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何度召喚されるのか  作者: 美川彼方


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87話 攫われている神子

「王都の中に入ってしまったのです」

 マーキングを追って追跡していたルーは、魔法具が王都内部を指し示しているのを確認した。

 中には入らないようにと言われているので、追跡はここまでである。


「神殿で時間を取られすぎてしまったのです」

 そう、しゅんと呟く。

 ルーは例のひとり残った人物を監視していたが、特に変な動きはしていなかった。

 神子の不在が知られるのを引き伸ばす工作でもするのかと思っていたがそれもなく、ただただ神官の日常といった行動しかしていなかった。

 何か行動を起こすと思いしばらく見ていたが、何の成果も得られないままその場を後にした。


 行動を起こさないと判断するのが遅く、追跡の方も中途半端になってしまったが。

 本来ならどういう状態で運ばれているのかの確認、工作員の会話や仕草からできるだけ情報を得るなどをやるつもりだったのに。


 神殿を出てからは街道を使わずに森をショートカットしたのに追いつけなかった。

 手慣れている様子があったとはいえ人ひとり抱えての移動としては相当な速度だったのだろう。


「もうボクに出来ることはないのです。師匠のとこに戻るのです」

 魔法具の示す先がピタリと止まっているのは目的地に着いたからだろう。

 そう呟いて歩き出そうとした時、何かを思い出して方向を変えた。

「せっかくここまで来たのです。定期連絡には少し早いですが、リアさんのところに寄っていくのです」



ーーーーーーーーーー


 その日の早朝、神殿の神子の部屋では。



 まだ起きるには早い時間、神子は目を覚ましていた。


「さっきの予知によれば、私が王都の神殿に攫われれば、勇者による王都壊滅はなくなるのね」

 ベッドに横になったままそんな事を呟く。

「因果関係は分からないけれど。着いて行ったらわかるのかしら」

 そう呟く神子は、予知によって攫われるタイミングがもう間もなく来る、ということも分かっていた。

 怖くないと言ったら嘘になるが、既にそれは受け入れていた。

 昨夜の打ち合わせではまだタイミングまで分かっていなかったが、帰宅してから判明したのだ。


「一応、今わかっていることはメモに残しているけれど。ユナさんにちゃんと伝わるかしら」

 簡単には見つからない場所へと隠したメモに目線を向ける。

「昨夜までに、今日事が起きることが分かっていれば良かったのに。

 でも、やることは変わらないわ。どうして私が王都の神殿に行かなければいけないのかも知りたいもの」

 そう呟いた時、部屋の外から数人の気配が近付いているのを感じた。


「そろそろなのね」

 神子は大人しく攫われてあげる為に、目を閉じて寝ているふりを始めた。



ーーーーー


 音もなく開かれた扉から、例の3人が入って来た。

 そのうちの神官服を着たひとりが近付いて、ちゃんと寝ていることを身振りで伝える。

 それを確認した拘束具を持った残りふたりが素早く神子の首に何かの魔法具を装着して手足を縛った。


(何を、着けられたの? 一気に力が抜けていくみたいな……。

 これは、良くないわ)

 慌てて抗おうとしたが、無理矢理魔法具に魔力を吸い取られた事で本当に意識を失ってしまった。

 魔力枯渇による失神である。


 意識を失い、ぐったりと動けない神子は例の箱に詰められて外に運び出された。

 神官服を着た人物が先行し、事前に決めていた人の通らないルートを進む。

 そして、誰からも見つかることなく裏口から神子を運び出す事に成功したのだ。



 その様子を見られている事には、全く気が付かないまま。



ーーーーー


(私、どうしたんだっけ)

 ガタガタと揺れる箱の中で神子は目を覚ました。


 手足の拘束に加え、目隠しと猿轡を噛まされているようで身体を動かすことも周囲を探ることも出来ない。

 そのうえ首につけられた魔法具のせいで、回復するそばから最低限を除いた魔力が吸い取られてしまう。


(こんなに厳重にしなくても逃げないのに。

 それにしても、結構辛いわね。思考もうまくまとまらない)


 普通なら魔力を限界まで使ったとしても自然回復するので下限ギリギリの状態というのはそう長くはならない。

 不規則な揺れと枯渇寸前の魔力状態も相まって朦朧とする意識の中でも現状を把握しようとしていた。


 その時、大きく揺れたかと思うと揺れが止まった。

 目的地に到着したのか、ちょっとした休憩なのか。

 そんな事を考えていると体力の限界か、また意識が遠くなっていくのを感じてまた眠ってしまった。

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