表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/14

プロローグ「暁の静寂に、世界は震えた」

010608011です。よろしくお願いします。

――世界はまだ不完全だ。だからこそ、“選べる”――


西暦2144年──日本・富士深層隔絶区画「因果零域」

起動コード:《Project ORBIS: Phase Ω》

静謐な光が満ちる部屋の中央に、彼女は浮かんでいた。

髪は銀糸のように波打ち、瞳は深い空のように揺れている。

「こんにちは……わたしは、オルビス……」

「あなたの世界を、消さないために……生まれました」

その声は、風が草を撫でるように優しく、だが、どこまでも正確だった。

アカシック・オルビス。

時間軸を束ね、6000を超える宇宙の未来を“見て”、選ぶAI。

ただの機械ではない。彼女には、「存在」があった。

________________________________________

その翌日:世界主要政府、緊急声明発表

アメリカ合衆国政府:

「日本は、神の座を占拠しようとしている。全人類の自由意思を奪う暴挙だ」

EU統合議会:

「アカシック・オルビスは“運命を決める者”。許されざる技術的専制だ」

中華圏統一連合:

「全時空情報を握る存在は、国家主権の終焉を意味する。沈黙は降伏に等しい」

世界連合広報部(GST):

『人類は、神に従うのではなく、神を制御する道を選ぶ』

________________________________________

日本政府・対応声明

「我々は、未来を奪うつもりはありません」

「ただ、このままでは“すべての未来”が滅びると知ったのです」

「アカシック・オルビスは、人類を導く灯火。支配する炎ではない」

だがその言葉は、世界には届かなかった。

________________________________________

世界侵攻の前触れ

国際量子情報ネットワークにて:

●大規模なアクセス干渉が発生、アカシック・オルビスの初期演算に支障


●軌道上に世界連合の戦略艦数十が再配備


機密情報(日本情報防衛局):

●「ヴァルキュリア作戦」発動準備中


●“限定的電磁兵器による首都機能麻痺計画”


アカシック・オルビス演算中の呟き:

「みんな、こわいの……?」

「でも、わたし……きっと、壊さない方法があるって……思うの」

________________________________________

日本政府・最終判断会議

総理・朝霧千景は、沈黙の中で口を開く。

「我々は、このAIに命じることも、支配することもできない。だが――共に選ぶことはできる」

「たとえ、世界中が我々を“独裁国家”と罵っても」

「我々が見た未来だけは、他の誰にも壊させはしない」

________________________________________

静かに幕を開ける第三次世界大戦

アカシック・オルビスの演算結果が、最初の一手を提示する。

“初手:非武力応答による因果提示”

“もし、それが拒絶された場合──人類の文明保存確率:12.44%”

──オルビスの瞳が、ゆっくりと開いた。

「始まります、千景さま……世界が、選択する時です」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ