12話
週末最後の授業が終わり、掃除を終えたルイス達は寮に戻ってきた。
「ルイス、今週も家に帰るのか?」
「今日は寮に居るよ」
「何かあるのか?」
「明日、マリアちゃんの用事で王都を案内しなきゃいけないんだ」
「王都観光なら俺達も連れてってくれよ」
「それがね、僕の家の仕事がらみで……」
「そっか、それじゃあ仕方ねえな」
「ごめんね~今度みんなを案内するからさ」
「おお、気にするこたぁねえさ。俺達も適当にブラブラしてみるからさ」
「ところで、来週提出する宿題はできてるの?」
「……」
翌朝、ルイスは女子寮の入り口に立っていた。
「ランちゃぁ~ん、おむかえにきたよ~~」
「お前は子供かっ!少しは恥ずかしいと思いなさい」
怒りながら出てきたランお後から、クスクスと笑いながらマリア達が出てきた。
「ルイスさん、おはようございます」
「みんな、おはよう」
「今日は無理なお願いを聞いてくださってありがとうございます」
「いいのよ、どうせルイスは暇なんだから」
「ひっどいなぁ~」
一同はランを先頭に途中で屋台で買い食いをしたりしながらルーベシア商会に入って行った。
「マリアちゃん、ここが王室ご用達のルーベシア商会よ」
マリアは物珍しそうに商品を手に取ったり眺めたりしていた。
「いらっしゃいませ」
「あ、パトリックさん、おはよう~」
「おはようございます。みなさま。今日は何かお探しですか?」
「パトリックさん、ここでは……」
「どうぞ応接のほうへおこしください」
パトリックの案内で応接室に通された。
「こちらはグランディア帝国の第一皇女マリアさんです」
「はじめまして、マリアと申します」
パトリックは膝をつき頭をさげた。
「当ルーベシア商会の主パトリックでございます」
「パトリックさん、頭をお上げください。普通に接してください」
「ではお言葉に甘えさせていただきます」
店員がお茶とお菓子を用意し下がった後、マリアは話しを切り出した。
「パトリックさんは我国との交易はなさってないのですか?」
「今のところ深い付き合いはございません」
「さようですか……できれば我国にローレンシアの品物をお売りくださいませんか?」
「それは構いませんが、たしかアリシア商会が出店していたかと思いますが?」
「それは存じておりますが、高い物ばかりで一般の人は買うことができません。
それでリンダ様にご相談申し上げたところパトリックさんをご紹介いただけたというわけなんです」
「パトさんはルーちゃんのお茶も売ってるんですよ」
「はい、ルイス様のお茶はとても好評で当店の看板商品にもなっています」
「わたくしも一度戴きましたけど、とても美味しかったですわ」
「味もさることながら、効用が素晴らしいと評判なのです」
「パトリックさん、そういった商品を是非我国で販売していただきたいのです」
「それでしたら、直接当社が出店するよりもグランディアの信用できる商社を通したほうがよろしいのではないでしょうか?」
「どういうこと?」
「グランディアで信用も知名度もない当社が出店したところで売れないということですよ。
そのかわりに、すでにグランディアで信用のある店が販売すればお客様も安心して購入できるというわけです」
「たしかにそうですわね」
「こちらの店ではグランディアの商品を扱えばお互いに得なのではないでしょうか?」
「パトリックさん、さすが商売人」
「ルイス様、人を悪人のように言わないでください」
「あはははは、冗談だってば」
その後、特産品の話などで盛り上がり、ルイスは店内から少し薬草とお菓子を貰ってきてお茶を淹れた。
「これ新しい味だよ~。お菓子と一緒にどうぞ」
「ん、今までより渋めだけど、お菓子と一緒だとおいしいわね」
「ふむ、なかなかの味ですが、少しインパクトが足りないような」
「ルーちゃん、お菓子ばっかり食べちゃふとっちゃうよ~」
ルイスはニヤリと笑い効用を説明した。
「このお茶は糖分や脂肪の吸収を控える効果があるんだ」
一瞬みんなは首を傾げたが、意味がわかると驚きで目を見開いた。
「つまりこのお茶って太りにくいってわけ?」
「そういうこと」
「ルイス様、早速仕入れさせてください。間違いなく大ヒット商品になります」
「ルイスさん、是非我国にも輸出してください」
皆のあまりの熱意に圧倒され、ルイスは量産することを約束した。
グランディアとの交易は大使と詳細をつめるようにして、一同は店内にもどった。
店内で商品の陳列をしている女の子にランが声をかけた。
「あらイシュアさんじゃない。アルバイトなの?」
「あっ、ランちゃん。安くこき使われてるのよ……」
「こらイシュア人聞きの悪いことを言うんじゃない」
「冗談よ冗談」
「これは私の姪です。みなさんは顔見知りだったんですか?」
「うん、同じクラスだもん」
「イシュア、くれぐれもこの方達にご迷惑をおかけするんじゃないぞ」
「お得意様なの?」
「そういうことだ」
「そういえば伯父さん、この前ランちゃんに武術で使う剣貰っちゃったんだよ。
伯父さんからもお礼言っといてよ」
「ラン様に?」
パトリックはランに深々とお辞儀をして御礼を言った。
「ラン様、姪が大変お世話になったようで、心からお礼申し上げます」
「いいのいいの、気にしないで」
ランは軽い感じで手をヒラヒラさせた。
「ラン様?ランちゃんって凄いところのお嬢様?」
「昔から付き合いがあるだけよ。パトリックさんは商売柄『様』付けしてるだけなの」
ランがパトリックに目配せをし、パトリックも話を合わせた。
「そういうことだ。お客様相手に失礼な物言いはできんだろうが」
「それもそうね」
その後一同はルイスに荷物持ちをさせながら買い物をして、マリアをグランディア大使館に送り届けた。
ルイス達は何者かに後をつけられているのを察し、どうしたものかと考えていると影からリンダの警護をしている者達が追手の足止めをしてくれ無事自宅に帰り着くことができた。
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