89話 王都の結界②
「師匠、サリーさん」
アリアドネの隠れ家へとやってきたユナとサリーは、先に来ていたルーと合流した。
「ルーも来てたんだ」
「はいなのです。魔法具が王都内部を示して止まってしまったので、もう追うことはできないと判断してここに来たのです。会えるかは分からないのですが、リアさんなら何かわかるかもと。
ですが、少し前から魔法具がおかしいのです」
ルーはそう言って預かっていた魔法具を取り出す。
その魔法具の針は、不安定に揺れて一定を示さない。まるで目的地を見失ったかのように。
「王都に、前までなかった結界が張られていた。それが原因かもしれない」
ユナは魔法具を受け取ると、状態を確認した。特に異常な箇所はなく問題なく作動していて、発信側に問題があるのだろうということがわかった。
ユナが作る魔法具は、霊力も含まれる為、精霊特化も含む結界には弾かれてしまうだろう。
そう思い、霊力を抜いてみるが反応はそう変わらない。それでも一瞬だけ王都方向を指そうとした動きから、完全に無関係というわけではなさそうだった。
「何かわかったのです?」
「いや、特には」
わかったことがないわけではないが、確証は持てないのでそう返す。
「ところで、ルーはいつまでここに?」
「定期連絡まで待つか、一旦離れるかで迷っているのです」
定期連絡のタイミングまではあと数日。そんなに長いわけではない。
しかし、状況がわからないので長居してもいいものかという葛藤もあった。
「結界に気が付いたのなら定期連絡を待たずに来るんじゃないかと思ってる。けど、リアの出入りも出来るか不明なのが気掛かり」
とは言っても、精霊でも亜人でもないアリアドネが一番通れる可能性が高いのも事実である。
「とりあえず明日までは待ってみるのです」
「僕たちも明日の朝まではここで待機するつもりだけど、サリーはどうしたい?」
と、ここで今まで聞き役に徹していたサリーに話をふる。
「えっ、私?
そうね。待機はそれでいいと思うんだけど、私は神殿を調べたいかな、ダイオプサイトの。もしかしたら何か残しているかもしれないし」
「攫われる前にってこと?」
「そう。予知をしたとは限らないけど、何かこれからのこととか指針になりそうなこととかあるかもしれないじゃない」
その言葉を聞いて、ユナはルーに視線を向ける。事が起きた後に神子の部屋に行っているからだ。
「ざっと見た感じだと、特別なものは見当たらなかったのです」
「残しているとしたら多分、そう簡単に見つかる所に置いていないだろう。重要な件なら特に。
拠点を移す為にも一旦ダイオプサイトには戻るつもりだしその時に行ってみるよ」
「拠点を移す先は決まっているのです?」
「まだ」
安全を考慮するのなら伝もある国外に拠点を構えるのが良いとは思うが、何かあったときに素早く動かなければならないかもと想定するのから国内のほうがいいかもしれない。
「拠点をどこにするかはもう少し状況を見てから考える。状況次第では落ち着かない方が動きやすいかもしれない」
とは言いつつも結果的には何処かに居着く事になるだろうと思っている。
「それより、少し疲れたから先に休む」
ユナはそう言って、奥の寝室へと入った。
ーーーーー
深夜になって、皆が寝静まった頃。
ユナはひとり、起きて外に出ていた。
行く先は王都の方向。
「結界の薄いところ、ね」
そう呟いて、上空から結界を観察する。
中心点であろう神殿付近はしっかりとしているが、離れるにつれてムラがある場所がわかった。
「あの辺りか。というか昼間弾かれたところだ」
見つけた場所へ降り立つ。
そして、
「来たけど」
結界にはギリギリ触れない位置でそう声をかける。
『捕ーーーーーた』
途切れ途切れではあるが返事が返ってきた。
聞き取りにくいのは構わずに話を続ける。
「そう。この会話は?」
『ーー夫。ーーー漏れーーー。
ーーーーー振り切れーーーーーーー、ーーーーー放ーーーーいいわ。結界ーーーーー、神殿ー私室ーーーーーー。ーーーー探して』
「わかった」
『ーーさんのーーー通せないーーーーーー、ーーーーーーーー弄れーー。何かーー?』
「そうだな、仲間の通行許可を。王城でメイドやってるアリアドネって子」
『ーーーー人間?』
「そう」
『ーー多分ーーー。
……ーーーー、できるだけーーーーーーー離れてーーー?偽装ーーーーーーーーー』
「わかった。神子も気を付けて」
『ありがと』
それを最後に声は聞こえなくなった。
最近はアンパンマンの二次創作書いたり、ゾンビランドサガの映画に全感情持っていかれたりとなかなかこっちが書けないでいました。
ゾンサガはいいぞ。また観に行く。




