88話 王都の結界
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「リンクが途切れた」
宿で待機していたユナがそう呟いた。
「神子との?」
「そう」
「何かあったときは信号が来るって言ってたよね? それは?」
そうユナが言っていたはずだ。
「なかった。自ら切ったのであれば問題ないけれど」
結界の中等、魔力が届かない場所に行って途切れたのなら予想の範囲である。
その場合は範囲外に出ればまた勝手に繋がるはずだ。
しかし、神子が見ていなかったから想定から外していたもの。
即死した場合も、前兆なく途切れてしまう。
その可能性がふと過ぎった。
とは言ってもわざわざ攫うという手間をかけているのだ。
殺すことが目的ならば、もっとやりようがあるだろうから恐らく大丈夫だろう。
「ねえ、様子見に行っちゃだめかな?」
ユナが最悪の事態を思考の片隅に見ていた時、サリーがそんな事を言った。
「王都に行くってこと?」
「うん。なんとなくなんだけどね、今行っても大丈夫な気がするの」
サリーはねだるような目でユナを見つめる。
その目に逆らえるユナではなかった。
「わかった。行ってみよう」
ーーーーー
そういう事で王都が見えるところまでやって来たユナとサリー。
長距離の徒歩移動での負担をかけたくないとユナが譲らなかった事と、道中に用はないということで、上空の転移による移動だった。
「はっやいのね、これ! あっという間に王都の近くまできちゃったわ!」
王都はもう目の前。前回は靄で覆われていると言っていたサリーだったが、今はその様子はない。
「何か見える?」
それを思い出したユナが訊く。
「何も。ええ、何も変なものは見えないわ。
でも何もないってわけじゃなくて、遮られているみたい」
「遮られている……。結界か何か張られたのかも」
神子がこの中に居ることは確定している今、その可能性は高い。
そうだとしたらこの短期間で、ユナの魔力を振り切れるほどのものを作ったということになる。
「結界ね。どんなのか分かったりする?」
「見るだけじゃ難しい。触れてみないと」
「門には見張りがいるけど、それ以外だったら大丈夫じゃない?」
「そうだね……あの辺とか良さそう、行ってくる」
外の森とほぼ重なるような位置にある壁を見つけ、そこに近付く。障害物も多く、丁度いい場所だった。
あと数歩で壁に触れられる位置、という所まで来た時。
ばちんっ
と火花を散らし、ユナは後方に弾き飛ばされた。
「っ!」
弾かれた勢いのままサリーを抱えて更に遠ざかる。
「気付かれた。一旦引く」
そう言って城壁が見えない所までジグザグに移動した。
ある程度離れたところで、ユナはサリーをおろした。
「何があったの?」
サリーの位置からも火花が散って弾かれたのは見えていた。
「拒絶された。
触れたのは一瞬だったから詳しくは分からなかったけれど、多分決められた対象以外を中に入れないようにする効果はあるっぽい」
(精霊特化があった)
アリスから言われた事をふと思い出した。
例の魔神とやらが関わっているのであれば、この強さの結界も頷ける。
「手は?」
「もう治った」
そうひらひらと手を振った。
既に治っているが、結界に触れた腕は火傷を負ったようになっていた。
「多分、僕が来たことはバレたから、しばらくは近付かないほうがいいかもしれない。相手の事も、まだ分かっていない訳だし」
無理矢理であれば結界を突破することも可能ではあるが、進んでやりたい方法ではない。
(対神戦、となるとフォレストの力だけでは厳しいかもしれない)
ユナは魔書を入れた鞄を一瞥する。
燎原が炎としての力を完全にモノにして戻ってくれば多少楽にはなるだろう。
(神殺しは、今の僕には荷が重い)
そんな事を思っていた。
「神子の事はどうするの?」
「信号も途切れたし、中にも入れないとなると難しい。無事を祈って様子をみる」
「そうね……」
ユナが弾かれた以上、サリーも弾かれることは目に見えている。
現状、王都に干渉することは出来ない。
「今の時間は不在だろうけど、リアの所に寄って戻ろうか」
アリアドネは結界の出入りが出来るだろうか、という不安もあるが、もしかしたら夜には来るかもしれない。
そう思い、提案した。




