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白銀の流星  作者: 世捨人
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38話

週明けの学院では全校集会が開かれ、騎士団対抗戦での快挙が報告された。


ルイス達は今まで話したことも無い生徒達から声をかけられたり、ルイス達を間近で見ようと教室を覗きにくる生徒達で落ち着かない日々を過ごしていた。


「なあルイス、凄い人気だな」


「ごめんねロン君、騒がせちゃって」


「まあしょうがないさ、学院の新ヒーローだもんな」


「もうすぐ試験だっていうのにね」


「あ~~~~嫌な事思い出させないでくれぇ~~~」


頭を抱えるロンウッドに周囲から笑いが巻き起こった。


「あ~うるさいわね~」


いら立ったランの声が響いた。


「ランちゃんどうしたの?」


「フラン達に教わって学科の目途は立ったけど、魔術の実技が全然ダメなのよ」


「リンダちゃんに習えば?」


「もう習ったわよ。それでも全然ダメなのよ」


ランとルイスの会話にリンダも入ってきた。


「わたくしの魔術は治癒魔術が主だからランちゃんとは相性が悪いみたいなの」


「私が治癒魔術なんて出来るわけないじゃない」


「そうだね。ランちゃんは壊すの専門だから……」


周りで見ていたマリア達が思わず頷いて笑いをもらし、ランは真っ赤な顔でルイスに蹴りを入れた。


「失礼ね。誰が壊すの専門なのよ!」


「あいたたた」


ルイスは自分で回復魔術をかけ瞬時に立ち直った。


「あれ?ルイス、回復魔術使えるの?」


「使えるよ。試合の時も自分でやってたし」


「他にも何か使えるの?」


「攻撃魔術、防御魔術、治癒魔術一応使えるよ」


「私に教えなさい」


「それは構わないよ。でも学院壊さないでね」


「壊すわけないでしょ」


「じゃあ、朝の練習の時にでも教えてあげるよ」


ルイスは自分の席に戻ろうと振り返ると、ロンウッドやロビン達がニコニコ笑いながら話しかけてきた。


「ルイス、俺達も良いか?」


クラス中の者が自分を指差しニコニコしていた。


ルイスはハァと溜息をつき頷いた。


「リンダちゃん、フランちゃん、マリアさん手伝ってね」




翌朝、恒例となった朝の練習で一通り型の練習を行った後、魔術の練習となった。


「魔術の実技テストってどんな内容だったっけ」


「ルイス、あんたそんなことも知らないの?」


「全然気にして無かったよ」


「何でもいいから一つ魔術を使えればいいのよ」


「それならランちゃんは身体強化できるじゃない」


「そうじゃなくって、外に向かって放出する魔術よ」


「こんなんでいいの?」


とルイスは手のひらの上に小さな火を灯した。


「そう、それでいいわ」


「それじゃあ、目を閉じて身体の中の魔力に集中して」


ランは言われた通り目を閉じ意識を集中していった。


「魔力を感じたら手のひらに集めて、魔力が火になるようにイメージするんだ」


「なんか手のひらが温かくなってきた」


「その魔力に周りから魔力が集まってくるようにイメージしてごらん」


    ゴオオオオォォォォ


ランの手のひらから猛烈な火柱があがり周囲を驚かせた。


「ランちゃん、どんなイメージしたんだよ」


「凄いですわぁ~」


「さすがランちゃん」


呆気にとられたランは口をパクパクさせて驚いていた。


「い・いまの私がやったの?」


「そうだよ、絶対人に向けちゃだめだよ」


ランはコクコクと頷き再度意識を集中して今度は小さな火を灯した。


「おお~~~~できたぁ~~~~~」


リンダがランの魔術を見て拍手をしながら笑っていた。


「わたくし達がいくら教えてもダメだったのに、ルーちゃんが教えたらすぐできるんだねぇ~」


「今までどんな練習してたの?」


「治癒魔術とかぁ~風の障壁とかぁ~」


「そりゃ無理だよ、ランちゃんの属性は火だもん」


「そっかぁ~忘れてたよぉ~」


「それにランちゃんなら精霊から教えて貰う事もできたんじゃないの?」


「そりゃあルーちゃんに教えてもらいたいからに決まってるじゃない」


「ちょっとリンダちゃん、何勝手なこと言ってるのよっ」


真っ赤な顔で文句を言うランを尻目にルイスはロンウッド達の指導に向かった。




「まず授業でやった魔力を感じるってとこはできるの?」


「それはなんとなく」


「じゃあ目を閉じて、身体の中に意識を集中して魔力を感じて」


ロンウッド達は目を閉じ意識を集中していった。


「お臍のしたあたりに何かを感じれる?」


「ああ」


「それに意識を集中した後で身体全体に行き渡るようにイメージして」


「難しいな」


「血液のように身体を流れていくように」


「なんか身体が温かくなってきたぞ」


「その状態が武術で使う身体強化の状態だよ」


「おお~~すげぇ~~力が沸いてくるみたいだ」


「今日はここまで、その状態を直ぐにできるように練習してね」


ロンウッドはその状態のまま動こうとしたが、身体強化は解除されてしまった。


「あれれ、動こうとしたら力が出なくなっちゃった」


「動くことに意識がいったから、魔力が分散したんだね」


「意識し続けなきゃできないのか?」


「慣れればそれほど意識しなくても出来るようになるよ。

まずは身体を慣らさなきゃいけないけどね」


「そっか、俺達でも魔術使えるようになるのか?」


「強力なのは無理だけど、簡単な魔術なら使えるようになると思うよ」


「やっぱり強力なのは無理かぁ~」


「魔力の大きさは個人差があるからね。無理すると身体が壊れちゃうよ」


「魔術使って死にましたなんて洒落になんねえぜ」


「神話でもフローリア様が魔力を放出しすぎて身体が崩壊しそうになったってあるだろ」


「そうだな。英雄でもそうなっちゃうんだから、俺達一般人じゃ無理もないな」


「そういうこと」


「俺達の属性って何だろう?」


「ロン君とロビン君は地だね。ピーター君は水かな」


「農業向きの属性だな」


「いろいろ便利そうだね」


「俺が火を使えたって焼畑くらいにしか使い道がないからな」


「あはははは、そうかもね」



その後も他の生徒にも指導をして、全員が魔力を感じ取ることができるまでになった。

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