5話
「あっ納得」首をコクコクと頷かせた歩だった。
「さて、今日の体育は外でやるので、このまま校庭に行きましょう!!」拳を突き上げ、相変わらず高めのテンションで言った花穂に誰一人として、ついてはいかなかった。
一同は校庭に行き、準備体操を始める
「やっぱり体育はめんどくせぇ~な~」歩はやれやれとした顔で言った。
「バカだな~歩は。この展開何か予想できないか?」
その言葉を聞いた、歩と涼太の顔色が変わる。
「ターゲットはルンルン。分かったな?」その質問に頷く二人。
「俺は前に行く。お前らは?」「俺も前ですね」「俺はもちろん後ろだ」と信二の質問に答える二人。
「歩はホント後ろが好きだな~」
「当然だ。男として後ろが嫌いな奴なんていないだろう」
確かに歩の言う通り、後ろが嫌いな奴はいないだろう、しかし前か後ろかで言われれば、殆どの男は前が好きだと答えるんじゃないか?
「そうは言っても、前と後ろには正確な差があるぞ?前は二つあるのに対して、後ろは大きいの一つしかない。この差は歴然じゃないか?」
「分かってないなお前は。確かに物は一つしかない。だが、〇〇は二つあるぞ?」
「なるほど。歩の気持ちは分かった」俺はキメ顔で言った。
涼太は、そんな会話をしている先輩を見て思った。
まったく朝からこんな話を聞かされるこっちの身にもなってくださいよ。俺は朝弱くてただでさえ調子悪いのに、ますます調子悪くなるじゃないですか。
「ハァハァハァハァ」ホラ言ってるそばから。鼓動が鳴りやまなくて、汗と鼻血が止まらない。やっぱり調子が…。
そんな涼太を見て、信二と歩は思った。あいつ、なに興奮してんだろう。と。
「朝からの運動は良いですね~。お天道様も出てて気持ちいいですし」
「そうだね。上から人を照らして、苦しませて、毎日が楽しそうだね。と言ったらお天道様は激おこプンプン丸かな」屈伸をしながらそんな会話をする、ルンルンとスズ。
「スズ、私の屈伸って変かな?」
「屈伸なんて、変も何もないと思うよ。なんでそんな事聞くのかい?」
「だって…この人達がずっと私の事見てくるんだもん」手で顔を隠して恥ずかしがるルンルン。
バカ達は、ルンルンをサンドし、屈伸する度に見える胸元、突き出されるおしりを、顔を近づけ、鼻血を出しながら堪能していた。
その現状を見ていたスズは言う。「うちも混ぜてもらってもいいかな?」と。
許可を得たスズは胸に顔を近づけ観察する。その状況に見かねた夏織が怒る。
「ちょっとあんた達、いい加減にしなさーい!」
「いい加減にって、何をやめればいいんだ?俺達は決して悪い事はやってないぞ?」シラを切る信二にさらに怒る夏織。
「まさに今やってんでしょうが」
「何を言うか。これは屈伸のやり方が分からないから、ルンルンに教わっている所なんだ。邪魔をするな」
「邪魔してるのはあんた達でしょうが。それに教わるって…。ただ眺めていただけでしょうが」
その言葉にスズが反論した。
「それは違うよ反面委員長」
「反面委員長言うな。どこが違うって言うのよ」
「それはね。技は聞くんじゃなくて、見て盗めって言うでしょ?うちは屈伸苦手だから、綺麗に出来てるルンルンを真似しようとしたんだ。冗談はよしてよね。いや、冗談はよし子ちゃんだね」
言い直す必要はあったんだろうか?と見てて心の中で思った、千夜だった。
「言ってる事さっきと真逆なんですけど~。屈伸に変も何も無いって言ってたの聞こえてたからー!」
「あっれ~?そだっけ?おかしいな~。そんな事言った記憶無いのにな~。あっ、もしやもう一人の自分が…」手をパーにし、口の前に持ってき、軽く体を傾けとぼけるスズ。
「スズにそんな設定ないでしょ!」
「うるさいですね~。この良さが夏織には分からないんですか?どの位エロいかと言ったら、昨日興味本位で行ったホストクラブで、イケメン達の営業トークで良い気になった夏織が、服を脱ぎ、下着姿で踊っていた位エロいです」
その話を聞いた夏織が顔を真っ赤にして、涼太の胸ぐらを掴んだ。
「何で知ってんのーーーーーーー!見てたの?まさか見てたの?」
「見てましたよ?カメラ越しで」涼太はホストクラブの監視カメラをハッキングして見ていたのだ。彼にとって監視カメラのハッキングなど、学生が昼飯食べている時に携帯の画面を開いては閉じを繰り返してしまう位の感覚だ。
「バカーーーーー!」夏織は涼太を殴り飛ばした。涼太はD組の倉庫まで飛ばされ、頭から倉庫に突っ込んだ。
「夏織。まさか貴女がそんな所に行ってたなんて」
「違っ…。違くはないけど、違うのーーー!」夏織は両手をグーにして、上下に振って抗議する。
「まぁまぁ。その~…もし良かったら今度連れってくれない?」
千夜は夏織の耳に手を当てて、小声で話す。夏織はその言葉を、うんうん。と頷きながら聞いて、嬉しそうに驚いた。
「興味あるの?なら今度行きつけの所に連てってあげる」
「はい!皆注~目。夏織はホストクラブの常連客だって~」
千夜は手を挙げ皆に聞こえる声で言った。
「何裏切ってんのーーーー!」
「まぁ~」ルンルンは顔を少し赤くして、夏織ってそんな所行ってたんだ。と言う表情をした。
「夏織も大人になって…シクシクシク」
泣きながら、妹の成長を喜ぶ花穂。
「もうやめて~~~。お嫁に…お嫁に行けない~~」
「ん~~~。確かにそうですね~。なら私が貰ってあげますよ」
腕組をして目をつぶりながら、考えながら名案を出した様な表情をして答えた花穂。
「あぁ~でも、夏織だけをもらうってのは、ヒーキしてる感じで嫌ですね。ん~。どうしよう」
「あの人は何を悩んでいるんだ?」信二は夏織に聞いた。
「それは妹の私にも分からない」
「あっ!なら私が皆と結婚すればいいじゃないですか!」
指をピンと立て、笑顔で話す花穂。
「何言ってんのーーーーー!そんなの出来る訳ないじゃん!」
「そ…そうよ。そんなの…。一体どうやって子供を…」
「そういう問題?」
頬を赤くして話す千夜。 実はここだけの話千夜は、花穂の事が大好きなのだ。だから妹の夏織とも仲が良いのだ。しかし、花穂が好きだと言う事は絶対にバレてはいけない。
ど…どうしよう~。つい誤魔化しちゃたーーー。私のバカバカ。折角、花穂様が私なんかと結婚してくださると言ってくれたのにーー。何で素直に、ハイって言えなかったのよー。私の意気地なし。
「どうした~?お前なんか様子おかしいぞ?」
息が荒くなっている千夜に気づいた歩が心配そうに話しかけてくる。
「は?話しかけないでもらえる?生ごみの匂いがうつるわ。早く死んでもらえないかしら?」
千夜は蔑んだ目で歩を見て冷たい口調で言った。まさしく二重人格だ。
「ひ…ひどいよ~」歩は涙を流し、信二に泣きついた。
「おいやめろって。鼻水が付いちまうじゃねーか」信二は歩を引きはがしながら言った。
「え~ダメですか?皆私と一緒になるのは」
「問題ありません」信二、歩、涼太はハモリながら即答した。
「問題しかないんですけど~。皆も嫌だよね?」
夏織は女子達に向かって言った。
「私は皆一緒にいつまでも暮らせるのは、良いと思いますよ?ただ、結婚となると、お金や