6話
色々な障害があると思いますし、現実的に厳しいかもしれないですよね~」
「ルンルンは私の事が嫌いなんだ」
発言をしたルンルンに、泣いてハンカチを噛みながら言う花穂。それを見たルンルンは即答えた。
「皆で一緒に暮らしましょう!」
「ルンルン!?」
「ありがとう~ルンルン~。うわぁ~ん」
泣いてルンルンにしがみ付く花穂。
「まぁまぁ落ち着いてください。冷静に。冷静に」
「ルンルンまで~。っておねーちゃん。そんな事より授業してよ授業」
夏織は花穂をルンルンから無理やり引きはがし、授業再開をさせた。
「さて今日は、この世界で体がなまってる皆さんの為に、この私が直々に授業内容を考えてきました」
不…不安だ…。この場に居た全員がそう思った。
花穂さんの考える授業はいつもおかしい。この前だって、この歳になって椅子取りゲームや鬼ごっこやらされた。しかもよりによって、この山に校外学習に来ていた小学生に笑い者にされた。しかも花穂さんが「小学生が見てますよ!皆カッコいい所を見せて下さ~い」なんて大声で言うものだから、小学生が集まっちゃったし。そもそも椅子取りゲームをしてる時点でかっこ悪いって。あの時はなんたる屈辱を味わったもんだ。
「花穂さん。今日は何するんですか?また変な事はやめてくださいね」
「大丈夫ですよ。今回は頭をフルに使って考えたんで」
だから不安なんですか。と皆が思ったが心の中にしまった。
「じゃ~まず、男女でペアを作って下さい」
「ペアですか?」
「はい。ただ、女子が一人余るので夏織は私とペアで」
「何で私が余る前提なのよ!」
「それはしょうがないだろ」と歩が言う。
「そうだ。あの人の相手を出来るのはお前しかいないだろ」
そう。花穂さんの相手を出来るのは夏織しかいない。あのボケ製造マシーンに唯一対抗出来るのは、同じ血を持つ、あのツッコミ製造マシーンだけだ。それに物理的にも…。
「はいペアが出来ましたね」
ペアは、花穂さんと夏織。歩とスズ。涼太とルンルン。そして俺と千夜だ。
「すいませーん。チェンジお願いします。もっと愛想良い奴」
「大丈夫安心して信二。私が手取り足取り教育してあげるから。それでも私じゃ不満?」
「そんな事聞く必要あるか?そんなの絶対に」
「え?何?」
千夜はナイフを信二の首に当てて言った。
「なんでもございません」
それを聞いた千夜はナイフを下した。
「まったく。お前が相手だと、いくら命があってもたりねーよ」
信二の捨て台詞のような言葉を聞いた千夜は銃を無言で信二の顔に向けた。
「なんでもございませーん」
信二は慌てて両手を上げ、謝った。
「あっちは大変だな~。良かったよスズと組めて」
「そうだね。うちもお前みたいな虫けらと組む事になって、心の底から吐きそうだよ。もしこれ以上近付いたら、その時はこの引き金を引いて二度と手の手の届かない所に、送る事になるから気を付けてね。バンバンバン」
スズは3発の銃弾を歩に向けて撃った。歩はそれを下がりながらジャンプして避けた。
「普通に撃ってんじゃねーか!」
「冗談だよ。ちょっと千夜のものまねをしてみたんだけどどうかな?似てるかな?こういうの何て言うんだっけ?ツンツン。あっそうだツンデレだ」
「違うだろ!どこにツンデレの要素があるんだよ。ツンデレバカにじゃねーよ。ツンデレ舐めると死ぬぞ?」
「あ~それは知らかった~。なら早速」
スズは無表情のまま、千夜に近付いていった。そして。
「ペロン」
「ひゃ!」
スズは千夜の顔を舐めたのだ。
「スズお前何やって」
「う~ん。あんまり人の顔はおいしくないね。それに死んでないし」
千夜の顔は、それはもう誰が見ても噴火そのものだった。
千夜はホラー映画の人形の様に、首をゆっくりスズの方に向けた。
「スズ?これは何の真似かしら?」
「歩…と信二に言われてやりました」
「何でだーーーーーーー!」
俺は嘘を言う悪魔、スズの一言で容疑が掛けられてしまった。選択肢をミスったな。スズの相手は俺がするべきだった。あのいたずら娘を歩に預けたのが失敗だった。
俺を見てニヤニヤして楽しそうにしてるスズを、俺は許す事はないだろう。
「やっぱりあんた達なのね。今日という今日は絶対に殺す」
「待ってくれ千夜。俺は無関係だ」
「嘘をつくなんて、必ず殺す」
「そうだそうだ!」
スズは両手を挙げて信二をの野次る。
あのクソ女が~。そんなに俺が憎いか?そんなに俺が嫌いか?とにかく今はこの状況をどうにかしなくては。このままじゃあの女の遊びで俺の命が消えてしまう。
俺はこっそり逃げようとしている歩を捕また。
「全ての責任はこいつだろ?俺まで巻き込むなよ」
「ソンナノ信じない。ダレガオマエナンカヲシンジル」
「そ…そうは言っても。俺は関係ないって言ってるし、スズは俺も関係あるって言ってるし、1対1だろ?世の中多数決だろ?だからこの件は保留に」
俺は千夜の顔を見て思った。勝ったと。今さえしのげれば、こんなくだらない事、どうせ直ぐに忘れるだろ。
「おい1対1じゃなねーよ。こいつも共犯です」
歩は、そう言った。
「答えは出たようね」
千夜がゆっくり、信二と歩に近付く。
「何で俺まで巻き込むんだーーー」
信二は歩の胸ぐらを掴み揺らしながら言う。
「おいおい一緒に地獄に行くんだ。そんなキレるなよ」
なんでこいつはこんな諦めモードなんだよ。早く弁解しないと俺まで…。
ビリビリビリビリビリ。千夜は二人にナイフを当てた。そのナイフは高電流が流れるナイフなのだ。
「これで少しは懲りたかしら?」
「懲りたかしら、じゃなくて。これ完全に昇天してんじゃない」
二人は死人の様に真っ白になり、口からは魂が漏れていた。
「それに、これじゃパートナー居なくて授業出来ないんですけど」
「確かにそうね」
「それならこうすればいいよ」
スズは千夜の持ってるナイフを奪い、気絶している二人に当てた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!」
二人は悲鳴を上げながら復活した。
「これで解決だね」
「どこが解決だ!全部お前のせいじゃねーか!」
「そうだ!何で体育で死ななきゃならないんだ!危うく三途の川を二人で渡りかけてたんだぞ」
その言葉を聞いて、何言ってんだこいつという表情をするスズと千夜。
「何で分かんね~んだよ。都合のいい記憶だな!」
「さて、皆戻って来た所で、今日は何をやるか説明するかもです」