65話 ラーザ再び
ゲリラ投稿
早朝、宿で目を覚ましたユナは早速出かける準備をしていた。
昨日の話し合いで、リョウと合流して王都に行かせないという方針にしていたからだ。
王都での暴発ならばとりあえずその地に行かないようにしようと。
夕方、神子がまた宿に様子を見に来る予定なので、出来ればそれまでに用事を済ませてしまおうと思っている。
サリーをひとり宿に置いていくことになるが、一応は信頼できる神子の紹介してくれた宿だ。それに結界の魔法具はそのままにしていくので、内側から外に出ない限りは安全が保証されている。
服装はこっちに来てから調達した一般的な冒険者装備。初心者を抜けて、稼ぎを貯蓄にも回せるようになったくらいの比率的に一番多い冒険者のスタイルだ。
「よし」
簡単な書き置きとすぐに食べられる食料を残し、ユナは宿を出発した。
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「え?出発した?」
直線距離を、森を突っ切って移動したユナは昼前にはオブシディアンに到着していた。
町に着くなり数日前まで滞在していた時の宿へ向かい、宿の受付へ。
そこで聞いたのは、今日の朝にリョウを含む3人が宿をチェックアウトしたという話だった。
「すれ違いになってしまったのですね。お連れ様は王都へ向かうと言っていましたよ」
受付の人はそう教えてくれた。
「そう、ありがとう」
ユナはお礼を言うと、すぐに宿を出た。
(既に王都へ出発したとは。やっぱり連絡手段が乏しいな。
でも出発が今朝ならまだ追いつけるはず。多分、街道を進んでいるだろうからちゃんと道に沿って追いかけないと)
そんなことを思いながら門へ向かって急いでいると、後ろから声をかけられた。
「おう、ユーナじゃないか」
振り向くと、そこにはラーザと他数人が居た。
「ここ数日見なかったな。リョウはたまに見ていたんだが」
「少し別行動していたんだ」
立ち話をするほど暇では無いが、今回の、この世界で出会った数少ない知り合いだ。
「そうか。なあ、ちょっと付き合ってくれね?コイツらの護衛役としての仕事なんだが魔物戦は久々なんだわ、腕の立つ奴が欲しいんだ」
ラーザは後ろの数人を示しながらそんなことを言う。戦闘には向かなそうな装備をした人もいる。
でも流石にそれは断らざるを得ない。
「リョウと合流しなきゃいけないから、ちょっと厳しいかな。というか引退したんじゃ?」
「パーティ解散しただけで引退はしてねえよ。まあ半引退みたいなもんだが。つーか合流って?宿から出てきたようだが」
リョウはここに滞在中。宿で合流しなかったのかという意図の質問だった。
「すれ違ったみたい。王都方向へ出発したらしいんだ」
「なら途中まで付き合ってくれや。俺らもそっち方向なんだ。なんならリョウも足止めされてるかもしれない」
「というと?」
「コイツの仲間……というか俺の息子なんだがな。身の丈に合わない魔獣と戦って、勝ったはいいものの死体の処理出来ないって泣きついてきたんだわ。
その場所が王都方向の街道だ」
ラーザは気まずそうにしているひとりを指してそんなことを言う。
そのひとりがラーザの息子の仲間なのだろう。
「そういうことなら。でも、出来れば急ぎたい」
ユナは少し考えたが、了承の返事をした。
ひとりと比べたらペースが落ちるという事以外のデメリットはない。
それになんだかんだ言っても長距離を歩くのには慣れていないメンバーのはずだ。多少なら遅くなっても追いつけるだろうと判断した。
「俺らもすぐ発つつもりなんだ。お前もだろ?そのまま同行してくれや。
大丈夫、こっちの連れも動ける奴ばかりだ。解体の職人もいるが、体力勝負の仕事だからな」
ペースのことを配慮してか、そんなことを言った。
そういうことで、ユナはラーザと他数人と行動を共にすることになった。
短い間ということにはなるが。




