦闘狂だもん、仕方ないよ・・・これからまた扱かれると思うと・・・」
戦闘狂で鬼教官、そして人の話をスルーする。
ついて行くと、すぐ近くの部屋に入った。
中には大きめな台が一つあって、招かれて乗った。
「空いてるのは8か、闘技場8」
何だそのモンファンの集合場みたいな感じは。
スキンさんがそう言うと、壁に囲まれた闘技場みたいな所に出た。
広さはサッカーグラウンドくらいか。
「それではまず装備を着けろ」
「・・・」
使ったこと無い。
「ん?どうした?早く装着・・・ああ、習ってなきゃできんか。なら普通に着替えろ」
へ?装着と普通着替えってどう違うんだ?
「き、教官って変態、ロリコン!?女の子に目の前で着替えろ、なんて。最低ですっ!」
村に着く度女の子って言われて、毎回弁解するのは面倒臭くなったのでこれからはずっとスルーしていく予定だ。
決して得だからではない。
「・・・てめぇ明日からどんな訓練をさせようか、っと済まんな。外で待つから着替えたら呼べ」
「いや、装備って使ったこと無いです」
「はあ?」
「まあ始めましょう、スパークウェーブ」
「ちょっと待ぐわっ「きゃっ」」
ちょっとむしゃくしゃしてきたから、二人とも巻き込みました。
一方は痺れて動けない程度、もう片方は電気治療程度にしてあります。
ぶっちゃけ非殺傷程度なら魔法名無くても使えるが、魔法名無いと楽しくないって事で使っている。
「てめぇ、いい度「スパークウェーブ」がはっ、て、てめ「スパークウェーブ」がはっ、糞「スパークウェーブ」がはっ、ちょっ「スパークウェーブ」がはっ、やめ「スパークウェーブスパークウェーブスパークウェーブスパーク」・・・」
「・・・」
「い、意外と癖になるかも、そして鬼だね・・・」
リタさんは頬を赤らめながら起き上がり、スキン男を見てそう言った。
だって嫌だって言ったのに聞かない人が悪いです。
リタさんは仰向けに倒れてぴくついているスキン男に近づき、しゃがんで指で頬をつんつんしだした。
止めたほうがいい気が・・・
「む、朝か。マリア、おはよう」
さっきまでとは違い、無愛想だけど優しーい声でそう言って起きた。
そしてつんつんしている人と目が合う。
「・・・」
「・・・」
「くくっ」
「・・・」
「あ・・・あははははははっ、ひー、おかしー。む、朝か。マリア、おはよう。あはははははは」
俺の笑いに追従して、リタさん大笑いしだした。
思考停止中のスキン男。
今後の為に止めておいた方がいいのだが、笑いが止まらない。
「ふっ、貴様ら覚悟「スパー」(ピクッ)」
もう一笑い。
言葉だけで魔法は使っていない。
「ったく、厄介なガキだ。それとリタ!おま「スパー(byリタさん)」(ピクッ)・・・明日から覚悟しておけ」
笑ってる表情のままリタさん固まった。
「ところでだ。お前が強いのは分かった。だが冒険者でも無いのにどうやって迷宮内を過ごしていた?」
急に真面目な雰囲気になった?
「どうやってって普通に?」
「言い方を変えるか。ガキ一人で荷物も持ってない。・・・どうやってだ」
余り変わって無い気がする、言いたい事は分かるけど。
「それは・・・」
うーん、どうしようか。
母様のを引き継いだってのを言うべきかどうか迷う。
「まあ、大方親から引き継いだってところだろう。たまにいるからな」
いや、分かってるんなら質問するなっての。
「お母様からです」
「そうか・・・」
何だかしんみり。
「全く、ガキのくせして落ち着いてるし、魔法も呪文無し、これで近接も・・・」
話の途中で一瞬で俺に近づき、頭に向けて蹴りかかってきた。
蹴りはどうにか見えたので咄嗟にしゃがんだ。
だからぁ、不意打ちとかやめてくれ・・・。
「つ、次やったら魔法でいじ・・・反撃しますよ」
「ったくよぉ。必死に頑張って強くなったってのにガキに簡単に避けられるし笑われるし・・・。で、何だ、お前は学校に何の用だ?何しに来た?」
やさぐれました。
何の用って言われても、連れて来られただけです。
「あ、あのー、もしかしてあの時私の助け要らなかった・・・かな?」
「まぁ、正直。でも道に迷ってたし、丁度学校にも着けたので、結果的によかったです。ありがとうございます」
「そっか、やっぱり?そう。ごめんね。でも入学まで日があるから、連れて来た私が面倒を見るね?それくらいはしないと」
「リタっ!・・・本当にいい、のか?」
その含みは何かあるのか?あるんだろうねえ絶対。
「お金はあるので宿でも「駄目!」・・・」
「教官、私の部屋ベッド一つ空いてますから泊めてもいいですか?」
「妹はいいのか?」
「入学後の予定ですから。ついて来て」
「おいちょっと待て。ここで待ってろ。来賓用のカードを持って来る。学内を移動できんだろ」
「部屋に持って来て下さい。さっ、行きましょ?」
「ったく」
「・・・」
勝手に話が進んでおります。
俺の意志は一体何処へ・・・。