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流れゆく日々

読みやすくなるように頑張ります。

転載は禁止です。


今日は朝から曇天。


"コンコン"


「おはよぅごさぃますぅ、聖女様ぁ

お目覚めでしょーかぁ?」


今日の担当侍女はカリノさんのようだ。

居室への入室を許可する前に入ってきた彼女は腰までの金髪を可愛いくポニーテールにしていて愛くるしい。妹属性ってやつかな。彼女にも左耳にイヤーカフがある。昨日は気づかなかった。


「おはようございます。カリノさん。」


「朝のお支度いたしますねぇ。洗顔はこちらにご用意してありますぅ。終わったらクローゼットにいらして下さいねぇ」


にこにこしながら行ってしまった。私は洗顔を終えてクローゼットに向かう。


「今日はこちらなんかいかがでしょー?

可愛いぃですよぅ」


彼女は選んだ桃色のキラキラしいドレス一式を見せてくる。もう選んだんだ…早いな。


1部丈のスリーブに上から裾に向かって桃色から白へのグラデーションになったドレスだった。更にフリルがこれでもかという程ついている。

可愛い。可愛いが…私は10歳前後では無いのでちょっと幼すぎるデザインじゃ無いだろうか…?カリノさんには似合うかも?と思われるデザインのドレスだ。


「そしてぇ、この服には絶対コレですぅ!」


満面の笑みで見せられたのは、金地に濃い緑のエメラルドとダイヤが沢山連なる豪奢なネックレスと濃い桃色の踵に大きなリボン付きのハイヒール。


イヤ、コレは派手すぎでは?!黒髪に緑に桃色…バラバラな気ががする…。着ている姿を想像して、焦る!さすがに正直にむ・り・で・す!!


「こんな素敵なドレス、私なんかには可愛いすぎて浮いちゃいますよ!」


「私はこっちのシンプルなやつでいいです。はい。コレにします!!」


適当な言い訳を理由にして、1番手近な薄灰色のドレスを手に取った。白いレースの5部丈スリーブが付いた飾り気ないドレス。当然仕立てと素材はとても良いので見窄らしくは無い…けどこちらはこちらで大人っぽすぎ…かも。でもあっちよりはイイ!と思うデザインのドレス。


「そうですかぁ?桃色…可愛いと思うのですけれどぉ」


私は絶対に譲れないと推し推しで薦めると渋々受け入れてくれた。よかったー!!


「そちらのドレスならぁこのネックレスとぉ青いハイヒールですねぇ。あとぉ飾り足りないのでぇ腰にベルトリボンとしてこちらの薄い青色のリボンを結んだらいかがですぅ?

靴は青いリボン付きできまりですぅ」


彼女の選んだネックレスは最初の物より抑えめでセンス良く、腰のリボンもドレスに似合っていた。靴は最初の物との色違い。


あれ…?私と好みのセンスが違う訳、では無い?やはり選ばれるだけの実力のある侍女なのだろう。美しいものを選ぶバランス感覚は優れている様に思えた。

最初のドレスが私に似合わないだけで…。


衣装を整えるとドレッサーで化粧してもらう。可愛い系に仕上がった。

あらー?人によって化粧の方向性って変わるのね。まつ毛がクルンと目が猫みたい。

髪型は耳の高さで1つにまとめて大振りな宝石付きの黄色い花飾り添え、左前側に少しだけ残してた髪巻かれて垂らされた。

私が言うのも何だが上手くまとまった、凄いなぁ。侍女っていろんな事出来るんだなぁと感心してしまった。仕上げの靴を履いて、全身を眺める。


可愛くて別人になったようだ。毎日別人になれる…着せ替え人形ってこんな感じなんだろうか。いや、素材が35点を80点まで引き上げる技術に脱帽です…。


朝食を運び入れたのはヴァネッサさんだった。2人体制で侍女をしてくれて居るようだ。昨日と同じく朝食を頂いた後ソファでのんびりしていた…あまりに動かなくて太りそうだよ。


「今日のご予定はぁ、午前中は皇子様が再びご挨拶に来られますぅ。午後からはマナーの授業がございますぅ。以上ですぅ。」


「カリノさん。ありがとうございます。皇子様がいらっしゃるまでお部屋でゆっくりしていていいかな?」


「はいぃ。皇子様がいらっしゃる前にお声がけしますねぇ。それまでお暇でしたら私とお喋りしませんかぁ?」


「す‥少しだけなら…。」


圧に押されて首肯してしまうと、彼女はにっこりと私の右隣の椅子に座って話し始めた。

緑色の瞳をキラキラさせてこちらを伺いながら尋ねてくる。


「マサミ様ってぇ、どこから来られたのですぅ?」


「私は日本という国から来た…はず」


「記憶がないのでしょーかぁ?」


「はっきりしないのは確かです。」


彼女は何だか顎に指を当て解せない感じがあるのだろう。更に問うてくる。


「神様にお会いしたのですかぁ?どうやってこちらにぃ?」


「何かの光を感じて、気づいたらこちらに居ました。」


私の返事に驚いたのか、神の御技に感動したか、目をうるませて両手を胸の前で組むと椅子から乗り出し食い気味で質問を重ねる。


「聖女様はこの国をお守下さると聞いていますぅ。何が出来るのですかぁ?」


「えーっと、まだわからないのです。」


彼女はポカンとした表情になる。


「わから…ない?」


「はい。全く。」


「聖女様はあらゆる事ができるのではないのですか…?」


「さぁ。私にはまだわからないです」


何でも出来ると思っていたのだろうか?

何だろう。彼女にとって期待ハズレ…なのかな?


「ぇえぇ?まぁそれでもぉ、私は構いませんよぅ。教会で学ばれてみませんかぁ?この国の教会は綺麗ですよぅ。」


思い出したかのように可愛い笑顔が戻ると観光も兼ねて教会に誘われた。


「美しい場所なら、私も1度見てみたいですね。」


やっぱり教会って言えばステンドグラスかな?!宗教は興味無いけど観光には興味あるなー。


「この国もぉ長い歴史がありますからぁ沢山見所がありますぅ。是非ご一緒しましょー!。」


そう言われると、あちらこちら観て回るのも楽しそうだと思えた。知らない世界、新しい物。とても好奇心がくすぐられた。前向きに。


「是非!この間のお菓子も美味しかったでしょう?沢山紹介したい場所があるのですぅ!。」


「えぇそうだね!外出許可がとれたらお願いしますね!。」


「はいぃ!

あっ。そろそろ皇子様がいらっしゃると思いますぅ。私、ヴァネッサさんにお茶の準備のお願いして来ますねぇー。」


カリノさんは満足げに退出して行った。


誰もいなくなって静かになった居室にぽつんと座って居ると、少し寂しく感じた。彼女の人との距離感には苦手な所もあるけれど、仲良くなれそうかな?そう思える時間だった。

曇り空は少し晴れ間が見え、優しい風が吹いて居る。


カリノさんが部屋に帰ってくると皇子が部屋に訪れる。今日も、皇子様らしい豪華な服装で爽やかに眩しい笑顔でやって来た。


「今日はいかがですか聖女殿。」


「おはようございます。問題ありません。」


「それと、こちらは新しい護衛官の紹介に。」


皇子様は隣にいた黒い制服の男性を私の前に促すと男性は跪く。


「ダスタルト伯が3男…トラートムです。本日より聖女様付となり…ます。昨日紹介されたルスタリーシュ=テオドラントと共に警護にあたります。…よろしくお願いします。」


痩身で、遠慮がちなオリーブ色の目に理知的さを感じる。そして黒髪の短髪だ。私以外にも黒髪の人居たんだ。


「よろしくお願いします。トラートムさん。」


抑揚の少ない語り口に独特の間、簡潔な言葉遣い。感情表現苦手なのだろうか?前回のお2人とはまた違ったタイプの護衛官だった。挨拶が終わると、あっさりと退出して…多分廊下に待機して居るのだろう。


トラートム様を見送るとパチリと皇子と目が合う。


「彼はあまり感情を表に出さないのだよ。不機嫌な訳ではないので…ね。」


苦笑しながら彼をフォローするような言葉をかけつつ長い脚を折って椅子に座る。きらきらした金髪が揺れて綺麗だった。


「今日は何の話をしようかな。

筆頭魔術師から言われている聖女の力の検証については明日の午後に時間を予定しているよ。協力して貰えるかな?」


「はい。私も少し気になりますので試したいです。お願いします。」


「よかった。

聖女殿を守る為にもどんな力をお持ちなのか早めに判っていたほうが良いのでね…この国にとって大切な聖女殿なのだから」


そう言って真正面から微笑まれる。眩しい。目が眩む…美形の笑顔の大安売りだ。


"コンコン"


カリノさんがポニーテールを揺らしてカートを転がしながら入って来る。淹れてくれた紅茶はふわっとりんごの香りがした。

カラフルなフィナンシェをサーヴすると、彼女は澄まし顔でいつもの場所に控えた。


皇子は目線だけで軽くカリノさんを窺うと構わず話を続けた。


「午後からはマナーの授業があるね。

慣れないかと思うけれど大丈夫かな?お披露目があるから其れ迄に必要な事だけでも覚えて貰える様手配したけれど、何かあれば都度連絡していただきたい。」


「お披露目ですか?」


「あぁ。説明に無かったね。

こればかりは避けられないんだ。この世界の民を安心させる為にも必要な行事なのでね。

お願い…できるかな?」


少し困った顔でお願いされると…否とは言えない日本人です。拒否もできないので受け入れた。


「必要な事でしたら…はい。

マナーの授業は習った事が無いので時間はかかるかも…しれません」 


「こちらの不手際で申し訳ない。準備一切はこちらで行うので、安心してくれ。」


頷きを返し、緊張をほぐそうと紅茶を口に含む。大好きなりんごの風味が広がり少し頬が緩んだ。


空は次第に晴れてきたようで日差しが入ってきている。しばし、レースカーテンがサワサワと揺れるのを眺めていると心の澱も晴れてきたような気がしてきた。


「そうだ。座ってばかりだとなんだか身体が鈍ってしまいそう…お部屋から出てお散歩しても構いませんか?」


「構わないよ。許可出来ない場所は侍女も護衛もわかっているはずだ。けれど、決して1人で行動しないでくれ。聖女殿の安全の為にね。」


品のある所作でカップを揺らして冷めかけの紅茶を飲みながら許可と応えて下さる。


「こちらでは動く事があまり無くて。空いた時間に何をしたら良いのか…」


「…そうか。時間の使い方がわからないのかな?貴族女性は、刺繍したりお茶会をしたりお出かけする事が多いと思うが…早めに友人候補を紹介出来るよう考えておくよ。体制が調うまでしばらくは窮屈だが、申し訳ないね。」


「はい、ありがとうございます。」


暇な時間が長いと、余計な事を考えそうで…何かしていたいと思ってしまう。対処してもらえる限り甘えさせてもらって、私なりに過ごしやすく生活できたら良いなぁ。


「聖女殿が思う事考えた事を仰っていただけると、私達も改善に役立てる。

遠慮される事はございませんよ。」


「…はい。」


言いたい事も聞きたい事も沢山あるが私の考えはまとまらず、私は口を噤ん

誤字脱字あればお知らせください。

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