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12 環境一変

12 環境一変


「せっかくなので留学先での様子について聞いておこう。ジョルジュ、お前は同盟国ルーアでどんな活動を行ってきたのだ。」

「えっ…。ルーアの王立学校に通っていましたが…。」


 国王は、ここで初めて深いため息をついた。


「他国にいたら、自分の行いが我々の目に届かないとでも思っているのか?グレースがどれだけ気を使っていたか、お前は想像すらしていないのだな。エリク、ブリュノからどのような指示が出ていた。」


 突然自分の名前が出て、エリクは文字通り体をピクリと動かして、目を泳がせた。


「ぶ、ブリュノ様からは、殿下が滞りなく勉学に励まれるよう、諸々手配するようにと言われております。」

「勉学に励むためには、夜な夜なパーティーを開くことが必要だったのか?それを諫めることがお前の仕事ではなかったのか?」


 ちらりとジョルジュに視線をやると、気まずそうに顔をゆがませる姿が見えた。エリクはむっと口をとがらせ、諦めたように話し出した。


「殿下は、ゆくゆくはこの国の王になる尊いお方です。だから、同盟国から令嬢を娶ることになるかもしれないと、王太子妃探しをなさっていたのです。そりゃあ、確かに、ちょっと調子に乗ってて、口うるさく文句を言ってくる貴族もいましたが、ご令嬢たちはとても喜んでいましたよ。」

「エリク!」


 ジョルジュが慌てて止めるが、後の祭りだった。


「エリクよ。お前はしばらく、自分の領地で身の振り方を考えて来い。ジョルジュが再びルーアに戻るまでしばらくあるからな。」


 どうにかごまかせないかと焦ったジョルジュだったが、国王は王子に発言権を与えないままお開きとした。


 国王の執務室を出た途端、エリクは小躍りして喜んだ。領地に戻るということは、長期休暇をもらえたと思ったのだ。まるで分かっていないその様子を見て、ブリュノはまた、頭を抱えることになった。


「エリク、お前は何のために王子に同行したんだ?私から送っていた国内の動きについての書類は、お前も読んでいたんだろう?」

「え?王子のご希望に沿うよう、いろいろ手配はしましたよ。書類は…、俺、関係なのですよねぇ?あれ?読まなきゃいけないんですか?」

「はぁ~。では先ほどの陛下の話を聞いても、自分は悪くないとでも思っているのか?」

「まぁ、多少の行き違いはあったかもしれませんが、しかたないでしょう。王子だって喜んでいらっしゃいましたし。」

「…、そうか。ミストラル卿からの推薦とのことだったが、ここまで言っても分からないか。では、領地に戻ってゆっくり身の振り方を考えるんだな。殿下がルーア国に戻られるとき、お前が選抜隊に選ばれていたら、連絡が行くだろう。」

「了解です。じゃ、俺だけすみませんねぇ。」


 へらへらしながらエリクは王宮を出て行った。その後ろ姿に眉を寄せて見つめるブリュノには、もうエリクに会うことはないだろうと思われた。国王が敢えて謹慎という言葉を使わなかったのは、ミストラル卿の意向が読めないからだろうか。エリクが自分の間違いに気づいていたら、ことの重要性はすぐにわかるはずだ。強がって、無理に平気なふりをするところがあるエリクが、領地でどのように過ごすのか、絶望的な気分のブリュノだった。



 メゾン・デゼンファンに豪華な馬車が横付けされた。以前は手前までしか入れなかった道路はきれいな均され、建物の前まで入れるようになったのだ。


「では、殿下。お気をつけて。」


 馬車から下りたジョルジュにブリュノは静かに頭を下げた。しかし、荷物を運ぶ者はいない。


「やぁ、よく来たな。今日からは王子ではなく、ここの子どもたちの仲間として扱うことになった。子どもたちにも説明しているから、分からないことは彼らに聞くと良い。」


 建物から、ガブリエルが現われて迎え入れた。それを見届けると、ブリュノは馬車に乗り込み、一礼すると、去っていった。


「おい、荷物はどうするんだ。」

「こっちだ。さっさと運べよ。皆が待っているから紹介するよ。」


 ドアの前に立っても、誰も扉を開ける者はない。大きな荷物を抱えながら、ジョルジュはドアを開け、中に入った。すると、わーっと歓声と拍手が沸き起こった。


「いらっしゃい!今日からは、僕らの仲間だよ。」


 小さな手に草花を握り締めた子が、そっと近づいてその花を渡そうとした。


「おい、だれかこの荷物を代わりに持てよ。受け取れないだろう。」

「何言ってんだ。そんなの床に置いて受け取ればいいだろう。」

「あっ…。」


 子どもたちの目が自分をじっと見つめている。ジョルジュは仕方なく荷物を床に置いて、草花を受け取った。


「じゃあ、みんなに自己紹介してよ。」

「え? お、俺は、ジョルジュだ。ジョルジュ・エルヴィシウス。」


 少し胸を張って高らかに答えたが、子どもたちの反応は薄い。今まで、このファミリーネームを言えば、みんな慌てて平伏したのだが。

戸惑っていると、後からやってきたガブリエルが何でもないように皆に告げた。


「今日からジョルジュも一緒に生活するから、みんな仲良くしてくれよな。ジョルジュ、さっき君に声を掛けたのがアレックスだ。彼がこの館のまとめ役だから、困ったことはなんでも聞いてくれ。さぁ、それじゃあ、みんな活動開始だ。今日、畑仕事の当番はB班だったな。A班は部屋の掃除と勉強だぞ。ジョルジュは荷ほどきがあるからアレックスと一緒にA班に入ってくれ。」

「「はーい!」」


読んでくださってありがとうございます。

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