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魔法と異界と転生者  作者: 遊里
第1章 転生者
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閑話 私の願い・・・2

 リミットが近づいてくる中、寝る前にあの子の表情や雰囲気がいつもと変わっていた。

 ようやく・・・ようやく時が来たのだろう。

 この子と別れるのと重荷を背負わせるのは辛いが、ここまで来たら引き返せない。

 頑固な私のせいで、自身で悩むことになったのだが、やはり自分の決定は覆せない。

 すると、我が子の言葉に耳を疑った。


 は?転生?

 そして話の最後に我が子に告白された。

 ・・・って、えーーーーーーーーー?


「ふふふ、複雑ね・・・。息子が転生者で、私が好きで・・・」


 ど、どうにか隠せたかな。

 でも納得。


「確かに貴方から向けられる眼差しに男としてのそれを感じる時が何度かあったわね。体を拭いてもらっている時とか一緒に寝る時とかも、ね?」


 恥ずかしがってる、か・・・可愛いー。

 思わず頭を撫でた、真っ赤になった。

 もっと、もっと貴方の事が知りたい。


「名前・・・、教えて貰える?」


「今は・・・できません。全て終わらせてから・・・でいいですか?」


 残念、いや・・・これでいい、知れば知るほどこの子に惹かれてしまうだろうから。

 頭から熱が冷め、少し冷静になった。


「そう。でも前世の記憶があるなら、生活に不自由させたかしら?」


「お母様が居てくれたので全く思いませんでした」


 嬉しかった、でも意地悪して「本当に?」と返してみた。


「お、お風呂が無いのと料理が塩味のみなのは正直つらいですっ」


 本っ当に正直で優しくて・・・私は・・・この子の隣には絶対にいてはならない・・・


「正直ね、本当に・・・、私の・・・子供には勿体ないくらい・・・」


 反論できないよう何も考えることができなくなるほど、強く抱きしめた。


「私は貴方の母で、なのに商品として育てていて・・・、それでも貴方は・・・分かっていて私を好きでいてくれる・・・。でも私は・・・貴方の想いに応えることは・・・」


 できない。

 この子ならあいつを殺さずに奴隷解放を行えるだろうし、既に私の事も悟っているはずで、それでも好きだと言ってくれた。

 でもだからこそ・・・。




 夕方、あいつがもうすぐ来そうだ。

 あの子はどんな作戦を立てたのだろうか?


 在り得ないくらい単純だった・・・が、あいつも単純だった。


 「私を差し向けたらどうするのよっ!」と叫びたかったが、急がなければ、迷宮から出たあの子が私を直ぐに見つけられる場所へ・・・。

 早く会えなければ、最悪出会えずに死んでしまうかもしれない。



 待った時間はそれほど長くなく、体が痛み出したが、それからは、とてつもなく長く感じた


「早くっ」


 体が痛くなってきて焦った。

 確か主人が死んでから奴隷が死ぬまでは長くないはず。


 あの子が見えて、こちらに向かってくる。

 酷い頭痛がする頭を抱えたまま膝を突いた。


「終わった・・・のね・・・」


「どこか痛いのですかっ?何かあったのですかっ?」


 近づいたユウアを強く抱きしめた。

 この子は変に疑問を持って悩むし、手紙も残せなかったから、出来る限り答えておいた方がいい。

 うまく声が出せないし、出すのも辛い、でも、


「死ぬ時が・・・来たの」


「何で、何で母様が死なないとならないのですかっ?」


「言って・・・無いもの。奴隷の主人が・・・選べる選択肢・・・死んだ際苦痛を奴隷に与えて・・・殺せる」


「そんなの聞いてないですっ。何で言「貴方に言えば・・・叶わない・・・私の望み」」


 そう、言っていない。

 言えば叶わなくなる望みだったから・・・。


「っ!お母様は僕と一緒に居たくなかったのですか?」


「そんな訳ないっ」


 即答した。

 でも、貴方が私を思うほどに私は苦しくなって離れたくなるだろうから合っているのかも。


「ならっ「私は・・・貴方の未来に・・・居てはならないほど・・・」」


「それでも「うぐっ、」母様!?」


 強い痛みが走った。


「聞いてっ・・・私自身が・・・もう耐えられなかった・・・貴方の成長は・・・楽しみだった・・・けれど・・・決めた・・・貴方が普通の子供・・・じゃないと分かって・・・奴隷は自分から・・・死ねない・・・だから・・・それにもし・・・失敗したら・・・これまで以上に・・・これが昨日・・・貴方の想いに答えられなかった・・・理由・・・本当に昨日は・・・迷ったのよ?」


「母様・・・」


 この子に全てを押しつけることになるのは、辛かったが、それでも実行した。


 後は・・・


 抱きしめていたのを解いて、キスをした。

 私の魔力の全て・・・あげる、うまくいくは分からなかったけれど・・・。

 体から力が抜けていき、ユウアが体で受け止めてくれた。


 そう言えば名前・・・聞いて無かったなぁ、でもいいかぁ。


「ありがとう・・・貴方が私の子供で・・・良かっ・・・」


 本当に・・・


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