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白銀の流星  作者: 世捨人
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35話

個人戦もロイが苦戦の末勝利を収め、全員が準決勝に進出した。


これで個人戦の優勝から4位まで学院が独占することになり、学院のメンバー全員が大喜びした。


「これで団体戦も優勝したら完全制覇だぞ」


「先生、うかれすぎです」




団体戦の準決勝の試合場に元気一杯のラン達が上がり、大将レイラを中心に据えたオーソドックスな陣形で構えた。


相手のエルザリア騎士団も同様の陣形をとり隙のない構えで試合開始を待った。


「お前ら、これ以上学院に美味しいとこを持っていかれるんじゃないぞ」


「「おおっ」」




「はじめっ」


合図と共にラン達は正面にいる相手に踊りかかった。


互角の勝負を繰り広げる中、均衡を破ったのはマリアだった。


相手の意識が剣に集中しているのを見極め、側頭部に回し蹴りを叩き込み意識を刈り取ると直ぐに苦戦しているフランソワの援護に回った。


その間にランが相手を討ち取りタニアの援護に回り一気に討ち取ってしまった。


ランとタニア、レイラが敵の大将と囲み一気に攻め立ててる間に、敵を討ち取ったフランソワとマリアも合流し5人で取り囲んだところで敵の大将は両手をあげ試合終了となった。


「ラン様、まいりました」


「帰ったら叔父様に怒られますね」


「ここまできたら是非レジアス騎士団も倒して優勝してください」


「ありがとう、がんばるわ」


「レジアス騎士団も道連れで怒られなきゃ割りがあいません、あははは」






ラン達が控えの席に戻りリンダに回復魔術をかけて貰っているうちに、個人戦の準決勝が始まった。


開始の声と共にハンスとビクターは猛烈な勢いで打ち合いを始め、一進一退の攻防を繰り広げた。


互いに手の内を知り尽くし、相手の癖も知り尽くしているがうえに決定打を与えることができず長期戦になっていった。


ビクターはルイスの助言通り焦らずじっくりと攻め、ハンスも強引な攻めはせず堅実な攻めを展開していた。


両者共に息が上がり始めた頃、一瞬ビクターの気が揺らいだのをハンスが見逃さず突きを決め勝利を手にした。


「ハァハァ……くそっ……」


「ハァハァ……負けられんからな」


会場から惜しみない拍手が巻き起こり、二人は手を振って観客に答え試合場を降りた。





入れ違いに試合場に上がったルイスとロイは軽く身体を動かし構えをとった。


「ルイス君、遠慮なくいかせてもらうよ」


「ロイ先輩、思いっきりいきますよ~」





開始の声と同時にロイが大剣を振りおろし、ルイスは後方に下がって躱したが大剣は無理やり軌道を変えさらにルイスを追った。


ルイスは大剣に自分の剣を添え、その反動を利用してロイに斬りこむがロイは剣の柄で防いでしまった。


ロイはそのまま力づくでルイスを吹き飛ばし、大剣を横薙ぎに振るった。


ルイスは屈んで躱し一気に懐に飛び込んだ。


ロイは大剣を切り返しルイスに振るったが、ルイスは力強く地面を蹴り大剣を下から上に弾き、がら空きになった胴に剣を振りぬいた。


「それまでっ」


「やっぱり敵わなかったな」


「ロイ先輩、腕力に頼りすぎですって」


「あははは、決勝がんばれよ」


「はい」


会場からの拍手に手を振って答えルイスとロイは控え席に戻った。




少し疲れた顔で座り込んだルイスにアネットが回復魔術をかけてくれた。


「ルイス君、大丈夫?」


「はい、決勝まで少しは休めますから」


「兄弟対決頑張ってね」


「全力で戦うだけです」




団体戦の3位決定戦はエルザリア騎士団が圧倒的な強さで勝ち、個人戦の3位決定戦はビクターのスピードに終始ロイが振り回されビクターが勝利を収めた。




緊張した面持ちのラン達が試合場に上がり、いよいよ団体戦の決勝である。


「ラン様、手加減はしませんよ」


「手加減なんてしたらクビにするわよ」



ラン達は準決勝と同じ陣形をとり、レジアス騎士団も同じ陣形で試合がはじまった。


エルザリア戦と同様に前衛同士のぶつかり合いがはじまったが、レジアス騎士団の大将は前衛戦を横目にレイラに狙いを定めて挑みかかってきた。


「やるわよっ」


ランの声に全員の動きが変わった。


タニアとマリアは精霊武術の風の技から本来のグランディア武術に戦法を変え、ラン、フランソワ、レイラは自身の技に水の技を加えていったのだ。


戸惑ったレジアス騎士団は次々と討たれ、最後に残った大将もレイラの餌食となってしまった。


観客席から大歓声があがり、ラン達は抱き合って喜んだ。


項垂れているレジアス騎士団に向かってランが言葉を投げかけた。


「手の内を知っているということは有利ではあるけれど思い込みも生まれるっていうことなの。

戦う時には先入観を無くして冷静に対応することを忘れないでね」


「「はい」」


選手控え席に戻ったラン達にリンダが飛びつき喜びの涙を流していた。






観客席の上部にある貴賓席の中でランの父ヴェルヘルムは複雑な顔で呟いた。


「娘の勝利に喜んで良いのか、騎士団の負けを嘆いて良いのか……」


ルイスの父マックスが声をかけた。


「素直に娘の勝利を喜べば良いんだよ」


「そうなのか?」


「ああ、情けない騎士団には地獄の特訓を受けてもらえば良い」


「それもそうだな。お前のところも負けちまったからな」


「帰ったらお仕置きだぁぁぁ」

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