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白銀の流星  作者: 世捨人
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8話

ランと一緒に寮に戻ったルイスは自分の荷物を持って部屋に帰った。


「ただいまぁ~」


「おかえりルイス」


ルイスは荷物を整理しながらロンウッドに話しかけた。


「ロン、クラスのみんな寮にいるの?」


「ああ、行く所も金もないからな」


「んじゃ、みんな集めてよ。ランちゃんが剣を用意してくれたから選びに行こう」


ベッドでゴロゴロしていたロンウッドはガバッと起き上がりルイスに飛びついた。


「本当かっ?マジで用意してくれたのか?」


「ロン君、落ち着いて。本当だから」


「そっかぁぁぁぁ、じゃあ早速みんな集めてくるよ」


ロンウッドは大急ぎで部屋を飛び出して行った。




ルイスは、ロンウッドの呼びかけで集まった男子生徒を引き連れて女子寮の前まで行った。


「ラ~ンちゃぁ~ん、みんなきたよ~~~」


「ルイスっ!あんたは子供かっ」


と突っ込みを入れながら女子生徒達とランが出てきた。


「ちょっと男子、あそこの箱をこっちに持ってきてよ」


数人の男子が寮の前の広場に箱を運んだ。


「どれでも好きなの選んでいいわよ」


「本当にいいのか?」


「いいのいいの。どうせ倉庫にしまってあった物だから、遠慮しないで」


生徒達は早速箱を空け剣を手にとって見始めた。







ランは女子に、ルイスは男子に選び方を教えていた。


「女子~、レイピアを選んだら、ダガーも選ぶのよ」


「ランちゃん、なんで?」


「レイピアはダガーと2刀で使うことが多いからよ」




「ルイス~、このでっかいのはなんだ?」


「これはガリア君なら使えるかなぁ~って」


「あはははは、いくらなんでもでか過ぎるだろ」


「俺……持ってみる……」


ガリアは大剣を軽々と持ち上げ片手で振ってみた。


「これ……ちょうどいい……俺……これ……する」


「マジかよ~、すっげえな」




全員が選び終わり、残った物はしばらく寮に預かってもらい他に欲しい人がいなければ学院に寄付することにした。



「「「ランちゃん、ありがとう」」」


「お安い御用よ」


みんなでお礼を言い寮に帰って行った。





各自部屋に剣を置いた後、ルイスの部屋に集まってきたが人数が増えてきたので談話室に移動した。


「本当に助かったよ」


みんなが頷き口々に感謝を言葉にしていた。


「みんな、ちょっと大げさすぎだよ」


「それがな、今日みんなで町を見学がてら散策してきたんだ。

ソヴィエから留学してきたイシュアや4班のダンカンが剣を見たいっていうんで、みんなで武器屋に行ってみたら安い剣は全部売り切れてたんだ。

それも、そこら辺中の武器屋がだぜ」


「おかしいなぁ~、毎年この時期は新入生が買うからいっぱい仕入れてあるはずなんだけどなぁ~」


「それがな、どっかの貴族がまとめて買って行ったらしいんだ」


「ふう~ん、それでそんなに喜んでたの?」


みんな首を縦にふった。


「それに俺達が買うよりずっと立派な剣だしな」


「一応鍛造の剣だから、中級者でも問題ないくらいの剣だと思うよ」


「それじゃあ買ったら金貨2~3枚はいりそうだな」


「そんなもんじゃないかな」


「おいおい、それを何十本も……ランちゃんて金持ちのお嬢様なのか?」


「武術を教えてる家だから、生徒の人達が新しい剣買ったら古いのを置いてくんだって」


「へぇ~、それでも感謝感謝だな」





一方女子寮でもランから剣の手入れを教わりながら、別の話題で盛り上がっていた。


「ランちゃん、フランソワちゃんは一緒じゃなかったの?」


「うふふ、フランはね憧れの君と一緒に帰ってくるのよ」


「なになに、フランソワちゃんにそんな人がいるの?」


「頭が良くって武術も強くって、凄く優しいのよ」


「へぇ~~~~いいなぁ~~~」


「それでランちゃんはルイス君と二人っきりで帰ってきたの?」


「そこっ!誤解を招くようなことは言わない」


ランはからかった女子を指差しながら否定した。


「ルイスは幼馴染よ。今日は荷物持ちしてもらっただけ」


「でもルイス君も格好良いわよね~、白銀の長い髪、整った顔、そのうえ優しくって」


女子一同がうんうんと頷いた。


「でもルイスってお茶淹れるくらいしか能がないわよ」


「そのお茶がおいしいのよねぇ~、それにマリアさんのお菓子があれば最高!」


「なによそれ。結局美味しいもの食べたいだけじゃない」


   あははははは






同じ頃、王都の高級レストランで5人の少年少女が集まっていた。


「なんで俺達のクラスには平民ばかりなんだ」


「キャメルさんが言うとおりだよね、他のクラスは貴族と平民が半々だからね」


「少しマシなのはリンダとかマリアとかいう留学生くらいかしら」


「それでも商人の娘かなんかだろう?貴族だったら平民達と仲良くなんかしないぞ」


「そうでしょうね。わたくし達のような高貴な生まれとは違うわね」


「他のクラスも貴族といっても男爵家が殆どでしょ?」


「ああ、男子は18人が男爵家、5人が子爵家、伯爵家は俺だけだ」


「女子も同じようなものよ。男爵家が17、子爵家が3、伯爵家はわたくしだけですわ」


「キャメルさんとドロシーさんがまとめてくださらないと困りますよ」


「それは俺達上位貴族の務めだからな」


「それにしてもクラス委員をアミダくじで決めるなんて、ふざけてますわ」


「それもあるが、一番頭にきたのは掃除のことだ」


「そうですわよね。わたくし達貴族に掃除をしろとは何たる侮辱」


「生意気にも断ったルイスとかいう奴は許しておけん」


「キャメルさん、あいつが平民の中心でまとめてるようですよ」


「女子はフランソワっていうのも忌々しいけど、一番はランとかいう騒がしい女ね」


「あいつらに対して何か手は打ってありますの?」


「ああ、とりあえずは平民共に剣が手に入らないようにしておいた」


「どうやったの?」


「なに単純さ、王都中の武具屋の安物を買い占めただけさ。

奴らが武術の授業で困ったところで恩をきせて売ってやるのさ」


「おほほほほ、さすが知略のデロリアン伯爵家ですわね」


「これで大半の平民は言うこと聞くようになるはずだ」

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