02
「⋯うーん、その後すぐ寝てしまったか」
目を覚まして、彼は自分の携帯を見て時間を確かめた。
「⋯まだ朝の5時か、大して寝てないじゃないか⋯」
しかし、もう1回携帯を確認したらなぜか着信履歴が画面を埋めていた。
俺はしっかりベットから起き上がって確かめ直した。
「⋯え、上司からの連絡⋯」
その時、彼はやっと気付いた。自分がその日から4日もずっと寝ていたことに。
「⋯俺こんなに爆睡した?⋯」
土曜日に仕事が終わって公園で自分が思ってることを試しその通りになってから帰ってきてすぐ寝たはずだ。
それなのに、なぜ水曜日の朝5時なのか到底理解が追いつかなかった。
驚きを隠せないあまり思考が一瞬止まった。
能力を得た時には快感とこれから試すことばかりを考えて、実際のリスクは何も考えていなかったのだ。
彼はもう1回、現状を把握しながら公園での出来事が夢ではないことを確認した。
俺の考えが甘かった。まったく危険性を考えていなかったのだ。
『⋯この能力が俺の体にどのような影響を与えるのかもまだわからないのに⋯』
彼は一旦、会社に出て体調悪化を理由に仕事を辞めることにした。今の状態では到底、仕事に集中できる気もしない。
会社の人からしたら本当に無責任な人間であろう。
一方的な退職の報告を終えて俺は駅から家まで歩きながら、考えた。
「⋯これから、どうしよう⋯⋯」
「⋯まずはこの力を知らなければ⋯⋯」
でも人間が使って良い力だろうか。
今日で彼は自分の体の変化をより感じることができた。
なぜなら、一日中、周りの音や動きなどを繊細に細かく、そして遅く感じ取れるようになってたからだ。
誤ったらこの力に飲み込まれるかもしれないと。彼は考え続けながら自分を制御した。
俺は、公園で力を使ってから漠然と『何でも』できそうという気持ちが前よりも強くなったことをより感じた。
胸の奥底にある未知なる存在が俺に力を使えと言い聞かせてるかのように。
だが、俺は使うしかない。今までの生活には戻りなくないからだ。
「⋯変わりたい。」
リスクがあるかも知れないし、まだわからない。でもこのまま立ち止まってたら、変わることはない。
家に着いた俺は、心の決心をした。
「⋯誰がくれたのかは知らないが存分に使わせてもらう⋯」