入学偏---------5
ウヒイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィェェェェェェェェェェェェェェエエエエエエエエエエエエエイイイィィィィィィィィィィィィイ!!!!!!!!!!!!!!
シャベッタアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!!!!!
昴とヒューズは二人揃って、素っ頓狂な声を上げて、顔を見合わせた。すぐにヒューズが源三郎の方に顔を向ける。
「ちょ、ちょっと待てよ。モブ爺、話が見えないぜ? 実践型のテストって何だよ。それに、俺と昴がタッグで出場だと? 詳しく説明しろよ」
ヒューズが意気込んで源三郎に詰め寄った。昴は、今源三郎から聞かされた言葉を頭の中で繰り返して再生させる。何処か癪だったが、話がいまいち掴めないと言うのはヒューズと同じだった。それもそのはず、いきなりズバズバと話を進められても着いていけない。
昴も、ヒューズほど突っかかりはしないが、少し訝しげに源三郎を見つめた。しかし、さっきとはうってかわって、源三郎はもう面倒臭いとでも言うように背中を向けた。そして、一つ大きな欠伸をした後は、何の反応も返ってこなかった。
「モブ爺!? 聞いてんのかよ?」
昴が源三郎に近付くと、静かに小さな音で、源三郎の寝息が聞こえた。
「……寝てる」
「こんにゃろおおおおおおお!!」
源三郎の態度にイラついたヒューズが拳を振り上げたが、昴がそれを制止した。本当に、今日何度目かも分からない溜息を零しながら。
「ヒューズ、いい加減にしろ。先生も言ってたでしょ? 詳しい事は、後日新入生向けに話をするって。なら、それまで待てばいいんだ。今とやかくやって、また目を付けられたらどうする? ここはあくまでも名門校。不祥事を起こしたら、全力で潰しにかかる。退学もありえるんだ」
昴がゆっくりと諭すようにそういうと、ヒューズは少し唸ってから振り上げた拳を降ろした。
「分かってもらえて、何よりだよ」
「ったく……昴に免じてこの場は治めるけどなぁ。お前も、あんまり我慢ばっかしてると、その内身体壊すぞ?」
「ご心配なく。別のことでストレスは発散してるから。ていうか、ヒューズは逆に我慢しなさすぎだから。思ったことを言うのはいいけれど、時と場所と相手を考えて行動した方が身のためだよ?」
「大丈夫、その時は昴が何とかしてくれるだろ?」
(他人任せかよ!)
昴は心の中で突っ込みを入れたが、口には出さなかった。昴はヒューズに声をかけて、職員室をそそくさと後にする。
その頃には、もう校内には目立った生徒の姿は無かった。昴は、初日からのハードスケジュールにほとほと疲れ果てていた。ヒューズは見た目どおり、体力があるのか昴と違って全く気疲れした様子が無い。
(いや、ただ単に能天気だったから周囲を気にしなかった分、僕みたいに疲れてないんだな……)
「昴、これからどうする?」
ヒューズが昴に話しかけた。昴は少し考えた後、ヒューズに手を振った。
「いや、今日は色々と疲れたし帰るよ。また明日」
「ん、そうか。じゃぁ、俺も特にやる事ないし帰るわ。じゃぁな、マイシスター」
「僕達はいつから兄弟に? ていうか、シスターじゃ女だし」
そう言った時には、ヒューズはもう既に靴を履き替えて外に出ていた。
すぐに終わるはずの初日が、気づけばあっという間に日が暮れてしまっている。ヒューズは、何となく感じる空しさを押し殺して、一人残された廊下で呟いた。
「あー――――帰るか……」