第4-1章
第四章 そして見えてきた世界
――ジリリリリリリ、
ん? あ、あぁ、目覚ましか。確かここら辺に置いておいたはずだ。そこだ! 届けこの想いと共に!
…朝っぱらから変なこと言ってすみませんでした。てか、このネタ前にもやったよな。別に毎朝こんなバカみたいなことをしているわけじゃないからね。
――ジリリリリリリ、
うるせぇな、早く止めよう。
カチ、
よし、止まった。
ちなみに目覚ましの位置は……これも前に言ったもんね、それじゃあ省略。
ベッドから生やした腕で、重たい瞼を擦りながら身体を起こす。
ボーっとしたままの頭を動かして、時計を確認してみると、時刻は7時半頃。そのままカレンダーに視線を移すと4月7日の日曜日。
休日、なのにもう起きてしまった。
うわぁ、何だか損した気分。せっかくの休日なんだから昼近くまで寝ると言う自堕落な生活を送りたかったのに、今までの癖で目覚ましをセットしてから寝たせいで、休日にしては早い起床となってしまいました。
どうしよう、二度寝でもしようかな?
そう思って再び横になってみたが、不思議と頭の中が冴えていて眠りにつくこともできなさそうだった。こうなってしまっては仕方がないので、二度寝を早々に諦め、乾いた喉を潤す為にキッチンへと向かうことにする。
階段を下り、居間へと降り立つ。流石に休日から早起きをするようなモノ好きはいないらしく、リビングの中はがらんどう。そのままキッチンに入り、食器棚の中からコップを一つ適当に取り、お茶を注ぎ入れる。
キッチンの中にも人っ子一人おらず、淋しい風景だった。やたらと大きい食卓テーブルには誰も座っておらず、椅子が綺麗に並べられているだけだった。
そんな風景の中で一つのものを見つけた。
食卓テーブルの上に何かが置かれていた。
一体何なのか気になり、ゆっくり近寄る。
そして、それが何だったのかがわかった。
一枚の紙、何か文字が記されただけの物。
『貴方に訪れる一つ目の選択。
もう、手が触れる程に近くにあるその運命。
選んだものは全て正解、起こることは全てが事実。
掴もうとしても零れていく陽光でも、
掬おうとしても揺らぐ水面の月でも、
認めたくないような事象が起きても、
それ達は皆、事実。
あなたが受け止め、これからも続いて行く定め。
そのために或る世界なのだから。
そのために居る貴方なのだから。
だから逃げないで立ち向かって。
貴方にしかできないことだから。』
え~っと、またこの手の物ですか?
と言う事はまた、例によって例の如く、この後に起こることって、あれですよね。
あぁ、うん、もうわかりましたんで、受け入れますよ。
と言う事で、不快感と共に意識が薄れていった。