えっ?! 名誉市民じゃなかったの?
四十年くらい前だったか?
スポーツ新聞で、とある記事を読んだ。
それには、
『東村山市が志○けんを名誉市民に』と載っていた。
東○山音頭のヒットに便乗して、
市の知名度を上げようとする作戦がミエミエなので、
(何を馬鹿な事を)
と、
私は東村山市を軽蔑した。
それから十年くらい経って、
つまり今から三十年くらい前。
その頃、私は、競輪に狂っていた。
西○園競輪場にも行った。
話はズレるが、
この西武○競輪場のケンチンうどんは、
日本で一番美味い。
給食のうどんの様なショボい麺なのだが、
それがケンチン汁と絶妙にマッチしていて、
一杯食べると、
どうしても我慢出来なくなってしまい、
つい二杯目を食べてしまう。
でも、
その後の西○園競輪場の改修工事で、
そのケンチンうどんが、幻のうどんになってしまったのは残念だ。
話を戻すと。
西武○競輪場へも、何度も通った。
そのコースは、
西武線で東村山駅まで行き、
そこで『西武園行き』にスイッチするものだ。
ある時、
私よりも九歳若いギャンブル仲間と一緒に、
西○園競輪場へ行った。
東村山駅に着いて、
『西武園行き』に乗り換えなければならないのだが、
『九歳若い奴』が呆然と座席に座り続けている。
うっすらと涙を浮かべ。
聞くと。
「まさか東村山が実在していたなんて……」
東村○音頭が流行っていた頃、
私は既に大人になっていたので、
何とも思っていなかったが、
当時、子供だった人達は、全然、別の感覚らしい。
その時、
私は、
東村山市を馬鹿にした事を思い出した。
私は、
自分の考えの愚かさを恥た。
志村○んは名誉市民に相応しいと思った。
だって、
ただ実在するだけで喜ばれる市なんて、
東村山市の他に有るのだろうか?
その後、
今度は、
その『九歳若い奴』と八歳若いギャンブル仲間と三人で、
西武○競輪場へ行った。
東村山駅へ着くと、
また同じ現象が。
私は、
その『八歳若い奴』に尋ねてみた。
「東村山市が実在していて感動したのか?」
『八歳若い奴』は頷き、
『九歳若い奴』と子供時代のドリフの話で盛り上がっていた。
二人共、
東京に出て来て、東村山市に来れたのが嬉しいのだそうだ。
東村山市の名誉市民に、もう、なっていると、
私は誤解していたのだが、
志○けんは、
断ってしまったのだそうだ。
本人も、
自分の功績を知らないのだろう。