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 ルンルンの光の矢を楽しそうに、いとも簡単に避ける。

 私の矢があんな簡単に避けられるなんて。さすがこのクラスの教師ですね。

「まぁまぁの速度ですね」

「その割には簡単に避けてますけど」

「私としては避けなくても良いんですけどね」 

 花穂は足を止め、手で矢をガードした。矢は花穂の手に当たるとガラスの様に砕けていいた。

 砕かれた。私の矢が。

「今度はこっちから行きますよ~」

 花穂は地面を蹴り、ルンルンに近付いた。その出来事に気付いた人はその場にはいなかった。花穂はルンルンの目の前にワープしたように皆には見えた。

 え?いつここまで来たの?

 花穂は拳を握り、後ろに引っ張り殴ろうとする。その瞬間、地面から巨大な光の剣が出てきた。花穂は攻撃を止め、バックステップで避けた。

「凄いわね。あんな事まで出来るなんて。花穂さん以外に、予想もしてないあの攻撃を避けられる人なんていないんじゃないかしら」

「そうだね。見えない地面からの攻撃。うちもあれを避けるのはキツイと思うよ。このままじゃ私達のキャラが薄くなって、終盤で死んでいなくなるキャラに選ばれてしまうよ」

 二人の戦いを見ている千夜とスズはそんな会話をしていた。

「予想以上にあの魔法少女はやるみたいだな」

「あぁ~。それにどんな攻撃をしてくるか分からないしな」

 この学校には何であんな変な奴が集まってくるんだ。勘弁してほしい。

「へぇ~こんな事も出来るんですね。危なかったですよ」

「出来れば今ので倒したかったですけどね。私もここからは全開でいかせてもらいます」

「どんと来なさい」

 ルンルンは花穂の元に飛び込む。その最中、ルンルンの手の平が光りだす。その光は伸び、太刀を形成していく。正しく光の刀の完成だ。

 その攻撃を花穂は腕でガードする。花穂の体は傷つく事を知らない。

 凄まじい衝撃波が出る。周りにいる信二達は体を低くして耐える。ルンルンの体は浮き、その後地面に着ける。

「エネルギーで作られた太刀ですか。中々のパワーですね」

「私がこれほどやって、そんな顔してる人初めてですよ」

 千夜はそのルンルンを見て気が付く。

「ソードウィザード。彼女がそう呼ばれている理由がはっきり分かったわね」

「うん。ルンルンの攻撃は全て、魔法で作られる剣だった訳だね。鉄の弾さえ簡単に切るその切れ味。それを生身で受けて切り傷一つ付かないなんて、本当に同じ人間か疑問に思うよ」

「そうね。私達は魔法と聞いて大きな勘違いをしていたみたいだわ」

「確かにな」

 千夜とスズの会話に入って来たのは歩だった。

「魔法と聞けば、千夜やスズの様に格闘系は苦手なイメージがあったが、これを見ると…お前らよりも接近格闘術の使い手らしいな」

 ルンルンはその太刀で花穂に斬りつけまくる。それはもちろん当たらないが、もしかしたら当たるかもしれないと思わせる程手数が多かった。

「ここまで速いのは驚きましたよ。スピードなら夏織より速いよたぶん」

「それはどーもです」

 ルンルンの戦闘タイプは、とにかく手数が多い事と攻撃に体の回転を合わせる事で、手数とパワーを手に入れているのだ。

 ルンルンは突きをする。花穂はそれを頭を横に傾け避ける。ルンルンは太刀を横に向け、そのまま横振りをする。花穂は少し体を低くしてそれを避けた。空振りをしたルンルンは遠心力を使って、回転してもう一振りする。これがルンルンの戦闘スタイルだ。例え一撃を避けたとしても、体制を戻す暇なく、もう2発3発と連続して攻撃してくる。

 これだけ攻めても手応えがまるで無い。やっぱりこの人はステージが違いますね。勝てなくてもこの人の顔色を変えられる一撃があるとすれば…。

「よいっしょーー」

 避け続けていた花穂ルンルンに殴りかかった。それを見た千夜は勝負は終わったかの様に後ろを向いて校舎に帰ろうとした。

「終わりね」

 何かにぶつかった音が響き、千夜は慌てて振り返る。そしてその光景に驚いた。

「あっれ~。十分気絶させられる力で攻撃したつもりだったんですが、止められちゃいましたね~」

「ギリギリですけどね」

 ルンルンは目の前に、シールドを展開し花穂の攻撃を防いだ。そのシールドは花穂の攻撃でひびが入っていた。

「あの攻撃を防ぐなんてスゲーな。千夜。お前だったら防げたか?」

 俺は返事をしない千夜の方を向いた。千夜の顔は興味深々こ顔をしていた。まったくこいつは戦いの事になると、人が別人の様に変わるな。きっと楽しいんだろうな。こいつは自分より強い人間が好きだからな~。きっとルンルンと戦いたくてしょうがないんだろ~な。

 何とか花穂の攻撃を防いだルンルンは距離を取った。

「フィールドオープン!」

 ルンルンがそう言うと、透明の球体が大きくなり辺りを包み込んだ。

「今何したんですか?」

「私の最終奥義です。では行きますね」

「私にルンルンの力見せてください」

 ルンルンは黙り下を向く。

「テレポート」

 その言葉の後ルンルンは消え、花穂の背後に現れた。

「え?」

 さすがにその現象にはその場にいた全員が驚いた。花穂は後ろに現れた事に音で気付き、振り返る。

 ルンルンの渾身の一撃に慌てて拳を合わせ粉砕する。

「今消えたよな?」

「えぇ~。まさかそんな事まで出来るなんて」

「ちょっとこれ見てください」

 歩がパソコンの画面を見せてきた。

「さっきのフィールドっていうモノを調べてみたんですが、このエネルギーの球体の中の物質が凄い特殊で。人間の持つ、気と似ている物質なんですよ」

「つまりどういう事だ?」

「恐らくルンルンが展開したフィールドの中は、ルンルンの体と同化してる。つまり、その空間を自由自在に動かせるって事です」

「空間を自由自在に?って事はさっきのも」

「あぁ~そうだ。ルンルンが瞬間移動したんじゃない。ただルンルンが花穂の後ろの空間と自分がいた空間を入れ替えただけです」

 なるほど。そういう事か。魔法ってのは本当に便利だ。小さい頃魔法が使えたらって何度思ったか。魔法使いになる修行でもすれば良かったーー。

「さすがに今のは驚きました」

「まだ終わりじゃないですよ」  

 ルンルンは再び消え、斬りかかる、しかし花穂は見切って避ける。  

「これなら」

 ルンルンはムキになって攻撃をする。今度は間合い関係なく、花穂の周り上下左右から光の剣が現れ刺しに来る。

 何も無い所からこんな物が次々出て来るなんて。この空間はルンルンの思い通りなんだね。

 花穂はそれを腕組みしながら、するりと避けていく。

 ルンルンは光の剣を一振りする。するとルンルンが斬った空間が何十倍にも膨れ上がり、空間の端から端を埋め尽くし、花穂に襲い掛かる。

「わぁ~凄いですね~」

 花穂の目には、切れる風の様なモノが音を立てながら、襲い掛かってきた。当然逃げ道は無い。


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