1話
信二は立ち上がり、太陽を見て言った「さて、夜明けだ。作戦を実行しよう」
同じように、歩と涼太も太陽を
見ながら立ち上がった。「ってもう昼間なんですけどね」と涼太が空気を読まずツッコミをした。
「おいおい雰囲気壊すなよ」
「すいません」涼太は言葉だけの謝罪をした。涼太はそういう男だ。この中で実は一番病んでいる人間だ。
「身体測定が開始したぞ。これよりミッション開始だ~」
教室では、D組の女子生徒が整列しており、結果を記入するカードを貰っていた。
「皆さ~ん。カード貰った人から順番に診察してください」
この青い空、突き抜けるようなそよ風、すべての景色が宝石のようにキラキラしていた。そして今、俺たちは大きな目標を叶えようとしていた。
今日の為に一年間しっかり準備してきた。数分後には結果が出ていることだろう。そこから見る景色はまた変わって見えるのかも知れない。そしてそのミッションとは。
「これより覗きを開始する。お前ら準備はいいかー?」
俺は拳を突き上げ、仲間達の士気を上げる。仲間達も拳を上げ乗ってくる。本当にこいつらは最高の仲間、いや最高のクズ達だ。
さて、ここいらで俺らの自己紹介と行こうか。俺の名前は伊藤信二、普通の高校2年生だ。数年前はとある異世界で、大きな強盗組織の頭を務めていた。だがある時、足元に穴が開き、そこに吸い込まれるように、落ちてしまった。そして気付くと、俺はこの世界に居た。そしてこの学校に拾ってもらった訳だ。俺達だけの為に作られたクラス、D組だ。
このD組の生徒は男3女4のクラスで、全員様々な異世界からの転校生って訳だ。俺らの校舎はこの学校、涼宮高校の本校舎とは少し離れた場所にある。当然ながら本校舎の生徒には、俺たちの正体はバレてはいけない。本校舎の人で俺らの正体を知っているのは涼宮高校の理事長ただ一人だ。そして今、1年に一度の健康診断。いや、発育測定が始まろうとしていた。場所は本校舎。俺らは本校舎の屋上でミッションの最終確認中だ。
「そっちの準備はどうだ?」
「問題ない。もうじきこっちも最終調整が終わるところだ。」
今返事をしてくれたのは、佐藤歩。こいつは物を作る天才だ。武器や爆弾、戦車など、どんな物でも、廃材だけで作ってしまう。しかし、物を動かすにはプログラムが必要だ。そのプログラムを作ったのが、ここに居るパソコンをいじっている男。名前は高木涼太。最強のハッカーだ。こいつの手にかかれば、日本中の監視カメラなんか、数十秒で奪う事が出来る。歳は俺や歩より一つ下で若干陰キャっぽい男だ。涼太って名前を付けた両親に文句を言ってやりたいものだ。
俺はパソコンでピコピコ指を動かしている涼太に言った。
「涼太。お前の方も問題ないか?」
「えぇ。特に問題なく見れます。映像もクリアです」「どれどれ」と俺は涼太のパソコンを覗く。そこに映っていたのは、裸でプロレスをしている男女だった。俺は涼太を殴った。
「お前は何を見てんだ?」
その質問に涼太は表情を一切変えずに俺に言った。
「DVDは昼間見るのが俺のルールなんですよ」
「知らねーよお前のルールなんて!ちなみに俺は朝一見るタイプが、そのDVDはミッションに支障を出すかも知れないから俺が預かっておこう。ホイホイ。貸して味噌?」信二は寄越せとジェスチャーしながら言った。それに対して涼太も「あげるわけないじゃないですか。それに仕事ならしっかり終わらせてます。ほら」
涼太はそう言って、パソコンの画面を切り替えた。画面に映されたのは、八分割されたカメラのライブ映像だ。この映像がどこから映し出されているのかと言うと
「よし。こっちも終わったぞ。見てくれ」
歩に呼ばれ俺たちは振り返った。どうやら俺が頼んだ小型ドローンが完成したらしい。
「それで完成したドローンは?ん?ドローンなんかねーじゃねーか?どこにあるんだよ」
部品や工具こそ落ちているが、重要なドローンが見当たらない。
「よく見てみろ」歩が足元を指さす。
「な、何だこれ。何かゴミムシみたいのがいるんですけど」
「ゴミムシな訳無いだろ?ドローンだよドローン。全部で8機ある。これだけあれば、あいつら相手でも大丈夫だろう」
さすがとしか言いようがない。こいつに任せたのは正解だったな。これだけ小さければバレる事もないだろうし、今回のミッションは簡単にクリア出来そうだ。
「俺には全然見えないんですけど。ホントにあるんですか?」
「まったくこれだからパソコンオタクは嫌いなんだよ。眼鏡でもつけてろよ」
その挑発に涼太は表情を特に変えることなく「AVオタクに言われたくありませんよ」
「それはお前だろ?」
揉めている二人の会話に、黙っていた歩も口を出した
「そういえばこの前、信二の部屋行ったんだけどさ~。お前の部屋の壁紙ってさ~」
「おい待て。それ以上言ったらお前を殺す」動揺を見せる信二。
「え?何かあったんですか?」
「何かあったってレベルじゃねーよ。こいつの部屋の壁紙、全面AV女優なんだぜ?写真もあるぜ」
歩スマホを取り出し、涼太に見せた。涼太はその写真を見るなり、まるで乗物に酔い、今にも吐きそうな表情になった。
「うわぁ~~。引くわ~。引きすぎて地球一周して背中合わせになるわ~。キモキモキモキモキモキモキモキモキモキモキモ」座りながら体を上下に揺らし、目を大きく開いて煽る涼太。
「いやぁ~ホントにキモいよなぁ~。ここまでキモいと、むしろ見てて気持ちいいよなぁ~」
チクショ~。こいつら言いたい放題言いやがって。いつか必ず殺してやる。精々このミッションが終わるまでの時間を楽しく生きるこった。まぁ~こいつらをまとめるのもリーダーの務めか。
「お前らこんな事をやっている場合か?」
「それお前が言うか?」
歩のツッコミに信二は、咳をして誤魔化し、強めの口調で話した
「今回のミッションは仲間割れをして成功できるほど甘くないぞ?それにもし成功すればモノホンJKを見る事が出来るんだぞ?」「な!」
その言葉に歩と涼太は表情を変えた。
「フッ。確かに信二の言う通り、ここは協力した方が良さそうだな」
「そうですね。これだけは何よりも優先事項ですから」
その言葉に信二は「よし」と答え、作戦内容を話し出した。
「今から5分後に女の身体測定が始まる。覗き魔としては最高のシチュエーションだ」
その発言を聞いた歩と涼太は「今自分の事覗き魔って認めたぞ」「あの人の指示に従うのが不安になってきたんですけど」と言葉を溢した。
しかしそんな発言を信二は一切無視して話を続けた。
「しかしカーテンは閉まっており、外から覗くのは不可能。また身体測定中は教室のある3階は立ち入り禁止となっている」
「普通に考えれば侵入は不可能ですよね」
「あぁ~。しかも覗く相手はあのD組の女子だ。ちょっとした事で気付かれ殺される。本当にうまくいくのか?」歩は不安そうに信二を見た。
「問題ない。その為に今まで色々準備してきたんだ。作戦はこうだ」信二は作戦を二人に伝え、時が勇者3人を迎えた。
ていきま~す」
診察が始まる中、ため息をして、やたらテンションの低い女の子がいた。彼女の名前は飯村千夜。前にいた異世界では最強の殺し屋だった。死を与える死神すらも殺す、死神キラーの異名を持つ。
「どうしたの?ため息なんかして。折角の美人が台無しだよ?」
「私、身体測定って嫌いなのよねぇ~」
「どうして~?」千夜に話しかけてきたこの人は、学級委員を務める人間で、名は泉夏織。異世界では有名な格闘家だ。見た目とは裏腹に、人間離れした超人的な肉体に、鉄よりも固く、弾丸よりも速く、刀よりも鋭い拳を持った喧嘩士だ。
「だって知らない人に、身長とか体重とか色々調べられるのって、嫌じゃない」と冷たい口調で話す千夜。
「えぇ~そうかな~。私はそんな事考えた事無かったよ。そういう人って結構多いの?」」