14話
週明けのHRの時間にガーランドから連絡事項があった。
「この週末に王家主催の夜会が催される。
それに新入生の成績優秀者5名と留学生が招待されることになった」
教室がざわめき、特に留学生のガリアとイシュアは驚きで目を丸くしていた。
「静かにしろっ!
今年の入学試験の成績上位5名には留学生が1名入っているから、総勢7名が参加することになる。
参加するのは1班の全員とガリア、イシュアだ。
服装は制服で参加するようにな。
詳細は追って連絡する。
何か質問は?」
「先生、上位5人の成績って?」
「ああ、ルイス、リンダ、フランソワ、マリアは満点だ。
ランは外国語で1問スペルミスがあっただけだ」
「「うひゃぁ~」」
「驚いてないで、お前らもしっかり勉強しろっ」
「あちゃぁ~薮蛇だぁ~」
あははははは
その日の午後、早めに昼食を終わらせたルイスは選択科目である薬草学の研究室に来ていた。
薬草学は受講者がルイスを含め5人しかいなかったので、教室を使わず担当教師アマンダの研究室で授業をすることになっていた。
ルイス以外の受講者は、国内の有名薬師の子女であった。
「あら、ルイス君早いわね」
「ええ、アマンダ先生、少し薬草貰って良いですか?」
「危ない物はダメよ」
「いえ、みんなにお茶を淹れようかと思って」
「ええ、適当に使っていいわよ。じゃあ私はティーセットを用意するわね」
ルイスがテキパキと調合し終えた頃、受講生が揃ったのでお茶を淹れた。
「あら、おいしいわね~」
他の生徒達も口をつけ驚きの表情を浮かべた。
「薬茶って苦いものだとばかり思ってたわ」
「今日のお茶は、頭をすっきりさせるように調合してみました。
食後は眠くなりますからね」
「ルイス君、すごいわね~。確かルーベシア商会で似たようなお茶売ってたわよね」
「そうそう、あれはもっと洗練された味だったわ」
「あははは、僕は真似てみただけですから」
「よく調合がわかったわね。私も研究してみたけど再現できなかったわ」
「それじゃあ、今日の授業をはじめましょうか」
「「「はぁ~い」」」
その日の授業が終わり、週末の夜会に招待されたメンバーは職員室に呼び出された。
「夜会の当日は3時に男子寮の前に馬車が向かえにくる。
引率は俺と学院長がすることになってるから安心しろ。
学院内と違って言葉遣いには気をつけろよ。
参加されるのは伯爵以上の方とその家族の方々だからな。
留学生は、王城についたら大使の方もお待ちだから一緒に行動するように」
「「はい」」
「それからマリアは留学生代表の挨拶をしてもらうから考えておけよ」
「はい、わかりました」
ルイス達は一旦教室に戻り、掃除した後でいつものオープンテラスで集まった。
「しかし1班全員が入学試験ベスト5とは驚きね」
「そういうイシュアさんは7位、ガリア君は8位でしょ」
「そうそう、6位はクラス委員のロビン君だし、9位10位はロンウッド君とピーター君だもんね」
「俺……勉強すき……でも……話すむずかしい」
「ガリア君、大丈夫すぐなれるわよ」
ワイワイと話していると上級生らしい男達が声をかけてきた。
「君達新入生だろ?」
「そうですけど、なにか?」
ルイスが返事をしたが男達は顔を顰めて寮を指差した。
「男には用がないから、帰っていいぞ」
「どういうことでしょうか?」
「女の子達の相手は俺達がしてやるって言ってんだよ」
なれなれしくリンダの肩に手を置き片方の男がルイスを睨みつけた。
ルイスは通りを歩いてくる人影を見つけて笑いを堪えながら男達に忠告した。
「その手は早めに放したほうが良いですよ。
下手すると殺されますよ」
「なにっ」
男達はいきり立って拳を挙げたが、手が動くことはなかった。
「おい、俺の妹にちょっかいだすとは良い度胸だな」
男達の腕をつかみ冷ややかな声でビクターが話しかけた。
「えっ!?ビクター先輩?」
「俺のことは知ってるようだな」
「「す・すいませんでしたぁぁぁぁ~~~~」」
男達は脱兎のごとく走り去っていった。
フンと鼻をならしリンダに優しい笑みを見せ「大丈夫か?」と問いかけた。
「お兄様、どうしてこちらへ?」
「ああ、お前らが座ってるのが見えたからな」
「お兄様、ここにいるみんなが今度の夜会に学院代表で招待されましたのよ」
「んん?学院代表?」
「ビクター兄さん、入学試験の上位5名と留学生が招待されたんですよ」
「そういうことか。他のメンバーはわかるがランが上位?」
「失礼ねぇ~私が5位で悪い?」
あははははは
「ビクター兄さん、そういうことなんで兄さんに伝えておいてくれませんか?」
「おお、わかった。」
「あの~、こちらのかたは?」
とイシュアがランに問いかけた。
「この人はね、リンダちゃんのお兄さんでルイスの従兄、ビクターさんよ」
「そういうことだ。妹と仲良くしてやってくれ」
「アタシは、ソヴィエからの留学生でイシュアです」
「俺……ガリア……シンカから……留学」
「イシュアさんはルーベシア商会のパトリックさんの姪御さんなんだって」
「パトリック殿の?じゃあパメラ姉さんの子供か?」
「母をご存知なんですか?」
「あまり記憶はないんだが、俺がよく懐いていたらしいぞ」
「それじゃあ、今度母に手紙を書いておきますね」
「ああ、よろしく伝えてくれ」
同じ頃、寮ではキャメルが上機嫌だった。
「キャメルさん、なんだか機嫌が良いですね」
「当たり前だ、あいつらが夜会に出るんだぞ」
「なんでそれで機嫌が良いんですか?」
「夜会は学院の規則は関係ないからな。やつらに恥をかかせる絶好のチャンスではないか」
「そういうことですか」
「貴族の礼儀作法を知らぬ奴等に大恥をかかせてやる」
「キャメルさんも夜会に行かれるのですか?」
「俺とドロシーは元々出る予定だったんだ。
まあドロシーは嫁入り先の売り込みだろうがな」
「俺達は参加資格がないのが残念です。恥をかく姿を見たかったなぁ~」
「ああ、後でたっぷりと教えてやるよ、わははははは」
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