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図書館のひととき

読みやすくなるよう頑張ります。

転載禁止です。

今日も朝から元気いっぱいに目覚めた。

今回は筋肉痛はほとんど無い。何だか努力が身についたようで嬉しい。


今日の侍女はカリノさんだ。

選ばれた服は、ボートネックのノースリーブで白を基調に緑と黄のオーガンジーとフリルで飾られたふわふわと明るいドレスに、小さな赤い花を模したネックレスと小さなビジュの付いた綺麗めの濃緑のハイヒール。

前回同様に可愛い服を勧めるカリノさんと話しあい?攻防?しながら決めた服は、夏の野原のような色合いで軽やかな気分になれそうな満足いく仕上がりになったと思う。

髪型は細く白い複数のリボンを使って纏めたポニーテールにしてかわいくまとめてもらった。

朝の支度を終えると1日のはじまり。


「本日はぁ、特にご予定はございませんー。何かしたい事ございますぅ?。」


「そうねぇ。図書室があるって聞いたのだけれど、行っていいかな?」


「はいぃ。ご準備致しますねぇ。」


図書室に必要かな準備とは何だろう?


居室から廊下に出て本日の新しい護衛との対面があった。リオンさんの隣には黒い隊服の灰色の長い三つ編みを垂らした男性が立っている。新しい護衛だな?


「お目にかかれて光栄の極みございます。

私はメッセラ伯爵が3男のユーリ=アジェストラでございます。今日より護衛としてお支致します。よろしくお願い致します。」


跪いて挨拶しにこりと笑いかけてきた。銀色の瞳で妖艶という言葉が似合う男性だった。妖艶なんて私には全く縁のない単語だ。異世界人、凄いなぁ。


「今日はぁ図書室にむかいますぅ。」

カリノさんは護衛の2人に伝えて、先頭する。


滞在している離宮の基本色は緑のようで、建物のあちこちが緑を中心とした色遣いで統一されていた。床に走る絨毯も濃緑に金色の模様があしらわれている。彫刻や花瓶が飾られ品の良い豪華さがある。

図書室に向かう廊下には重厚な木の柱が立ち並ぶ石の白壁が美しくそびえる。白壁に沿って歩いて行くとこの離宮の中央ホールに出た。ホールの壁にはどなたかの肖像画が描かれていた。美しい銀髪の女性?皇族の誰かだろうか?


「こちらがぁ図書室になりますぅ。」


カリノさんが図書室の扉を開くと…部屋には古い紙とインクの独特の香りが広がっていた。

落ち着いた部屋には沢山の大ぶりの本棚に本が並んでいる。私の読める本があるかな?



受付のテーブルの向こう側には本の整復作業を行なっているであろう茶色いローブを着た人の後ろ姿が動いて見えている。


「失礼しますぅ。

聖女殿がぁ図書室を利用されたいとの事でぇ読書させて頂きたいのですがぁよろしでしょうかぁー。」


ふと作業を止めて…腰が痛いのか腰をトントンと叩きながらゆっくりと女性は振り返った。

艶やかな銀髪をゆるくお団子にまとめたご婦人は、髪の後れ毛を指で整えながら首を傾げる。


「あらあら。ごめんなさいね。

ちょっと作業してたら時間を忘れていたわ。

ようこそいらっしゃいました。聖女殿。私、こちらで司書をさせていただいているマルニ=エッケルですわ。」


にこにこ笑ってご挨拶を頂いた。絵に描いたよう様なにっこりとした目だったのであまりにも目を細めていて彼女の瞳の色は…わからなかった。とても優しそうな方。



「お邪魔致します。初めてまして。

マサミと言います。本を読ませて頂きたいなで、本日はよろしくお願い致します。」


「どうぞ。ご準備できておりますよ。

私は本の整理と整復、貸し出し管理をしているだけですのよ。お気になさらずお部屋お使いくださいませね。」


ふわふわした空気を醸し出しながらエッケル様は、おっとりと答えた。


「ありがとうございますぅ。

聖女様ぁ、こちらにどうぞぉ。」


カリノさんには目的があるようで図書室の奥に私を案内する。ユーリ様は私の側から1人離れて、行ってしまう。室内の安全確認を行うのだとリアン様が説明してくれた。護衛の仕事って…周囲の安全確認もしなくてはならないのか…大変なんだなぁと、私に護衛が2人も付いている理由に納得した。



奥にあったのは沢山の可愛いクッションが敷き詰められた広いソファと、何冊かの本が乗せられたテーブルがある読書用の場所だった。

これが彼女の言っていた準備だったのだろう。私の為にわざわざ読書しやすい場所を作ってくれたみたいだ。


図書室は本が傷まない程度に明るく日差しが入り、出窓は薄く開けられ風も入って涼しくなるように調整されていた。


「ソファにお座りになってお好きに読んで頂けるようにぃ調整しておりますぅ。」


「ありがとう。この本を読んでいいの?」


「私がぁお勧めを選びました!」


ソファに座り本を手に取ってみる。文字は…うん読めている。私には日本語にしか見えない。


「この文字は何て言う文字なの?私には"神様と愛し子"と読めるのだけれど、合っている?」


積まれた中で1番ページの少ない本を手に取り、彼女に尋ねた。


「こちらはぁこの国周辺の公用語でタール語で書かれてますぅ。題名はぁ"神様の愛し子"であってますよぅ。この本は子供でも読めるのでぇ、選んでおきましたぁ。こちらの文字が読めるようでよかったですぅ。」


「私もありがたいわ。以前は本を読むのが趣味だっから、もしも文字が読めなかったら凄く悲しいトコだった。早速、読んでみるね。」


どんな話なのかな。ソファに座ってワクワクしながら本を開く。

書かれていたのは…神さまと最初の聖女様の話で題名の通りだった。


* * *


神様は崩壊しかけた世界を救う為に愛し子に力を与える。愛し子の力で世界は守られているから聖女を敬い、信仰しよう。


* * *


神様と聖女が同列に扱われている違和感。これは前の世界の価値観から来てるんだろうか?


次はー。2冊めは"魔法の基礎"

3冊めは"タンタルティア帝国の成り立ち"

4冊めは"離れ離れな恋人達"


最後だけ…ナンデコレ?と思ったけど、勧められたからには読んでみるべきかと思い直しパラパラと読み進める。

間の悪い恋人達がもだもだしながら恋の駆け引きをする読んでいてハラハラする恋愛小説だった。相思相愛の主人公達は、お互いに告白間際なのに事件、妨害、失業などなど色々あってなかなか恋が進まない。

長い文章だけれど、緩急がついた文章が上手すぎて読んでいても全く疲れない。いつの間にやら物語に入り込んでいて…気が付けば感動の雨嵐の終幕。

題名はもっと良い案なかったかな?と思うけれど、とても楽しい読み物だった。ここの人気作…なのかな?


カリノさんに薦められた本を全部読み終えてもまだ時間が残ってる。一息ついて室内を見回していると、窓にかかったレースカーテンをバサバサと揺らして心地よい強い風が入ってくる。


座り過ぎて体が固まり背中が痛くなった。グーっと腕上げて上体を伸ばす。

運動がてら次の本を探しに行こうかな?。


「もう全部読まれたのですぅ?私も何かお手伝いしょぉかぁ?新しい本を探しますぅ?」


ソファの斜め後ろで待機していたカリノさんに声かけられて驚いた。

読書に集中していたから何処に居たのか気づかなかったよ。


「座りすぎて…体、動かしながら次の本探してくるよ。行ってきていいかな?」


「わかりましたぁ。ここから見える場所なら良いですよぅ。」


立ち上がり本棚に寄ると、ざっと本の背表紙を眺めた。本の上には埃が積もる事無く装丁も綺麗な物ばかりだった事から大切にされている事が窺われた。


"貴族名鑑"は読まない、"論文"も今はいいかなぁ、"辞書辞典"は気になるけど後回し、"魔術の変遷"かぁ読めるかな?そう思い見開きを開いて冒頭を眺める。流し見て読めそうだったのでこの本をソファに持ち帰る事にした。


少し古い本のようだったので開いた本に顔を近づけて思いっきり空気を吸い込む。

はぁ。癒される。この古い本の匂いが懐かしくて心が安らぐ。古いインクと紙、そして埃の混ざった不思議な匂い。本の匂いは世界が違っても同じらしい。ひとしきり堪能すると満足して本を読み始めた。


* * *


魔力が何かはわかっていない。

人の持つ魔術の力は、理由はわからないが少しずつ下降傾向に向かっている。

魔力の量は遺伝する。しかし、魔術系統は遺伝するとは決まっていない。

強い力があるのはほぼ王族や皇族などの権力者と聖女様だけであるらしい。


* * *


この世界の魔術は私の想像程にはファンタジーでは無かった。もっと夢のような魔法が沢山あるのだと思っていた。実際は使えはするけれど衰退が進んでいるようだ。

また、魔力の元となる物もわかっていないらしい。わからないから対処ができないのだとか。

トロ師が言っていた通りに魔力の遺伝は見られるけれど、系統は遺伝していない事は分かっている。だから貴族は魔力を持つ者同士で婚姻を結ぶ事で魔力を保持出来ているみたいだ。おおよそそのような内容が書かれていた。ふーむ。

魔術って何の為にあるのだろう?神様は何で聖女だけ特別扱いなのか。まぁまだ私には魔力使えないんだけどね。


結局、その後はあまり収穫は無くお昼になり部屋に帰ることになる。収穫は無いが、とても良い気晴らしになった。やはり本を読むのは楽しいっ。


「また、いらしてね。」


司書のエッケル夫人にのんびりと見送って頂き部屋に戻ることにした。

誤字脱字あればお知らせください。

読んで頂きありがとうございます。

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