入学偏---------4
イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィイィィィィィィィィィイィィィィィィ!!!!
ヤフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「おっ来たか。問題児共」
早速問題児のレッテルを貼られてしまった昴は、げんなりした。こいつと関わらなければ良かったと、横で源三郎を睨みつけているヒューズを見る。だが、今更そうしたところでどうしようもない事は分かりきっていたので、やはり溜息を吐くしかなかった。
源三郎の『問題児』というキーワードに数人の教師が顔を上げ、二人を見ているのが昴には感じ取れた。入学早々そう言われるからには、よっぽどの事だろうという憶測を持っている教師は少なからずこの中に居た。
昴は自分のこれからの楽しいはずだった学園生活を思い浮かばせ、もう一度溜息を吐いた。
「……さよなら、僕の華の学園生活」
「おい昴?」
まるで席を吸い取られたかのような顔をしている昴に、ヒューズが心配そうな声をあげた。
「そう心配するな。それと、錦戸といったかな。いきなりチョークを投げたのはすまなかった。ただ、流石に初回のHRから、不真面目というのは関心しなかったからな。覚えておくと良いぞ。何事も初めだけは全力で頑張れ」
源三郎はそういうと、快活な笑いを上げた。
(それはつまり、最初以外は別に頑張ら無くても良いということなんじゃ……)
「おぉ! モブ爺、分かってるじゃないか! 自分から謝るとは良い度胸だなぁ。よっしゃ、俺も男だからな。いつまでも小さなことには拘らねぇ。許してやるよ」
「ヒューズ、先生に向かってそれは無いだろう……。っていうか、謝るのを良い度胸とは言わないよ……。後、モブ爺の名前で呼ぶのは僕みたいな友人の間か自分の心の中までにしておいた方が良いと思うよって、もう遅いか」
昴はチラッと源三郎を見たが、特に怒っている様子は無く愉快気に笑っている。
どうやら、心が広い教師だったようで、無礼極まりないヒューズに対してもある程度は許容範囲だったようだ。年配の威厳とでも言ったところだろうか、その笑いの裏には不思議な落ち着きが感じられた。
源三郎は一つ息をつくと、昴とひゅーずの両方を一瞥して話し出す。
「面白いな、お前達は。入学早々教師に喧嘩を売るとは余程の馬鹿か、はたまた天性の才能なのか……。まぁ、そんなものは追々分かるとしよう。……特に、黒爪昴」
一瞬、普段は閉じられている源三郎の目が怪しく光ったように昴は感じた。まるで、蛇に睨まれたかえるの気分だった。
しかし、昴はそのような感情は一切表に出さずに、あくまでも愛想笑いを続けていた。
「お? 俺は?」
昴だけが呼ばれたのが不満なのか、ヒューズが源三郎を問い詰める。
だが、源三郎はすぐに楽しそうに追い払うようにヒューズに手を振ると、
「お前は只の馬鹿だ」
「ぬぁぁぁあんだとおおお!? くそ、モブ爺! やってくれるじゃねぇか!」
ヒューズが大声で叫ぶ。その声にまた、他の教師達の注目が二人に集まった。昴は愛想笑いでどの先生にも機嫌を取っておく。
(はぁ……。多分僕って、損をするタイプだな)
「叫ぶな。耳に障る。さて、この馬鹿は放って置くとして。お前さんの方が、まだマシな気がするからお前さんに真面目な話をするぞ」
「まだマシ……。ヒューズと比べられるなんて……」
昴は心底心外だとでも言うように、顔に絶望の色を表した。ヒューズはと言えば、相変わらず昴の横で騒いでいるので、どうやら昴が言った言葉の意味をじっくりと考えている暇は無いらしい。
「とにかく、お前らの行為を黙って見逃すわけにはいかないからな。些細な罰だが、一応わしから二人に言い渡す。今度、新入生の間で実践型の実力テストをやる。内容は後日、新入生向けにわしから連絡するからいいとして、それに錦戸と黒爪のタッグで出場してもらう事にした」
「「は?」」