友人との再会
薬草の事で頭を悩ませていた時、扉を叩く音がした。
はて、今日はポーションの回収日じゃない筈、もしかして協会の人だろうか?
そんな事を思いながら扉を開けた。
「ミラーゼ様、お久しぶりです!」
「リアミルじゃない!」
その人物の顔を見て驚きの声をあげた。
彼女の名はリアミル・ティスアル、男爵家の令嬢であり学院時代の数少ない友人の1人だ。
「漸く時間が出来たので遊びに来ちゃいました!」
「遊びに来た、て……、私住所の事教えてないよね? どこでわかったの?」
「王妃様が教えてくれたんです」
あぁ~、なるほどね。
王妃様には定期的に連絡しているから知ってるのも当たり前か。
私は紅茶を出した。
「そういえばリアミルは卒業後は何をしていたの?」
「王宮の薬剤科に勤めていたんですけど、そこがもう労働環境が最悪だったんですよ。毎日残業は当たり前だし論文は書かなきゃいけないし書いたら書いたでボツにされたと思ったら上司の名前で上に取り上げられて手柄を横取りされていたり……」
出てくる出てくる数々の愚痴の嵐……。
王宮の仕事って基本的にブラックが多くて体を壊したり精神を病んだりする人が多い。
でも給料が良いから就職率は良いのよね、離職率も多いけど。
「私は元々フィールドワークがやりたくて就職したのに、このままじゃ駄目になる、と思って……辞めてフリーの薬師になりました」
「それは思いきった決断をしたわね、実家は大丈夫なの?」
「大丈夫です、『一度の人生なんだから貴女の好きな事をやりなさい』と言われたので」
リアミルの家は仲が良いから羨ましかったのよね、常に笑顔で明るくて……、私に無い物を持っている。
だから、仲良くなれたのよね。




