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14 交流

ごめんなさい。昨日アップした分です。13話から読んでくださいね。

14 交流


「おーい、ジョルジュ、フランシス。時間だ。片付けて、手を洗ってこいよ。」

「はーい!ジョルジ―、お疲れさま。おやつの時間だよ、行こう。」


 フランシスに続いて食堂に行くと、ワガシと緑茶が並べられていた。


「お、来たな。お疲れ。」


 声を掛けてきたのはサイト―だった。今日もワガシと緑茶を提供しに来たのだ。子どもたちは一仕事終えた達成感で朗らかに笑っている。今のジョルジュには、それが理解できた。目の前にワガシが差し出された。前にここに来たときは、捨てさせようとしたワガシだ。


「疲れが取れるぞ。食べてみろ。」


 気が付くと、サイト―がこちらを見て微笑んでいた。前に会った時の状況が悪く、ジョルジュはどう対応していいか分からない。


「ああ。」


 そっとワガシを口に運ぶと、甘みの中に爽やかな柑橘の香りもして、思わずうまい、とつぶやいていた。緑茶も爽やかな香りで、今まで飲んだどんな高級な紅茶よりも味わい深い。確かにこの味わいなら貴族たちにも人気があるはずだ。

 ジョルジュは顔をあげて、サイト―に声を掛けようと思いなおした。しかし、その時にはサイト―は別のテーブルへと移動していた。


「緑茶のお代わりがほしいやつは、手をあげろ。」

「はーい」

「よーし、じゃあ、順番に入れていくぞ。」


 楽しそうに子どもたちと接しているサイト―を見ると、自分がどれだけ世間知らずだったか思い知らされる。


「どう?少しは慣れた?午後からは勉強と遊びの時間なんだ。ジョルジュはもう難しい勉強を済ませているだろうから、俺たちの授業じゃ退屈だろうけど。今日はサイト―おじさんが来ているから、ショウギを教えてもらうと良いよ。」

「ショウギ?」

「ああ、チェスみたいなゲームなんだ。」


 アレックスが将棋盤を出してくると、すぐにサイト―が声を掛けて来た。


「お?ショウギか? いつでも相手になるぞ。」


 つい流れでサイト―に将棋を教わることになったジョルジュだったが、心中は疑心暗鬼だ。にこにこと楽し気に声を掛けるサイト―。自分は横領の疑いをかけていたのに、どうしてこんなに笑顔で対応できるのか。腹芸が得意な貴族たちとはまるで雰囲気の違うサイト―に、戸惑うばかりだった。

 気が付けば、夢中になって対局する自分がいて、ジョルジュは驚くと同時に、今まで体験したことがないほどの高揚感を味わっていた。サイト―にはどうしても勝てないが、次こそ!と意欲がどんどんわいてくる。この感覚はなんだろう。だけど、楽しいのだ。


 翌日は畑仕事だった。草むしりをしたり、肥料を与えたり、根菜を収穫したりと、直接土を触ったことすらなかったジョルジュには、大変新鮮な体験だった。


「ま、まさか、土の中で成長していたとは!」

「あら、ジョルジュなら、知識として当然知ってると思っていたわ。」

「ああ、確かに学んではいたが、地面から引っこ抜いても周りにまだ土がついているとは想像もしていなかったんだ。」


 人参が苦手なジョルジュだったが、自らが収穫した人参がきれいに洗われ、料理として出てきたときには、率先して手を伸ばしていた。すると、そっとアレックスが傍に来て、声を掛けた。


「ねえ、ジョルジュ。さっきマリーと何の話をしていたんだい?」

「え?マリー? ああ、あの年長女子のことか。人参が地中で育っているのに驚いていたら、習ったはずだろうってさ。」

「ああ、そうか。マリーの家は、あの村の中でも最後にやってきた家族だったんだ。彼女、実は貴族令嬢なんだ。だから頭もいいし、いつも品があって動作もきれいなんだ。」


 そう言いながらそっとマリーの様子を見るアレックスの目はとてもやさしい。


「へぇ、アレックスって、もしかしてあいつが好きなのか?」


 ほんのからかいのつもりだった。しかし、その反応は大きく、逆にジョルジュを戸惑わせた。


「ま、ま、待ってよ!そ、そんな!えっと、あの。…分からないんだ。だけど、気が付いたらあの子の事を、探している自分がいるんだ。その姿を見るだけで、なんていうか、胸の辺りがキュンってなるんだ。」

「それって…。」

「ああ、言わないで!頼む。」

「分かったよ。じゃあ、二人だけの秘密だな。」

「恩に着るよ。」


 照れたように頬を染めるアレックスに、不思議な感覚を覚えていた。今までは、貴族令嬢ばかりが自分の周りに侍っていたが、よく考えたら同性同世代の知り合いはほとんどいなかったのだ。もっとかかわっていきたいと思うこの気持ちはなんだろう。本人も気づかないうちにジョルジュの表情が綻んでいた。


 その後も、ジョルジュは黙々と仕事を続けた。肉は市場から仕入れていると聞いているが、野菜はほとんどがここで採れたものだ。同居する子供たちはみんな素直で、ジョルジュが今まで生きて来た環境のような腹芸を見せる者もいない。強いて言えば、あのマリーぐらいか。

 ジョルジュはちらっとマリーを見て、続いてアレックスの様子を見る。すると、大抵、心配そうに自分を見ている視線に出くわすのだった。そして、そのあまりにも素直な表情に吹き出しそうになる。


ああ、こんなお馬鹿な私に、はげましのブックマークをお願いします!

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