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第五章 火刑は虚妄を照らし、海市に龍は吟ず

阿鯉アーリーの父親が回復し、腕輪うでわ異能いのうあらわにしてよりこのかた、彼の心中の困惑こんわく日増ひましにつのり、灯台の方への注意もますます慎重しんちょうなものとなっていた。それと同時に、漁村ぎょそんでは「海神珠かいしんじゅ」に関する不穏ふおんうわさがますます激しくなっていた。


せん家の老夫人が目明めあきになったことに続き、阿鯉の父親の「魚髭病うおひげやまい」が全快ぜんかいしたという知らせは、さらに決定的な証拠となり、村人たちの熱狂ねっきょうに完全に火をつけた。阿鯉は父親の回復のかぎが自分の腕輪にあることを知っていたが、他の者たちにとっては、これもまたあの灯台にいる神秘的しんぴてきな存在による新たな「神業かみわざ」に違いなかった。一時期、阿鯉の家はまるで神仏しんぶつに見守られた場所となり、少なからぬ人々がこっそりと彼の家の門前で線香せんこうき、「ご利益りやく」にあやかろうとした。


「神珠」の出所でどころについて、人々はあれこれと噂した。ある者は海龍王かいりゅうおう賜物たまものだと言い、ある者はこの地で修行しゅぎょうする仙人せんにんのこしたものだと言い、またある者は漁師たちが代々(だいだい)信仰しんこうしてきた海神娘々(かいしんニャンニャン)(媽祖まそ)を連想した。


その時、村の何人かのさとい者たちが奇妙な現象に気づき始めた。阿鯉の父親がやまいから回復してからというもの、阿鯉はほとんど毎日黄昏時たそがれどきになると、こっそりと海辺のあの長年打ち捨てられた古い灯台へ向かい、時には食べ物や水もたずさえていた。あの灯台には元々不吉ふきつな言い伝えがあり、普段は漁師たちもけて通る場所だった。阿鯉のこの異常な行動は、当然彼らの注意と連想を引いた。


「もしかして……あの神珠は、灯台から出てきたんじゃないか?」

「阿鯉のやつ、きっと灯台の『あの方』のご託宣たくせんを受けて、親父を治したんだ!」

「あの灯台には誰が住んでいるんだ? まさか本当に媽祖様がご顕現けんげんなされたのか?」

「分からんぞ、海の精霊せいれいたぐいかもしれん……」


様々な憶測おくそく急速きゅうそく醸成じょうせいされ、広まっていった。灯台の中に何があるのか誰も知らず、軽々(かるがる)しく近づこうとする者もいなかったが、「打ち捨てられた灯台には偉大なる何者かがおり、阿鯉はその恩恵おんけいを受けた」という話は、野火のびのように村中に蔓延まんえんした。


こうして、奇妙な光景が現れた。村人たちは自発的じはつてきに、打ち捨てられた灯台へ通じる雑草ざっそうだらけの小道こみち掃除そうじし始めたのだ(ただし、灯台からある程度の距離を置いた場所までしかやらなかったが)。毎日、遠くから灯台の方角に向かって線香を焚き、叩頭こうとうし、さらには粗末そまつ供物くもつ(例えば数匹のざかなやいくつかの貝殻かいがらなど)をそなえ、風雨順時ふううじゅんじ、航海の安全、家族の健康を祈願きがんし、灯台の中のあの神秘的な存在の再度の恩顧おんこを願った。


彼らは中に龍女がいることなど知らず、「白龍娘々(はくりゅうニャンニャン)」の名など思いもよらなかった。彼らはただ、自分たちの神仏に対する全ての想像と期待を、あのぽつんと立つ石の塔に投影とうえいしていたのだ。


この「神珠」にたんはっし、最終的に「神秘の灯台」へと集約しゅうやくされた熱狂は、当然のことながら水面に投じられた小石のように、その波紋はもんを次々と広げ、最終的には十数里離れた県城けんじょうにいるあの父母官ふぼかん――しゅう県令けんれいの耳にも届いた。


周県令は五十路いそじに近く、このまずしい海辺の県城で十年近く県令をつとめ、とうに民の膏血こうけつしぼり上げ、昇進しょうしんの道を探るすべ熟知じゅくちしていた。最初、田舎いなかの漁村で何やら「神珠」だの「めしいが目明きになった」だのという噂を聞いた時は、ただ愚民ぐみん無知むち一笑いっしょうした。しかし、報告がますます詳細になり、せん旦那だんなの家の老夫人のことまで氏名しめい共にはっきりし、果ては自分の部下ぶか役人やくにんが村へ下った際にも「灯台顕聖けんせい」に関する様々な話を聞いたと知るにおよんで、周県令の久しく沈黙ちんもくしていた功利こうりの心が、まるで火のを投じられたかわいたしばのように、またたに燃え上がった。


彼にとって、灯台に住んでいるのが媽祖様のご顕現であろうと、どこかのけた海の怪物かいぶつであろうと、どうでもよかった。彼が知っていたのは、そこには力の源泉げんせんがあるということだけだった! 盲の目を開かせ、重病をやすことのできる力が! この力がもし自分のものとなれば……さらに多くの「神珠」をこごらせて上役に献上けんじょうし、それを昇進のきざはしとするもよし。あるいはひそかに掌握しょうあくし、それを自分の蓄財ちくざいや地方を威圧いあつする道具とするもよし。さらには、この「祥瑞しょうずい」の事をうまく操作し、朝廷ちょうてい上奏じょうそうして美名びめいを得るだけでも……どれを取っても、この貧しい県城から抜け出し、一足飛ひとっとびに立身出世りっしんしゅっせする絶好ぜっこうの機会だった!


「行け! 更に人をつかわせ!」周県令は書斎しょさい興奮こうふんして手をみ、腹心ふくしん師爺しやと数人の機転きてんく役人に命じた。「あの漁村、特にあの打ち捨てられた灯台を厳重げんじゅうに見張れ! それから、あの……阿鯉とかいう小僧、奴の親父も良くなったそうじゃないか? 奴はきっと何か知っている! 覚えておけ、まずは草を打って蛇を驚かすな、念入ねんいりに調べろ! 灯台の中に一体何者がいるのか、あるいは……何がいるのか、わしは知りたいのだ!」


こうして、県の役人たちはまるで血の匂いをぎつけたはえのように、ますます頻繁ひんぱんに海辺の漁村に姿を現すようになった。


当初、彼らはまだ体裁ていさいつくろい、三々五々(さんさんごご)、普段着ふだんぎをまとい、市場いちばへ向かう漁民にまぎれたり、通りすがりの行商人ぎょうしょうにんよそおったりして、村の茶屋ちゃや酒場さかばでそれとなく情報を探っていた。最近の漁の獲物えものたずね、村の新しい出来事を話し、そして「さりげなく」銭家の老夫人の奇聞きぶんれたり、阿鯉の家の様子を尋ねたり、あの打ち捨てられた灯台に少し「好奇心こうきしん」を示したりした。


しかし次第しだいに、彼らの偽装ぎそううすれ、目的意識もくてきいしきもますます強まっていった。彼らは官服かんぷくをまとい、こしに刀をび、三五人さんごにんれをして村を「巡視じゅんし」し始めた。彼らの態度も、最初の探りを入れるようなものから、丁寧ていねいさの中にも有無うむを言わせぬ「ご挨拶あいさつ」へと変わっていった。


彼らは「心配」して村人たちに最近何か異変いへんを見なかったか、灯台に祈願きがんして何か「ご利益りやく」をさずかったかを尋ねた。彼らは「ついでに」阿鯉の家の前を通りかかり、快方かいほうに向かっている阿鯉の父親に安否あんぴたずね、言葉の端々(はしばし)には常に「神珠」と「灯台」がちらついた。彼らはては村の老人や漁師を直接訪おとずね、なか尋問じんもん、半ば威圧いあつするように灯台の伝説や阿鯉の日頃の行動について聞き出した。


ある時、阿鯉が一籠ひとかごの魚を背負しょって浜辺から戻ってくると、村の入り口で二人の役人に「偶然」出くわした。


「よう、阿鯉の小僧じゃないか?」一人の役人が薄笑うすわらいをかべて彼をさえぎった。「お前の親父さんの具合がすっかり良くなったと聞いたぞ? 実にめでたいことだ! 我らが周様もそれを知って、お前のことを喜んでおられるぞ!」


阿鯉は心臓がちぢみ上がったが、顔にはおくびにも出さず、ただこうべれてこたえるしかなかった。「役人様のご配慮はいりょ、痛み入ります。県令様にご心配をおかけし、恐縮きょうしゅくです」


もう一人の役人は進み出て、阿鯉の魚籠びくたたき、何気なにげない様子で尋ねた。「大漁たいりょうじゃないか。ところで小僧、お前の家はあの海辺の廃灯台はいとうだいに一番近いそうだな。最近何か……奇妙きみょうなことを見聞きしなかったか? 例えば、何か光とか、変な音とかだ。県令様も地方の安寧あんねいを心配しておられてな、何かけがれたものが民をさわがせていないかと気にしておられるのだ」


阿鯉の心臓は喉元のどもとまでせり上がり、必死ひっし平静へいせいよそおって首を振った。「役人様のおたずねですが、何も。あれはただのこわれた塔で、海鳥うみどりねずみくらいしかおりません。わたくしどもはおそろしくて近づきません」


「そうか?」最初の役人は目をほそめ、その口調にはどこか意味深長いみしんちょうひびきがあった。「それなら良い。だがな、小僧、もし本当ほんとうに何かを発見したり……あるいは何かを思い出したりしたら……真っ先に役所やくしょに届け出るんだぞ。我らが周様はおっしゃっていた、忠実ちゅうじつ正直しょうじき良民りょうみんには、つね褒美ほうびしまぬ、と……」


その「褒美」という二文字は、彼がかるくゆっくりと言ったにもかかわらず、阿鯉は全身に冷やひやあせをかいた。これはどこが挨拶あいさつか、明らかに牽制けんせい警告けいこくではないか!


役人たちのこの日増しに頻繁ひんぱんになる、圧力を伴う「ご配慮」は、漁村全体の雰囲気を緊張きんちょうさせた。村人たちが灯台の方角へ向ける視線はさらに複雑になり、阿鯉へ向ける視線にも猜疑さいぎ疎遠そえんの色が加わった。そして阿鯉は、まるで目に見えないあみに徐々(じょじょ)に追い詰められる魚のように、役所からの重い圧力を感じていた。


彼は知っていた、周県令の忍耐にんたいには限度げんどがあると。この県太爺けんたいやみずからが灯台に「ご光臨こうりん」なさる日も、おそらく遠くはないだろうと。そして彼はそれまでに、対応策たいおうさくを考え出すか、あるいは……最悪さいあく結果けっかむかえる準備じゅんびをしなければならなかった。灯台の平穏へいおんは、すでに引きひきしお後の砂浜すなはまのように、水をとどめてはおけなかった。


日々は張りめた静けさのうちに過ぎていった。外界がいかいでの「灯台の神異しんい」に関する噂と県令のじりじりとした追及ついきゅうは、かたちのない暗雲あんうんのように、ますます低くめてきた。一方いっぽう、灯台の内部は、まるで忘れられた孤島ことうのように、もろ均衡きんこうを保っていた。


ある雨風の激しい、塔内がことさらにいんうつで冷えんだ夜まで。


この嵐は異常なほど激しく、狂風きょうふうはまるで野獣やじゅうのようにふるい石の塔に衝突しょうとつし、重苦しい怒号どごうを上げていた。雨水あまみずはまるで誰かがむちちつけるように、密集みっしゅうして塔のかべたたきつけ、長年ながねん放置ほうちされていたんだいくつかの隙間すきまからは冷たい雨水がみ始め、元々湿しめっぽい塔内をさらに寒気さむけたせていた。阿鯉は焚火たきびをさらに強くやさざるをなかったが、れるほのおもまた、周囲しゅういわずかな暗闇くらやみさむさをはらうだけで、空間全体をおおうことはできなかった。


まさにそんな夜、それまで比較的ひかくてき落ち着いていた白璃パイ・リーが、突然とつぜんひどく不安ふあん様子ようすを見せた。


彼女はくさやまちぢこまり、からだ制御せいぎょできずにぶるぶるとふるわせ、元々蒼白そうはくだったほおは今やまったがなく、くちからはこまかいうめごえらし、それは苦痛くつう寒気さむけに満ちているようにこえた。ひたいにあるちいさなたまつのも、光沢こうたくがかなりうすれているようだった。


小青シャオチンはすぐに彼女のそばり、まゆかすかにひそめた。これは阿鯉が彼女のかおに「憂慮ゆうりょ」に感情かんじょうを見た最初さいしょだった。彼女はばし、なにらかの方法ほうほうで白璃の寒さをはらおうとしているのか、指先ゆびさきあわみどりひかりまとわせ、そっと白璃の額をおおった。彼女はまたひくこえで、なん言葉ことばもないが非常ひじょう優雅ゆうが奇妙きみょう調しらべをくちずさみはじめた。それはなにかのなぐさめの呪文じゅもんうたのようだった。


以前は、小青のこれらの方法ほうほうつねに何らかの効果こうかがあり、白璃を落ち着かせることができた。しかし今夜こんや、白璃のふるえはすこしもかるくなることはなく、むしろなにかさらにふかさむさのなかおちいったかのようで、呼吸こきゅうさえもすこあらくなっていた。小青のつね完璧かんぺきかおに、はじめてごくわずかな途方とほうれたようないろがよぎった。


阿鯉は傍らで見ていて、こころけられるようだった。彼は十分じゅうぶんあたたかさをもたらすことのできないようにえる焚火たきび、白璃のからだにかかっているうす白衣しろぎぬと、湿気しっけ完全かんぜん遮断しゃだんできないくさ、そしてなしといった様子ようす小青シャオチンを見た……


とっさに、彼の視線しせんすみにある麻袋あさぶくろ――そこには彼のふる漁師りょうしふくはいっていた――にちた。


彼はこの漁師の服の奇特きとくさをおもした:異常いじょうなほど丈夫じょうぶで、あまりみずわず、つね一定いってい乾燥かんそう温度おんどたもっているようにえる。いま、白璃のくるしそうな様子ようすて、彼女のためになにかをしてやりたいというつよ衝動しょうどう躊躇ためらいをやぶった。


もしかしたら……このおなじく神秘的しんぴてきな漁師の服が、彼女にいくらかのまことあたたかさと保護ほごをもたらすことができるかもしれない?


阿鯉はもうかんがえるのをやめ、足早あしばやすみき、麻袋あさぶくろほどき、あのほこりっぽい漁師の服をした。にした感触かんしょくはやはり奇妙きみょうで、塔内とうないはかくも陰鬱いんうつ湿しめっぽいのに、それはまるで乾燥かんそうしたような、かすかな温和おんわかんじをびていた。


彼は漁師の服をち、白璃のそばへった。小青はあたまげ、すこいぶかしげにかれた。


「もしかしたら……これで彼女かのじょすこしはあたたかくなるかもしれない」。阿鯉は小声こごえ説明せつめいし、小青の反応はんのうにかけなかった。彼は注意深ちゅういぶかく漁師の服をひろげ、できるかぎやさしい動作どうさで、このかれおおくの不可解ふかかい一抹いちまつ恐怖きょうふいだかせる古着ふるぎを、ゆっくりと、ゆっくりと――白璃のつめたくふるえるからだにかけた。


漁師の服のやわらかく強靭きょうじん生地きじが、白璃のうす曲線きょくせんかるおおった。


漁師の服が白璃の身体に完全に触れた、その刹那せつな――


漁師の服が白璃の身体に触れた刹那――ごう


阿鯉の脳裏のうりは、まるでいかずちたれたかのようだった! 無数むすう混乱こんらんし、くだったひかりかげ断片だんぺんが、津波つなみのようにせてきた!


阿鯉の脳裏は鮮明せんめい映像えいぞうを見たわけではなく、瞬間的しゅんかんてき理解不能りかいふのうおと光影こうえいまれた! みみろうするような金鐃きんどう衝突音しょうとつおんするどく、横暴おうぼうで、まるでたましいかんばかり! つづいて、壮大そうだい厳粛げんしゅく、それでいて無限むげんかなしみをびたぼんばい詠唱えいしょうひびき、ふたつのまったことなるおとはげしく対立たいりつし、交錯こうさくし、ほとんど彼の意識いしき粉砕ふんさいせんばかりだった!


光影こうえい断片だんぺんなかで、彼はまるでくらむようなきんひかり牢獄ろうごくのように収縮しゅうしゅくし、そのなかなにかがめられているのをたかのようであり、また回転かいてんする金色こんじき蓮台れんだいたかのようであり、蓮台れんだいうえにはぼんやりとした僧侶そうりょかげがあったかのようであり、さらにはてんくような妖気ようきぶつこうはげしく衝突しょうとつし、天地てんちくような光景こうけいこしているのをたかのようだった……最後さいごに、すべてのおと光影こうえい言葉ことばにできないほどの、巨大きょだい圧迫感あっぱくかん宿命感しゅくめいかんへと集約しゅうやくし、容赦ようしゃなく彼のたましい深奥しんおうたたきつけられた!


「うあああ――っ!」阿鯉はあたまかかえ、苦痛くつうちたさけびをげ、まえくらになり、そのままうしろへたおみ、はげしくあえぎ、あせまたた背中せなからした。


阿鯉はおおきくいきみ、脳内のうない激痛げきつう混乱こんらんした映像えいぞうしおのようにいていくと、骨髄こつずいるような疲労感ひろうかん巨大きょだい茫然自失ぼうぜんじしつだけがのこった。彼は白璃のからだにかけられた漁師りょうしふく、そして白璃をた――彼女かのじょは漁師の服におおわれたことでたしかにすこしはやすらいだようにえた――強烈きょうれつ予感よかんかれとらえた。この世界せかい、この灯台とうだい、白璃、小青、自分じぶん自身じしん、そしてこの漁師の服、このもり……すべてがおかしい! 背後はいごにはかならなに巨大きょだいな、かれには到底とうてい理解りかいできない秘密ひみつかくされている!


恩公おんこう?!」小青のこえめずらしくすこしのあせりをび、素早すばやかれのそばへってきた。かれ様子ようすたしかめようとしたのか、それとも白璃のからだから半分はんぶんすべちた漁師の服をととのえようとしたのか、彼女かのじょ指先ゆびさき偶然ぐうぜん漁師の服の布地ぬのじれた。


れた瞬間しゅんかん、小青のからだがごくわずかに硬直こうちょくし、つづいて阿鯉は、彼女かのじょつねのなかったかおが、さらに蒼白そうはくになり、くちびるいろさえもうしなったのをた! 彼女かのじょなにかにされたかのように、素早すばやめ、その漁師の服をにははじめて驚疑きょうぎと……言葉ことばにできないほどの拒絶感きょぜつかんちていた。


阿鯉はこそうともがき、ちょうどその一部始終いちぶしじゅうたりにした!


さきほどのおそろしいフラッシュバックの体験たいけんがまだこころのこっているのに、いままた小青が漁師の服にれたあと異様いよう状態じょうたいを目のたりにして……阿鯉の心中しんちゅう警鐘けいしょうおおきくひびいた!この漁師の服は絶対ぜったいにおかしい! 自分じぶん脳裏のうりにあのおそろしい記憶きおくこすだけでなく、小青にたいしてもなにか……くない影響えいきょうあたえているようだ!


彼はほとんど手足てあし使つかってうようにちかづき、あのふるい漁師の服を白璃のからだから手繰たぐるようにげ、まるでそれがくような烙印らくいんひとらう毒蛇どくじゃであるかのように、しっかりと自分じぶんにぎりしめた。彼は警戒けいかいするように、顔色かおいろしろくし、まだ完全かんぜんわれかえっていないようにえる小青を一瞥いちべつした。


白璃をると、彼女かのじょは漁師の服が突然とつぜんられたことでまたかすかにふるはじめたようだった。阿鯉はいしばり、周囲しゅうい見回みまわし、比較的ひかくてき乾燥かんそうしてやわらかいくさおおきくつかみ、ふたた丁寧ていねいに白璃のからだにかけ、すこしでも寒気さむけしのげるようにとねがった。


これらすべてをえると、彼はあのふるい漁師の服をち、がり、灯台とうだいのそばや白璃からとおく、そしてできるかぎり小青からもとお陰気いんきすみき、漁師の服を力一杯ちからいっぱまるめて、ふるびた麻袋あさぶくろみ、さらに数個すうこくだけたいしさえけた。かれ这样做このようにすることやくつかどうかわからなかったが、本能的ほんのうてきにこの不気味ぶきみなものを「隔離かくり」したかった。


しかし、まさにこのあと、阿鯉は次第しだいなにかおかしいとかんはじめた。


小青は依然いぜんとして完璧かんぺき彼女かのじょ職責しょくせきたしていたが、時折ときおりとくにあの漁師の服がかれた石台いしだいちかくをとおとき彼女かのじょのいくつかの行動こうどうきわめて微細びさいな「瑕疵かし」があらわはじめた。


たとえばあるとき彼女かのじょはいつものように清水しみずこごらそうとしたが、ゆびいんむす動作どうさがごく短時間たんじかん途切とぎれ、こごらされた水流すいりゅう以前いぜんほど純粋じゅんすい安定あんていしていないようにえ、彼女自身じしん一瞬いっしゅん呆然ぼうぜんとしたかのようで、かおには彼女自身じしんづいていないかもしれないほど素早すばや困惑こんわくいろがよぎった。


またたとえば、阿鯉は、彼女かのじょ薬草やくそうしるれた陶器とうきわんって、あの漁師の服がかれた石台いしだいのそばをとおぎるときに、足元あしもとがふらつき、ゆびがごくわずかにふるえ、わんなか薬汁やくじゅうがこぼれそうになったのを、たしかにこのた――これは、つね動作どうさ正確せいかくで、磐石ばんじゃくのように安定あんていしていた小青にとって、まさにしんじられない失態しったいだった。


彼女かのじょは……よわくなったのか? あるいは、彼女かのじょのあの不思議ふしぎ能力のうりょくが、なにらかの妨害ぼうがいけているのだろうか?


阿鯉は石台いしだいうえしずかによこたわるあのふる漁師りょうしふく、そしてなにづいていないかのように白璃パイ・リー完璧かんぺきつかつづける小青シャオチン心中しんちゅう疑念ぎねんしおのようにえずたかまっていった。この漁師の服は、けっして丈夫じょうぶなだけではない……それは白璃と、そして小青とのあいだに、一体いったいどんなつながりをかくしているのだろうか?


彼はこえにはさなかったが、ただこの困惑こんわく警戒心けいかいしんを、さらにふかこころそこめた。外界がいかいあらしせまっており、塔内とうない均衡きんこうもまた、このふるい漁師の服の存在そんざいによって、最初さいしょ微細びさい亀裂きれつしょうはじめたようだった。


平穏へいおんは長くはつづかなかった。数日後すうじつごしゅう県令けんれいみずか一隊いったい役人やくにんと、かれ重利じゅうり約束やくそくされてかお貪欲どんよくさをかべた数人すうにん村人むらびと代表だいひょうれて、灯台とうだいまえにやってた。


「このに海神娘々(かいしんニャンニャン)がご顕聖けんせいされたとおよび、本官ほんかんとくに娘々(ニャンニャン)を県衙けんがにおむかえし、ご供養くようもうげ、もって県下けんか万民ばんみんのためにもご祈祷きとういただこうとまいった!」周県令はとうそとち、こえは朗々(ろうろう)としていたが、その態度たいどには拒絶きょぜつゆるさぬ威圧感いあつかんただよっていた。


阿鯉はすぐにとう門前もんぜんちはだかり、来者らいしゃ不善ふぜんさとった。「うちの小姐おじょうさまは……いや、龍女娘々(りゅうじょニャンニャン)はご気分きぶんすぐれず、来客らいきゃくにはおいになれませんし、ましてやこのはなれることなど!」


無礼ぶれいな!」一人の役人やくにんきびしくしかりつけた。「県尊けんそん大人たいじんが直々(じきじき)におしになったのだぞ、貴様きさまのような漁師りょうし小僧こぞう邪魔じゃまをしてよいものか! さっさとお退もうし、龍女娘々をおししろ!」


駄目だめだと言ったら駄目だめだ!」阿鯉はかたわらの青竹あおだけもりにぎりしめ、一歩いっぽゆずらなかった。


「ふん、あついもてなしをれぬとはな!」周県令はかおくもらせ、目配めくばせをした。「ものども、なかはいって『おむかえ』しろ! 邪魔じゃまするものがあれば、一纏ひとまとめにとらえよ!」


役人やくにんたちはたちまちおおかみとらのようにおそいかかってきた! 阿鯉はもりるって必死ひっし抵抗ていこうしたが、相手あいて多勢たぜい無勢ぶぜいもなくさえられそうになった。


そのときみどりかげがひらりとい、小青が阿鯉のまえちはだかった。彼女かのじょおそいかかる役人たちにかい、つきはこおりのようにつめたく、両手りょうて素早すばやくいくつかの奇妙きみょういんむすび、なにらかのじゅつほどこして一同いちどうそととどめようとしたかのようだった。


しかし、奇怪きっかいなことがこった!彼女かのじょいんむすつきは流麗りゅうれいなままだったが、予期よきしたひかりちからあらわれず、あるいはきわめて微弱びじゃくで、まるで風前ふうぜんともしびのようだった!彼女自身じしん呆然ぼうぜんとし、かおにははじめてあきらかな驚愕きょうがく虚弱感きょじゃくかんかんだ。彼女かのじょ視線しせん無意識むいしきのうちに、塔内とうないすみにあるあのたないふる漁師りょうしふくへとけられた。


まさにこの一瞬いっしゅんおくれが命取いのちとりだった。役人たちはすでに彼女かのじょ防御ぼうぎょやぶっていた! 小青は二人ふたりの役人に左右さゆうから羽交はがめにされ、必死ひっしにもがいたが、まるでちからせないようだった。阿鯉もまたたおされ、麻縄あさなわ雁字搦がんじがらめにしばげられた。


「あのしろふくおんなせ!」周県令は貪欲どんよく灯台とうだいおくのぞんだ。


白璃はそとさわぎにおどろいてましたのか、茫然ぼうぜん恐怖きょうふちたかお入口いりぐちていた。彼女かのじょいまや、普通ふつうの、かよわ無力むりょく少女しょうじょのようにえた。二人ふたり役人やくにん獰猛どうもうみをかべてちかづき、乱暴らんぼう彼女かのじょきずりした。


旦那様だんなさまみなとらえました!」


「よし!」周県令はおびえた小鹿こじかのような白璃を失望しつぼういろかべた。かれ想像そうぞうしていたようなたからひかり四方しほうすのをなかったが、それよりもすべてを掌握しょうあくした得意満面とくいまんめん表情ひょうじょうだった。「れてけ! むらほこられてき、丁重ていちょうに『ご供養くよう』しろ! さすがの彼女かのじょ本官ほんかんうちからはのがれられまい!」


阿鯉と小青、白璃の三人は、こうして乱暴らんぼう連行れんこうされ、灯台とうだいはなれ、むらほこら一時的いちじてきに「収監しゅうかん」された。周県令の算盤そろばんたかっていた。「龍女娘々(りゅうじょニャンニャン)」を支配しはいすれば、奇跡きせきとみ源泉げんせん支配しはいしたも同然どうぜんだ。かれ支配下しはいかにある「神女しんにょ」が、どれほどおどろくべき「ちから」を発揮はっきするか。


漁村のほこらは、普段ふだん祭祀さいしときにしか開放かいほうされない厳粛げんしゅく場所ばしょだが、此刻いまは阿鯉たち三人さんにん監禁かんきんする臨時りんじ牢獄ろうごくとなっていた。祠の内外ないがい灯火とうかで煌々(こうこう)とらされ、役人やくにんたちが水火棍すいかこんを手に、ここを水泄すいせつ不通ふつうかこんでいた。さらにとおくには、黒山くろやまひとだかりが、くびばして見物けんぶつしているか、あるいはよからぬことをたくらんでいる村人むらびとたちがいた。


阿鯉は両手りょうてうしろにしばられ、口元くちもとにはまだあとのこっており、白璃と小青が祠の正殿せいでん中央ちゅうおうめられ、四人よにんの役人に見張みはられているのを、ただなすすべもなくていることしかできなかった。白璃はすみちぢこまり、からだかすかにふるわせ、その金色こんじきひとみ恐怖きょうふ茫然自失ぼうぜんじしつち、おびえた小鹿こじかのようだった。小青は白璃のまえちはだかり、おなじくとらえられてはいたが、かおにはおそれるいろはなく、ただそのぎるほどったが、祠の入口いりぐちでうろつきまわり、満面まんめん紅潮こうちょうした人影ひとかげ――周県令をつめややかにつめていた。


周県令は此刻いま、たいそう得意気とくいげで、まるで自分じぶん立身出世りっしんしゅっせ未来みらいえているかのようだった。かれ咳払せきばらいをし、白璃にかい、自分じぶんでは温和おんわだとおもっている口調くちょうった。「こちらのおかた……ええと、龍女娘々、本官ほんかんもそなたのためをおもってのこと。そと悪辣あくらつたみおおく、娘々の清修せいしゅうさまたげるおそれがある。娘々が本官ほんかん協力きょうりょくし、数個すうこの……ええと、神珠しんじゅし、当県とうけんたみのために祈祷きとうしてくださるなら、本官ほんかんかなら最高さいこう格式かくしきでもってご供養くようし、そなたのこのでの無事ぶじ保証ほしょういたそう」


白璃はおびえたのか、ただ小青のうしろへさらにちぢこまるだけで、返事へんじはなかった。


小青はつめややかにった。「あるじ重傷じゅうしょういまだえず、神通力じんつうりき使つかうこともできず、ましてやせるような神珠しんじゅなどございません。大人たいじんがもしたみおもわれるなら、われらをらせ、おさわがせなきようおねがもうげます」


無礼ぶれいな!」周県令のかたわらにいた師爺しやがすぐに甲高かんだかこえしかりつけた。「県尊けんそん大人たいじん好言こうげんをもっておさとしになっているのに、貴様きさまら、ほどらぬとは! まさか本当ほんとうあついもてなしを無下むげにするつもりか?」


周県令の顔色かおいろもまたくもった。かれ元来がんらい、この「龍女」が神通力じんつうりきつからには、かならなにか神々(こうごう)しいところがあるだろうとおもっていたが、たところこれほど……普通ふつうでかよわいとは? このくち達者たっしゃ侍女じじょも、たいして特別とくべつなところはないようだ。うわさ間違まちがっていたのか? それとも彼女かのじょたちがわざとかくしているのか?


彼がまさにおころうとしたとき、一人の役人やくにんあわててそとからんできて、かれ耳元みみもと何事なにごとささやいた。周県令の顔色かおいろ瞬間しゅんかんきわめてけわしくなり、ひたいには青筋あおすじかびがった。


なにだと? 隣県りんけん欲張よくばりめもっただと? ひと寄越よこしただと?!」周県令はおもわず小声こごえい、一抹いちまつすごみがひらめいた。隣県の県令はかれ長年ながねん宿敵しゅくてきで、日頃ひごろから貪欲どんよく狡猾こうかつ渾名あだなは「皮剥かわはぎ」だ。もしかれさきされてこの「龍女」をれられたり、あるいはうえされたりしたら、自分じぶん利益りえきられないばかりか、ことによると厄介やっかいなことになろう!


旦那様だんなさま猶予ゆうよはございませんぞ!」師爺しやちかづき、こえひそめ、その陰湿いんしつひかり宿やどらせた。「この『龍女』、素性すじょうれず、ちから怪異かいいふくるかわざわいるか、いまわかかりませぬ。いますぐおやくてぬうえ他人たにんうばわれるおそれもあるとなれば、のこしておくのはかえって禍根かこん学生がくせいけんじるところ、いっそ……」かれくさ仕草しぐさをした。


周県令はまゆをきつくせ、まだ躊躇ためらっていた。


師爺しやはさらにそそのかした。「旦那様だんなさまかんがえくだされ、この精怪せいかい異類いるい、その死後しご遺体いたい骨血こっけつこそ、あるいはまこと宝物ほうもつやもしれませぬぞ! 古来こらい伝説でんせつでは、りゅうきも鳳凰ほうおうずい滋養強壮じようきょうそう聖品せいひん延年益寿えんねんえきじゅ妙薬みょうやくとか! たとえそうでなくとも、一把いっぱはらえば、対外的たいがいてきにはたみのためにがいのぞき、この『妖乱ようらん』をしずめたと宣言せんげんでき、大手柄おおてがらではございませんか? あの欲張よくばりめにさせるよりは、よほどましでございましょう!」


周県令は白璃のかよわ様子ようす、また欲張よくばりめがもなくあらわれるかもしれないという脅威きょうい、そして師爺しやえがいた「死後しご価値かち」と「たみのためにがいのぞく」という功績こうせきおもい、心中しんちゅう天秤てんびん急速きゅうそくかたむいた。きていて、うことをかない「神女しんにょ」を支配しはいするのは面倒めんどうぎ、危険きけんもまたおおきすぎる。それにくらべれば、んだ「妖女ようじょ」とその存在そんざいしうる「遺宝いほう」のほうが、より確実かくじつで、よりかれ利益りえきかな選択せんたくのようにおもわれた。


「よし!」周県令のすごみが一閃いっせんし、ついに決心けっしんした。「このおんな素性すじょうれず、妖孽ようげつたたりをなし、郷民ごうみんまどわすおそれあり! 後顧こうこうれいをつため、即刻そっこく……このほこらまえにて、もってこれをき、もっせしめとせよ!」


この命令めいれいされると、かたわらの役人やくにんさえもおどろいたが、県令の拒否きょひゆるさぬ眼差まなざしをて、かたあたまきながらもめいけるしかなかった。


旦那様だんなさま、ご英明えいめい!」師爺しやって称賛しょうさんした。


そと村人むらびとたちはどよめきをき、やはり騒然そうぜんとなった。さきほどまで神女しんにょ祝福しゅくふくいのっていたかとおもえば、つぎ瞬間しゅんかんには彼女かのじょころそうというのか? しかし県令の命令めいれいてんであり、くわえて一部いちぶの人々(ひとびと)のこころに元々(もともと)存在そんざいした恐怖きょうふ妖孽ようげつころすのは間違まちがいない)と、のいくらかの人々(ひとびと)のひそかな貪欲どんよく(もしかしたら骨灰こつはい遺宝いほうすこしはれられるかもしれない?)から、だれえて反対はんたいするものはいなかった。もなく、役人やくにん指揮しきもと村人むらびとたちは七手八脚しちしゅはっきゃくほこらまえまきげ、簡素かんそ獰猛どうもう火刑台かけいだい迅速じんそくかたちした。


「やめろ! あんたたち、そんなことしちゃいけない!」阿鯉はかんばかりにいかり、くるったように抵抗ていこうしたが、なわはますますきつくまるばかりだった。「彼女かのじょ無実むじつだ! ひとたすけたんだぞ!」


しかしかれさけびはざわめく人声ひとごえまきおとにかきされた。


白璃もまた、これからなにこるのかをさとったのか、おそろしさのあまり全身ぜんしんふるわせ、なみだめたが、くちびるかため、さけごえげなかった。小青は白璃を背後はいごかばい、つめややかにこの一切いっさいつめていた。彼女かのじょ眼差まなざしにははじめて、なに絶望ぜつぼうちかこおりのような殺意さついただよっていたが、しばられ、ちから制限せいげんされた彼女かのじょもまた、どうすることもできなかった。


もなく、火刑台かけいだいがった。二人ふたり役人やくにん獰猛どうもうみをかべてちかづき、抵抗ていこうをやめない白璃と小青を強引ごういんきずってき、乱暴らんぼうだいしばけた。


けろ!」周県令はちきれないといった様子ようす命令めいれいくだした。夜長夢多よながゆめおおし、あるいは「皮剥かわはぎ」のものどもに鉢合はちあわせするのをけるため、一刻いっこくはやくこの一切いっさいわらせたいかのようだった。


一本いっぽんさか松明たいまつが、はな松脂まつやににおいをただよわせながら高々(たかだか)とかかげられ、あの乾燥かんそうしたまきやまかって、ゆっくりととされていった……


阿鯉のこころそこなしの深淵しんえんへとしずんでいった。

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