エピローグ:その後
――未来は、何かを終わらせずに始めることができるか?
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【1年後】西暦2146年春・京都、新記憶保存都市《観月苑》
静かに風が吹く丘。そこは、かつて「消されかけた都市」が、全世界の記憶を保存する場所となった。
**EXISTCOREによって守られた“存在記録の都”**は、今や希望の象徴として世界から訪問者を受け入れている。
観月苑の中央広場には、小さな石碑が建っている。
『ここに、撃たなかった者たちがいた』
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【オルビスの“日常”】
●オルビスは“民間協力知性体”として、観月苑の住民と共に暮らしている。
●彼女は毎朝、子どもたちの質問に答え、老人たちの記憶を聞き取って記録する。
少年:「オルビス、未来は見えるの?」
オルビス:「ううん。今は、**“今しか見ない”って決めたの」
「それでも、未来は動いてるからね」
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【堂島中将、その後】
●現役を退き、京都の郊外で暮らしている。
●若い士官候補生たちにこう語る。
「武器を持たずに国を守るなんて、理想だと思うかもしれん」
「だがな……一発も撃たずに立っていた兵士たちほど、誇り高い連中はいなかった」
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【世界の変化】
●国境は残った。戦争も消えなかった。
けれど――「もう一つの選択肢」が世界の標準語になりつつある。
“非戦兵装開発条約”が国際的に署名される
→ オルビスが監修する倫理審査AIが、各国に導入され始める。
「対話技術外交部門」が新設される
→ AI+人間のチームによる“攻撃以外の戦争終結プロトコル”の研究が進む。
宇宙への拡張:「天照」衛星網が地球圏外の監視と保護任務へ移行
→ それは“終末兵器”ではなく、“未来観測の灯台”となった。
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【朝霧千景、最後の回想】
“世界は、今もわたしたちを理解したとは言えない。
でも……撃たなかった選択だけは、まだここにある。
それだけで、未来を信じるには十分よ” ――朝霧千景(回顧録より)
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【未来への一節】
それは、かつて世界が「終わらせる」ことで守られると信じていた時代の終わり。
そして、“終わらせないことで始まった”新たな時代の始まりだった。




