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白銀の流星  作者: 世捨人
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20話

翌朝、いつものように夜明け前からルイスは運動場で武術の練習をしていた。


「ルーちゃん、おはよ~」


「ノームちゃん、おはよ~」


地面からひょっこり顔をだしたノームにルイスは答えた。


「ルーちゃんの剣できたよ~」


ノームはルイスに剣を差し出し胸を張った。


みすぼらしかった外装は金色に変わり、柄や鞘には輝く石がはめ込まれていた。


「すごいね~、うちにある剣より派手になっちゃったね」


「鞘と柄の表面は神龍アレクの鱗で覆って、柄には精霊石と魔力石、鞘の部分は余ってた石を付けてみたんだよ」


ルイスは剣を抜いて刀身をみたが、見事に研ぎあがっていた。


「刀身は打ち直して、神様達に力を込めなおしてもらったんだよ」


ルイスが刀身を見直すと、4つの紋章が刻まれていた。


ルイスは軽く剣を振ってみて、あまりの軽さに驚いた。


「すっごく軽いや」


「それはルーちゃんが剣に選ばれてるからだよ。

他の人じゃ重くて持てないよ」


「へぇ~、でもこんな派手な剣持ってたら目立っちゃうね」


「剣に命令すると、どこにあっても直ぐ手元に来るから別に持って歩かなくても大丈夫だよ」


「使った後、返すことはできないの?」


「それも剣に命じればできるよ」


ルイスは剣に自宅の部屋に帰るよう命じてみると、剣は姿を消した。


「おお~~~~便利だね~」


「明日から、サラマンダーが教えにくるから使い方勉強してね~」


「うん、ありがとう」


「んじゃ、ばいばい」


とノームは地中に姿を消した。





クラスメイト達との練習を終えた後、朝食を採り教室に入ったルイス達に以外な人物から声がかかった。


「おはようございます」


「キャメル君、おはよ~」


ロンウッド達は怪訝な顔をしながらもキャメルに挨拶をした。


「ルイス、あいつらどうしたんだ?」


「ああ、夜会で仲良くなったんだよ」


「なんか気持ちわるいが、仲良くなるにこしたことはないな」


教室をみわたすとドロシー達もラン達に挨拶をして普通に話していた。


朝のHRで担任のガーランドから夜会の報告があり、次回は自分達も呼ばれるように頑張れと発破をかけて立ち去っていった。




午前中の授業が終わり、ルイスは大学部の教室近くにいたハンスとビクターと共に昼食をとった。


昨日パトリック達と話した内容をハンスに話し、ルイスブレンドとしての出資可能な金額を試算してもらうためだった。


「それにしても母上達にも困ったもんだな」


「まさか俺の母上まで……」


ビクターは肩をおとし情けない顔をしていた。


「ビクター兄さん、一番乗り気だったのが伯母上だったそうですよ」


「あはははは」


ビクターは乾いた笑い声をだしてテーブルに突っ伏した。


「ルイス、資金は店の1軒や2軒建てるくらいは大丈夫だぞ」


「ありがとう兄さん。これでパトリックさんも安心だね」


「それよりも薬草の増産のほうが大変なんだ。

下手に薬草を買い上げるようなことをすれば、森の薬草を乱獲される恐れがあるからな」


「それはまずいですね」


「それに薬草なんて栽培方法を知らない農家が殆どだからな」


「おいルイス、なんか良い方法はないのか?」


ビクターはルイスに問いかけた。


「農業を選択してる生徒達に栽培方法を教えるってのは?」


「それだと卒業まで時間がかかるじゃないか」


「でも夏休みには家に帰るんじゃないの?」


「ん?そう言われればそうだな」


「薬草学の先生に薬草の自生地域を聞いて、自分の出身地に合う薬草を選択すれば覚えることも少なくてすむよ」


「穀物の収穫が難い地域には良い収入になるかもしれんな」


「あとは学院の教諭や研究所に頼んでみるしかないけど、それは兄さん達でやってね」


「ああ、わかってるよ。父上達から研究所や学院に働きかけてもらうようにする」


「それにしても大きな事業になっちまったな」


「そうですね、ビクター兄さん。マリアさんが留学してくれたお陰ですね」


「ビクター、マリアさんとの縁談も真面目に考えなよ」


「おいおい、相手はまだ15歳だぞ。今は学院生活を楽しんでもらえばいいんじゃないか?」


「それはビクターに異存はないということで良いのかな?」


ニヤニヤしながらハンスはビクターをからかった。


「兄さんもフランちゃんとのこと考えなきゃね」


「ルイス、なんでそうなる!お前こそランとのこと真面目に考えろよ」


「兄さんとビクター兄さんが決めたら僕も考えるよ。

二人は夜会でも令嬢達のターゲットだからね」


ルイスの返答に二人は撃沈した。






その日の夕食時、学院内にあるレストランでルイス達1班の面々は夕食をとることにした。


「夕食をみんなで食べるのは珍しいね」


「寮のご飯も美味しいけど、たまには違った雰囲気もいいわね」


みんなメニューを見ながらワイワイと話していた。


「相席いいかな?」


ランが顔をあげるとハンスとビクターが立っていた。


「ハンスさん、ビクター…さん。どうぞどうぞ」


危うく『殿下』と言いそうになりながらランは席をすすめた。


ハンスはランとフランソワの間に、ビクターはリンダとマリアの間に腰掛けた。


「迷惑だったかな?」


静まり返った一同にハンスは声をかけた。


「いいえ、突然だったので驚いただけですわ」


「ルイス、あんた知ってたでしょ!」


ランはルイスの頭を小突きながら文句を言った。


「あはははは、昼休みに兄さん達と話してて、色々決まってきたから報告会でもしようかって」


「そういうことは早く言いなさい」


「ランとルイスはいつも仲が良いなぁ」


「本当に、いつも夫婦漫才を見ているようですわ」


「ビクターさん、マリアさんまでっ!」


    あはははは





食事をしながら薬草の増産計画やティーサロンや交流館への出資の話をして、ビクターとハンスはマリアの助力への感謝を口にした。


「いいえ、わたくしの力なぞ大したことではございませんわ。

皆様の行動力があってこそ良い方向に向かっているのではないでしょうか?」


「さすがマリアさん、完璧な女性ね」


ランの言葉にマリアは首を傾げた。


「完璧ですか?」


「そうそう、美人でスタイルも良くって、頭もいいし武術も一流。そのうえ謙虚ときてる。

私なんか足元にも及ばないわ」


「そうだね~、ランちゃんにも見習ってほしいねぇ~」


「ルイス、一言多いわよっ」




この時、周囲のテーブルに座っていた女子生徒からの視線には誰も気付いていなかった。

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