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白銀の流星  作者: 世捨人
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41話

夏休み前の試験が始まり、学院内はいつもよりざわついた雰囲気になっていた。


新入生の学科試験は数学や歴史、外国語等の14教科、実技が体術、武術、魔術の3教科である。


ルイス達のように実績で実技を免除された場合は満点が与えられ、リンダのように治癒師の判断で免除された場合は点数が与えられないが落第の審査にも加えられないことになっている。


成績の発表は学科の総合得点と実技は別々に発表され、総合評価とは別に発表されることになっている。


成績発表は試験翌週に全校生徒分が職員室前に張り出されることになっているので、生徒達は必死になっているのである。


試験は順調に進み、最終日には生徒達の疲労もピークに達していた。


最後の科目である魔術の実技の為、新入生は全員運動場に集合していた。


「ルイス~やっと終わりだぁぁぁぁ」


ロンウッドはルイスの肩を抱きながら雄叫びをあげていた。


「ロン君、練習通りやれば魔術も大丈夫だから頑張ってね~」


「おお、さんざん練習したからな」





「しゅうごぉ~~~」


魔術の担当教師アネットの声に脱力しながら生徒達は整列した。


「それでは今から魔術の実技試験を始めます。

なんでもいいから魔術を発動すれば合格よ~。

リンダちゃんは私を手伝ってね」


「「はぁ~い」」


生徒達は順番に小さな火を灯す者、団扇で扇いだ程度の風を起こす者など、比較的安全な魔術が続いていたが、キャメルが自信満々の顔で空に向かって火球を放ったのがきっかけでラン達の闘争心に火がついてしまった。


フランソワは旋風を巻き起こし、マリアは真空の刃で運動場にあった木を切断してしまった。


「ルイス、あっちで立って」


ランの言葉に従いルイスは人気の無い場所に立ち、何すんのかなぁ~等と暢気に考えていたら巨大な火球が飛んできた。


ルイスは慌てて障壁を作り火球を空に弾いた。


「あっぶないな~ランちゃん、僕なんかしたかな?」


「あ~~~~すっきりしたぁ~、ストレス溜まってたのよねぇ~」


「え~~っとストレスの発散の為だけに僕を標的に?」


「ルイスなら大丈夫でしょ。事実全く無傷だし」


ルイスはがっくりと肩を落とし皆のところに帰っていった。


「はぁ~い。これで全員終了ね、新入生全員ごうかぁ~く」


「「やったぁぁぁぁ」」


「ランちゃん、マリアちゃん、フランソワちゃん、ルイス君は次回から実技免除ね。

貴方達はもう魔術士レベルだから学院で教えることは無いわ。

それからランちゃん、魔術を人に向けるのはルイス君だけにしときなさいよ」


「はぁ~い」


「先生、僕にはいいんですか?」


「だって大丈夫でしょ。咄嗟にあれだけの障壁を張れるだけでも凄いのに火球の反射先まで計算してたでしょ?」


「まあ、そうしないと危険だから……」


「ということで試験は全科目終了でぇ~す。来週の成績発表楽しみにしててねぇ~」


「「うえぇぇぇぇ」」





試験が終わりルイス達は久しぶりに学院のオープンテラスで集まっていた。


「あ~~~いたいた」


「どうしたのイシュアちゃん」


「伯父さんがね、建物が出来たから一度見に来て欲しいっていってるのよ」


「それは構わないけど、僕が見たってわかんないよ」


イシュアとルイスの会話にフランソワが興味深そうに問いかけた。


「イシュアちゃん、どんな売り場になるの?」


「え~とね、1階はルイスブレンドのティーサロンでしょ。

2階がグランディア、3階がソヴィエ、4階がシンカ、5階がVIP専用かな」


「なんかそれって交流館って感じじゃないわね」


ランがボソッと呟いた。


「ランちゃん、どういうこと?」


「別々の売り場じゃ比較しにくいでしょ?

例えば私達が服を選ぶときに同じ階にそれぞれの商品があったほうが面白くない?」


「あら、それ面白いわね。ローレンシアの服にグランディアの装飾品を合わせてみるとか」


マリアも興味津々で話に参入してきた。


「新しい着こなしが生まれるかもしれませんわね」


「でしょでしょ~」


「それぞれの物を売るより、良い物を組み合わせるのは良いね」


「ルイス君もそう思う?」


「そうだね。ランちゃん達の防具のようにローレンシアのデザインにシンカの技術を組み合わせた物のほうが交流って感じがするよね」


「そうでしょ。新しい発想が生まれる可能性があるもんね」


指を唇にあてて考えこんでいたリンダが一言呟いた。


「新しい組合せ……各国のお菓子を組み合わせて新しいお菓子とか?」


女子全員の動きが止まった。


「そ・それいいわねぇ~~~~」


「そんなお菓子ができるか楽しみだわぁ~」


「リンダちゃん、それってルイスブレンドでやれってこと?」


「「ルイス(君)、なにかご不満でも?」」


「い・いや……調理人に伝えとくよ……」


ルイスは女性陣の刺すような視線に了承するしかなかった。


「まあ、僕達だけじゃ決めれないから皆でパトリックさんに話してみない?」


「それもそうね」


「ねえイシュアちゃん、もう商品は入ってるの?」


「見本程度なら見れるわよ」


「じゃあ、ついでに服を組み合わせてみない?」


「「さんせ~~~」」


「じゃあ、これからパトリックさんに会いに行く?」


「もちろんよ」






全員帰宅する用意の為一旦寮に帰り、女子寮の前に集合することにした。


「ランちゃぁ~ん、用意できたぁ~?」


「ルイス、その恥ずかしいお迎えはやめてよ。子供じゃないんだから」


「ほんと二人は仲がいいわね」


マリア達は笑いながらルイスとランを見た。


「そうそう、ルイス君夏休みは忙しいの?」


「何かあるの?マリアさん」


「ランちゃん達には話したんだけど、みなさんでグランディアに遊びに来られないかなって」


「それは私的な訪問ってことでいいのかな?」


「ええ、もちろん私的ですわ。公用だと楽しんでいただけませんから」


「それなら喜んで行かせてもらうよ。グランディア特産の薬草にも興味あるし」


「ルイス、あんたの頭の中は薬草のことしかないの?」


「そんなことないよ~ちゃんと他のことも考えてるよ~」


「たとえば?」


「新しいお茶とか……」


「やっぱり薬草関係じゃない」


みんなでルイスを笑いルーベシア商会に向けて歩きはじめた。


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