61話 ダイオプサイト到着
お久しぶりの投稿
「ええと、ウィスタリアの勇者から貰った魔法具はーっと」
自室に戻った神子は机の引き出しを開けた。中にはいくつかの小箱があり、その中のひとつからユナに貰った魔法具を取り出した。
「あった。……あら?向こうから連絡が来てるわね」
送る前に来ていることに気が付きそれを確認する。
「目的は違うみたいだけれど、こっちに来てくれるなら都合がいいわね。
教会に泊まっても貰ってもいいのだけれど、宿の方がいいかしら?どのみち、近くの宿は……今の時期は基本空きはあるし大丈夫ね。着いてから決めてもらいましょう」
そうひとりごとを言いながら着いたら連絡をくれるよう返信をした。
「でも、王都壊滅の主らしいリースベルトの勇者を招き入れても大丈夫かしら?一応、うちの街への被害は見えていないけれど」
別行動とは知らない神子はそうつぶやいた。
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「ここがダイオプサイト、のはず」
今から行くと伝えてOKの返事が来たから向かったのはいいものの、リースベルトの土地勘がある訳ではないユナはそれっぽい所へ辿り着いていた。
1度行ったオブシディアンの場所はちゃんと覚えていて、そこから1番近くの街へ向かった。
実際、そこで合っているのだが、看板が着いている訳でも地図で確認している訳でもないので確証が持てなかった。
『緑の屋根の教会があるところであってる?』
ユナは見えているものからそうメッセージを飛ばした。
神子も忙しいだろうからそうすぐには返事が来ないだろうと、木の影に腰を下ろす。
そして、まだ眠ったままのサリーを抱え直し、身体が冷えないようにと掛けていた布を掛け直した。
サリーを抱いたまま、そこそこの距離を移動したが起きる様子はなかった。
消耗による疲れからで、その他の異常が無いのは何度も確認しているけれど心配なのは確かで、ユナはサリーを離そうとはしなかった。
『合ってるよ。着いた?迎えをやるから門まで来てくれる?』
数分後、思っていたより早く返信が来た。それを見たユナは時間の調整の為、少し待機して立ち上がった。
門に着くと、まだ迎えの人は来ていなかった。
「冒険者か?」
門番からそう訊かれた。
「そう。はい、これ」
ユナはサリーの分も合わせて冒険者カードを見せた。
「通ってよし。……ところでお連れさんは大丈夫か?怪我とかしたのか?」
カードを確認した門番は、背負っているサリーに目を向けた。
「多分疲れただけだから大丈夫」
「そうか。教会の裏手にある宿がおすすめだぞ。今は特に人が多い時期でもないから空いていると思うし、教会が管理しているところだから比較的格安で治療もしてくれる」
門番はそう教えてくれた。そう言っているうちに、向こうから明らかに神官ですといった格好の人がやってきた。
「門の方へ来るのは珍しいですね」
門番がそう声をかける。
「ああ、神子様からのおつかいですよ。客人が来るとかで。……と、もう来られてますね」
神官はユナの方へ視線を向けた。
「話は聞いています。手続きは済みましたか?」
「済んでいますよ。わざわざ宿の事言わなくても良かったな。神子様のお客人だったとは」
ユナが答える前に門番が答え、道を開けた。
「ちょっと知り合ったくらいの関係だけれどね。情報もありがとう、親切だね」
ユナは通り際にそう言って軽く手を振りながら神官の方へ歩いていった。
「神子様から案内するよう言われています。教会と宿、どちらがよろしいでしょう?」
「宿で」
「かしこまりました。では、こちらへ」
そう会話を交わし、歩き始めた。
街並みはオブシディアンとそうたいして変わらず、強いて言うなら鍛冶屋が少なく何かの像が多くあるといった程度だった。
「宿に話は通っています。神子様はある程度仕事が片付いてから来られますので」
案内されたのは教会の裏手にある宿。奇しくも門番にオススメされたところだった。
神官はそう言って、教会に帰って行った。
そのまま宿の人に部屋へ案内された。




