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ホールの絵姿

読みやすくなるように頑張ります。

転載不可です。

昼食を終え一休みしたら、気になっていた廊下の絵を見に行く。勿論護衛のお2人も一緒に4人で向かった。


「うわぁ。お綺麗な方だったのね。この方が600年前に召喚された聖女様なんだ。」


廊下の中央ホールには椅子に座った女性の肖像画が飾られている。癖のある銀髪を緩やかにまとめた穏やかな表情の婦人がこちらを見つめている。

柔らかに弧を描く目はよくよく見ると確かに黒眼だった。6〜70代に見えてる女性の銀髪は老化によるもので元は長い黒髪だったのだろうか?アジア人にしては彫りが深い顔立ちをされていたのでは無いかと思われる目鼻だちをしていた。

胸元と袖口にフリルがたっぷりととられていて重厚で上品な深緑のドレスが、彼女の重ねられた年齢と威厳にとても似合っていた。


「こちらがぁこの帝国の初代様の御側室で在られたチヨノ様ですぅ。」


立派な額縁に収められた大きな肖像画を指し示しながら、カリノさんは恭しく説明する。


「この方が……ちよの様…。」


「帝国の初代タンタルティア皇帝になられたメイゼナ様とご一緒にぃこの国一帯の戦乱を治められたそうですよぅ。御側室としてぇまた聖女様としてぇ尽力されたと言われていますぅ。」


「戦争が、あったの?」


「この国の成立以前はぁここに2つの国があってぇずーっと戦っていたらしいですよぅ?」


「へぇ。聖女様がいるからって戦争が無いわけでは無いのね。」


「はいぃ。チヨノ様以前はぁしばらくこの一帯に聖女様はおられませんでしたからぁ。」


「どんな事をされたのかしら?記録とか残されていたりしないかな?」


やっぱり先人の知恵というか、頼れるなら頼りたいなぁ。記録があれば役に立ちそうなんだけど私に見つけられるかなぁ。


「どうでしょうぅ?簡易な事柄は図書室にも在りますがぁ詳細は私は知りませんー。」


あっさりと説明を諦めたカリノさんに呆れた様子で護衛のユーリ様が続けての補足説明を入れてくれた。


「そちらの資料は皇族関係の物になりますので、皇族専用の図書室に所蔵されているでしょう。おそらく閲覧に制限がかけられていますね。

15代聖女のチヨノ様は《癒し》の力をお持ちで絶大な国民の支持を集めた方なんですよ。

お子様もお1人おられたはずですよ。」


「そういえば聖女って結婚できるのね?私の認識では生涯独身だと思っていたの。」


「そうですぅ。聖職者も結婚可能ですよぅ。離婚、重婚はダメですけれどぉ。帝国では側室が認められるのは皇帝陛下だけなのですぅ。」


大切なまた私に必要な情報だと思われたのか、リオン様が更に情報を追加する。


「離婚に関しては理由が有れば認められておりますよ。理由はよっぽどの事ですが。

但しその後に再婚する事は絶対に認められません。」


「結婚制度に重きを置いているのね。

結婚、離婚って人生での一大事だものねぇ。私の場合ってどうなるのかなぁ?知ってる?」


「聖女様はぁ自由を約束されていますぅ。強制される事はありませんよぅ。」


「そうなのね。それなら大丈夫かな。」


しかし、この私の反応に護衛の2人が一瞬だけ苦い顔をしていたのが見えた。何だ?何かあるの…かな?

強制的に結婚は、流石に私嫌なんだけど!何だかモヤモヤしながら肖像画を見つめた。

肖像画も私を見つめている様に…感じた。


「あ!錫杖はこの銀色の細長い杖ですよぅ?御覧になりましたかぁ?」


「そういえばここに来たのは、錫杖が最初のきっかけだったっけ。」


座っているご婦人は右手で細い銀色の錫杖を持っている。

魔法使いの杖の様に蔦様の棒状で頭には大きな宝石と何かの瞬きが描かれている。

実際に光っているのかな?不思議な杖だ。

こんな大きな杖を持ち歩くのかな?不便そうに思えた。


「この杖使うの凄く大変そうね。邪魔になりそう。」


私の第一印象を聞き取って、リオン様が茫然として呟いた。


「…邪…魔?」


静かだった廊下が更にシンとしてしまった。


流石に失礼だったかなと今更ながら反省する。神様の聖遺物に無神経な発言をしてしまった事に気づいて、眉がへにょんと下がってしまう。


「ごめんなさい。大きさと豪華さが実用に向かないと思って声に出てしまいました。」


「そうですねぇ。持ち歩くには大きいですよねぇ。実物が見られるのが楽しみですよねぇ!」


カリノさんは同意してくれた。あはは…。少し気を抜きすぎているかもしれない。


「申し訳ありません聖女殿。

確かに大きく持ち歩くには向かないですよね。実際はどの様にお使いになるのか。楽しみですね。」


「本当にごめんなさい。私の感想が率直すぎたわ。錫杖は聖遺物になるのよね?」


「聖遺物というか賜物でしょうか。人に与えられた訳でなく、聖女様に与えられしものです。」


未だ私の中で神様は全く身近では無い。

私の身に召喚があったのだから居らっしゃるのは確かなのだろう。だけれど以前の世界の日本人観が強固で完全に神様を受け入れていないらしい。

私の常識はこの世界では非常識だと実感する。リオン様の気遣いが心苦しい。


「聖女様。気になさらないでくださいよ。

錫杖は聖女様の所有物ですよ。悪意のある言葉では無かったはずです…ですよね?」


「はい。ただ物として考え感想を述べたのですが、配慮が無かった私も悪かったのです。」


「この世界に来られてまだ6日ですよね?

聖女様もご無理なさらず。配慮すべきは我々ですよ。これ以上謝らないでくだい。ね?」


ユーリ様が優しく宥めてくださる。今の私にこれ以上言える事は無い。


「はい。わかりました。」


「そろそろお時間ですから戻りましょうー。」


部屋に帰る前にもう1度、肖像画を見る。

何歳の時の肖像画なのか。この微笑みに嘘は無いのか。どんな生き方をされたのだろう。私と同じく16歳で召喚され、この異世界で何を思い何をしようと生きて歳を重ねられてきたのか。


「ちよのさんはここで幸せになれたのかな。」そうぽつりと言葉が溢れ

誤字脱字あればお知らせください。

読んで頂きありがとうございます!

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