井戸を修復したら……
「じゃあ早速始めますか」
私は井戸だった物に手を当てた。
「『修復開始』、元ある姿に戻りたまえ」
そう唱えると井戸だった物は光に包まれ収まると割れていたり欠けていた部分は修復されている。
錬金術は材料さえあれば何でもできる、特に井戸とかは土とか石とかが材料だからそこら辺にあるので簡単に出来るのだ。
ただ、出来たのはあくまで『皮』だけなので『中身』が伴っていない事もある。
この場合は水脈が中身になるんだけど……。
「さて、水はどうなってるのかしら?」
井戸を覗き込むが奥が暗くて何も見えない。
だがコポコポという音が聞こえている、これは水が流れている証拠だ。
私は早速縄に木の籠をつけて井戸の奥へと降ろした。
プカプカと浮かぶような感触があり、縄を引っ張った。
多少の重みがあるので手応えはありだ。
引っ張り上げた籠の中には水が入っていた。
「良かったぁ、水脈は流れているみたいね、畑の近くに井戸を作ってそこから水路を作れば問題無いわね」
『あ〜、その必要は無いよ』
ん?誰かの声がする?
キョロキョロと辺りを見回すと井戸の近くに男の子が立っていた。
え? いつの間に?
『井戸を修復してくれてありがとう、僕はこの土地の守護神であるイオルと言うんだ』
「え? 守護神? 神様という事ですか?」
『そういう事、この土地から人がいなくなってからは封印状態だったんだけどね』
どうやら私、神様を目覚めさせたみたいです。




