新しくて温かい日々
リーズが生まれて1週間が経過した。
「特に異常は見当たりませんね」
「そうですか、ありがとうございます」
この日、錬金術協会から監査員がやってきてリーズの健康診断をしにやって来た。
ホムンクルスというのは人工的に生まれる為何かしらの障害を持っている事が多い。
言葉が喋れない、耳が聞こえない、目が見えない諸々……。
まぁ、その障害を凌駕する特殊能力を持っているので問題は無いのだが中にはその能力が暴走してしまう事もあるとか。
リーズに関しては身体的障害は無いみたいなので安心した。
「言葉の方は覚えていけば問題無いです、ここまで五体満足で生まれてきたのは奇跡に近いですよ」
監査員はそんな事を言っていた。
(やっぱり賢者の石が良かったんだろうなぁ)
私の腕はともかくとして頂いた賢者の石の出来が良かったのが影響しているのだろう。
「リーズ、ご飯食べようか」
「ン……、タベル」
カタコトだが言葉も少しずつ覚えてきている。
(娘を持つ、てこんな気持ちなんだなぁ……)
リーズの一挙一動が愛おしくてたまらない。
「スプーンの持ち方はこう、わかる?」
「ワカル、コウ?」
「うん、そうそう。良く出来たね、偉いよリーズ」
私が褒めるとリーズは嬉しそうに笑う。
(お母様も幼い頃は私を愛してくれていたのかしら……?)
ふとそんな事は思った。
魅了のせいとは言え、親の愛を余り感じずに過ごしてきた。
ただメイドだったり一部の人達は優しく接してくれたおかげで私は歪まずに成長出来たと思う。
リーズには私の様な苦い経験を出来るだけさせたくない。
ホムンクルスとか関係無く1人の娘として大事に育てていこう。
そんな事を思った。




