入学偏---------9
ウヒャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッァlッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!
ランキングイッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!
昴は少し不満に思いつつも話を続ける月を見つめた。
「さっきも言ったように、私は国立風宮学園に新入生として入学しました。勿論、昨日もしっかりと入学式に出ましたし、《ウィード》の教室で……えぇと、お名前は?」
「今更……。僕の名前は黒爪昴。一緒にいたのは、えぇと。ごめん、本名は忘れちゃったけどとりあえずヒューズって覚えてくれればいいよ」
「そうですか、分かりました。じゃぁ、昴君とヒューズ君が教室で話していて先生に怒られているところも見ました。ちなみに、私は《ウィード》で同じクラスですし気づかなかったかもしれませんけど、昴君のすぐ近くの席なので仲良くしてください。
それで、私があそこに居た理由を簡潔に述べれば、このマンションの材質に興味があるからです。これからの勉強に役立てばいいなと思って調べてたんですけど、気が付いたらマンションを登っていたんです。暗くなってきたから帰ろうと思ったんですけど、良く考えたら私高所恐怖症だったので降りられなくなってしまって……。
それで、今日に至るんです。この部屋に住んでる人が起きなかったらどうしよう、私を見て泥棒だと思って通報したらどうしようと心配していたのですが、昴君で良かったです」
そう言うと、月は話し終えてスッキリとしたのか一息吐いて目を閉じた。その顔はとても、可愛くて昴は一時、月の言葉をあまり考えないで、月を見ていた。しかし、ふっと月が思い出したように昴の方を向くと、昴は慌てて眼を逸らした。
「? どうしました? 私の顔に何か?」
「い、いや。何でもないよ」
「そうですか。そういえば、私の制服に足跡がついてるんですが何か知りませんか?」
「さぁ?」
「そういえば、昨日蟻になった私が人間に踏み潰されたという夢を見たんですが、何か知りませんか?」
「さぁ?」
本当は思い当たることしか無かったのだが、昴はあえて白を切った。その顔には、嘘をついている動揺は全く無く、本当に知らないかのような顔をしていた。
というよりも、自分の夢を他人に尋ねても答えようが無い。
それを見て、月は完全に信じてしまったのか「そうですか……」と呟くと、立ち上がった。昴はそれにつられるようにして、月を見上げる。時間は、話をしている内に結構経ってしまったのか、いつも家を出る時間とほぼ同じだった。
「そろそろ行く?」
昴がそう声をかけると、月は一瞬思案顔になったがすぐに快諾した。
「そうですね。もう行きましょうか。そういえば、いいんですか?」
「何が?」
「いえ、私は貴方のお家に勝手に入ってしまったうえに、図々しくこんなにくつろいでしまって……」
月が少し不安そうな顔で昴を見つめた。しかし、昴はそれ自体は全くと言っていいほどに気にしていなかった。ベランダにいるだけで、部屋の中に侵入してきたわけではない。そもそも、ベランダから窓を破ってくるには、相当の実力が必要なので、ベランダも外もあんまり変わらなかった。
(それに、月はさっき確か言ってたはずだよね。このマンションの材質に興味があったって。どうやって、このマンションが特別な造りになっているのかを知ったのかは分からないけど、僕がここに入居した理由と似てるし)
「いいんだよ。勉強の為にこのマンションが役立つなら。僕も、そのつもりでこの部屋に入居したんだし。良かったら、また来る?」
「い、いいんですか!?」
何故かキラキラとした目で見つめられてしまった昴は少し照れながらも「うん」と頷いた。
――それから、昴は月をリビングで待たせておき急いで制服に着替えた。ちょっとした事だったが、制服についていた埃を綺麗に取っておいた。
昴は着替え終えて鞄を持つと、リビングで待っている月に話しかけた。
「じゃぁ、学校行こうか。それとも、別々で行く? 僕はどっちでもいいけど、どうせ同じクラスなんだし一緒に行かない?」
「あ、はい。ご一緒させて頂けるなら喜んで」
月はそういうと、昴に微笑みかけた。昴は、心の奥で喜びながらも表面上には出さずに、あくまで平然と「じゃ、行こうか」というと、月と一緒にマンションを出て行った――。