90話 その時神子は
キャラ名みすってたので修正しました
26.01.20
「ここは……」
神子が次に目覚めた時、静かな薄暗い場所に寝かされていた。
「どこ?」
身を起こそうとして、それができないことに気が付く。
手足と胴体が固定されていた。
服も着替えさせられて薄いワンピースのようなもの1枚しか身につけていなかった。
「神殿……祭壇の上?」
唯一動かせる首を動かし、できる限りの情報を得ようとする。
周囲は普段から見慣れているものとほとんど変わらない装飾が。違うところといえばいつも光で溢れているはずが、ここは薄暗いということくらい。
そしてここが祭壇の上だということは。
「供物……」
すうっと血の気が引き、すぐにそれに思い当たった。
(大丈夫、予知ではまだ先も視えている。そう簡単に死ぬことはない)
とりあえず落ち着こうと深呼吸をして、改めて周りを確認していると、離れた場所から音がした。
「あら、お目覚めのようですわね」
音のしたほうを向くと、神子の正装をした人物がこちらに向かってきていた。
そしてその人物には見覚えがあった。
「貴方の顔、見たことがあるわ。半年前に、遺影で」
動揺が伝わらないよう、できるだけ落ち着いた声でそう言った。
「へえ、それを認識しているのですね」
死んだはずの神子が興味深そうに返す。
「当時は全く違和感がなかったけれど、ひとつひとつ分けて考えるとおかしなことが多かったわ」
「そのまま気が付かなければこうして連れてこられることもなかったというのに。
それにしても、どうやって私の支配から逃れましたの、ダイオプサイトの神子さん? 支配下のままでいれば、日常の中にいられましたのに。
……やはり精霊の力ですの?」
「精霊?」
「あら? 違いましたの?」
元王都の神子は、ダイオプサイトの神子を見つめる。
「……まあその事はいいですわ。それよりも、これからの話をいたしましょう。
これが何かわかりますかしら」
元王都の神子は持っていた袋から何かを取り出す。
「紐?」
「そう。この紐はね、エネルギーを流す効率に優れていますのよ。
そしてこう使いますの」
元王都の神子は微笑んで、その紐の端をダイオプサイトの神子へ突き刺した。
「っ!!」
「本当は中心に刺した方が良いのですが、今は腕で様子を見させていただきますわね。もう1本刺さなくてはいけませんし」
そう言いながら反対の腕にも紐を突き刺す。
刺した紐を軽く引っ張り、抜けないことを確認すると次の作業に入る。
「気分はどうかしら? そう痛くはないはずですけど」
その質問にダイオプサイトの神子は睨むことで返事を返す。
「大丈夫そうですわね。片方はまだ使わないので丸めておいて、と。これを使う時に貴方がどんな状態になっているのかわかりませんので参考までに教えて差し上げます。
これは入れる方ですの」
必然的に、もう片方は出す方だと。
「そしてこっちはこうしますわ」
もう片方の紐を祭壇へと繋ぐ。
「くっ……」
繋がった瞬間、ダイオプサイトの神子は強い脱力感を覚えた。
「貴方の力は、全てこの祭壇へ捧げられます。
ついでにこれは、ここへ来る道中で吸い上げた分ですわ」
元王都の神子は取り出した魔石を祭壇へと嵌め込む。
祭壇は強く光り、それは室内全てへと広がり吸収された。
「結界が強化されたようですわね。次のこともさっさと仕上げたい所ですが、急に色々やっても効率が悪くなるらしいですし、一旦ここで終わりですわ。
また来るのでそれまでゆっくりしていてくださいまし」
ゆっくりしろと言われても、ダイオプサイトの神子はそれどころではない。
さっきのように意識を飛ばしてしまえればまだ楽なのに、吸われる量が調整されているようでギリギリのところで保たれてしまう。
そんな意識があるのかないのかわからないような状態がどれくらい続いただろうか。
ばちんっ
という音が聴こえた。




