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婚約破棄されました

新作です、よろしくお願いします。

 あぜ道を鉄格子が付いた馬車が通っていく。


 ガタンゴトンと馬車内も揺れ長椅子に座っていても座り心地が悪い。


(あと、どれくらいかかるのかしら?)


 私、ミラーゼ・コンセレイソンはそんな事を思っていた。


 馬車内にいるのは私と見張りの兵士のみ、兵士は一言も喋らない。


(まぁ私も話さないんだけど沈黙ってこんなに気まずいものなのね)


 内心、私は苦笑いしながら早く目的地につかないかなぁ、と思っていた。


 今の私の格好はどっからどうみても平民である。


 先日までは公爵令嬢として、王太子の婚約者として過ごしていたが卒業記念の夜会で一変した。


 王太子による一方的な婚約破棄宣言、更には貴族籍からの除籍と王都からの追放。


 しかも両親のサインも書いてあるからこれはもう計画的犯行である、としか言いようがない。


(でも、こちらとしては好都合ではあったんだけどね)


 本音を言えば王太子とそのまま結婚したとしても幸せになる未来が見えなかった。


 あるのは仮面をつけた姿のみ、感情を押し殺し国の為に動き『個』を無くしながら生きる日々……。


 うん、全然幸せじゃない。


 だから王太子を奪ってくれた妹には凄く感謝している。


 あの厳しい王妃教育に耐えれるかどうかはわからないけど頑張って欲しい、草葉の陰でお姉さんは祈ってるよ。


 そんな事を考えていたら馬車が止まった。


「着いたぞ、出ろ」


 兵士に言われ私は馬車を降りた。


「王太子様の温情により希望の場所だ、心より感謝せよ」


「ありがとうございます、ミラーゼ、ここを終生の地として生きていこうと思っております」


 断罪された私は追放になった訳なんだけど、王太子が『追放先を選ばさせてやる』と言ったので私は人が来ない辺境の地に行きたい、と申し出た。


 何故なら周囲に振り回されるのはごめんでのんびり暮らしたいから。


 で、用意してくれたのがかつて人が住んでいたである村の跡地みたいな所。


 馬車は私を置いていくとさっさと元来た道を戻っていった。


 私は馬車の姿が見えなくなるまでお辞儀をして見送った。


「さぁて、漸く私の腕を試す時が来たわね」


 私は腕まくりをして気合いをいれた。


 絶望とかマイナスな気持ちなんてこれっぽっちもない、あるのはワクワク感と窮屈な日々からの開放感だ。


「錬金術師としての第二の人生を謳歌するわよ〜!」


 そう、私は公爵令嬢でありながら錬金術師としても活動しているのだ。

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