持つべき者は……
「それでフリーになって何をやるの?」
「まずは国内を旅しながら珍しい薬草を探したり研究したりで学会にレポートを提出したりしながらのんびりしようかな、と思います」
それ、のんびりとは言わないんじゃないの?
薬師は組織は無いけど、その代わり定期的にレポートを提出しなきゃいけない。
レポートの提出が出来なかったり出来が悪かったりすると薬師の免許を剥奪される可能性があるらしい。
というのは権力に物を言わせる輩を出さない為、と王妃様から聞いた事がある。
『一度権力を持つと堕落してしまう輩を見てきたからある程度の危機感を持ってもらわないと国の為にも自分の為にもならない』とは王妃様の弁である。
「薬師も錬金術師みたいに協会を作れば良いんですけどね〜」
「いやいや、王妃様が錬金術師の協会を作ったのは自由人が多すぎるのが理由だからね? 組織化しないと自由過ぎて色々やらかす人が多いから作ったんだから」
……私はちゃんとしてるわよね?
「話は戻すけど、じゃあこれから活動をしていくのね?」
「えぇ、まずはこの辺から攻めていこうかな、と思ってるんです。 やっぱり手付かずの所が新種の薬草とか生えている可能性が高いじゃないですか」
「それじゃあ暫くはこちらにいるつもりなのね?」
「えぇ、そうですけど」
「だったら協力してもらいたい事があるのよ」
私は薬草畑の事を話した。
「薬草の人工栽培ですか、めっちゃ興味ありますよ! 是非是非協力させてください!」
前のめりになって話にのってくれた。
やっぱり人間関係って大事よね。




