62話 神子とのお話
案内された宿に入り、サリーをベッドに寝かせて一息ついたところに、こちらへ向かってくる気配を感じた。
数は3人。武装しているので宿の人では無いと思い、少し警戒してそれを待つ。
ノック後、声がかかる。
「神子だよ。入っていい?」
まあ、予想通りの神子であった。
武装しているのは護衛が2人いるのだろう。
それを聴いてユナは扉を開ける。
「早かったね」
「急いだのよ。話したいこともあったから。
……あなた達は外で待っていて、大丈夫。信頼できる人だから」
神子は護衛にそう声をかけ、扉を閉めた。
「これ使っていい?」
神子がそう言って取り出したのは、防音の魔法具。護衛含め、外部の人には聞かれたくない話をするのだろう。
「どうぞ」
ユナのその言葉で神子が魔法具を起動させた。
「そちらの話を聞きたいところではあるけれど、まずこっちの話を聞いてくれる?」
そう切り出した。
「構わない。こっちとしては、休める場所を提供してもらっただけでも満足だから」
「未確定未来のひとつだとして聞いて欲しいのだけどね。リースベルト王都が壊滅するのよ。そらも、リースベルト勇者の手によって」
「それは……穏やかじゃない話だね」
切り出された話は、確かに無関係な話題ではなかった。関わりたいかどうかは別として。
「ところでリースベルト勇者は?一緒ではないの?」
「彼とは別行動。まあ色々あって……。今はオブシディアンでレナ、セレナータ王女と居るんじゃないかな。僕はサリーとふたりで王都に行っていたから」
「それから合流はしていない?」
「うん」
「じゃあ、迎えに行くって言う口実で王都へ向かう可能性はあるっていう事ね。
神子はそう言い、何かを考えていた。
「王都のを視た時も、オブシディアンと同じように溶けてたのよ。さすがに王都全体とは行かなかったけれど、城付近が中心地になっていたから、恐らく主要機関はやられていたわね。延焼も起こっていたみたいだし、範囲もそこそこ広かったみたいだから。
彼らが王都へ着く前に一旦合流すれば、避けられるかしら」
「どうなるかは解らないけれど、その前に少し情報を集めたい。……リースベルトは信用出来ない」
ユナはそう言い、王都であったことを簡単に話した。そこから予想できることも。
「一応、ここもリースベルト領ではあるんだけどね。まあいいわ、ここまで話してくれるって事は、一応、ウィスタリア勇者の信頼はあるってことでしょう?」
「それなんだけど、呼び方、ユナでいいよ。面倒じゃない?」
「ああ、これ?神子は平等であれ、個人への肩入れをするなって教義があるからだったんだけど、そう言ってくれるなら他人の目がないところではそうさせてもらうわね。正直、面倒だったの。
領地の件については、知っているかもしれないけれど、神子の属する教会は国にはあまり縛られないから大丈夫よ。各王都の教会は一応国のために動くことになっているけれど、ここみたいな田舎の教会はほぼ無関係ね。
……まあ、今回の余地は報告義務がある内容だけれどね」
可能性のひとつだといっても、直接的に王都に関わる問題だ。本来ならば、オブシディアンの時のように、神子が直接出向いて報告する必要がある。
「本来なら速攻で王都へ報告に行かなきゃいけないのだけれど、今回のは原因がわかっているもの。できれば協力して欲しいのだけど」
神子はそう言い、ユナの返事を待った。
「本音を言うと、そんな事には関わりたくないのだけど。原因がリョウなら仕方がない。
協力する」
本当にしぶしぶ、といった様子でそう返した。
「助かるわ。じゃあ、対策を練りましょう」
神子がそう言って、さらに話し合いが続いた。




