メルク王国王立魔法学園
メルク王国はカオック大陸の中心部に位置している。国内を南北に流れる大きな川と、広がる肥沃な土地の恩恵を受けて、農業を主体として発展してきた。
北に大陸一の繁栄を誇るタカハ帝国、南にメヤ共和国、東にルマシー地方、西にゴーク連合があり、それらを結ぶ交通の要衝でもある。
王城より少し東側を流れる川の畔に、メルク王国王立魔法学園がある。
位置的にも大陸の中心にあり、優秀な卒業生を数多く輩出した実績を買われ、今ではカオック大陸全土から優秀な生徒が集う。
もともと貴族主体の学園であったが、現在では有力貴族の後押しを得て入学する一般市民も増えた。もっとも、その場合は卒業後の雇用契約等が彼らの間で交わされていることが大半である。
学園は基本的には全寮制であるが、王族や一部の貴族には自宅からの通学が許されている。
ロミオの父は魔法省の重鎮でもあったので、ロミオも自宅からの通学が可能であったが、継母は冷たく、年の離れた兄たちとも何となく距離を感じていた為、躊躇わずに寮に入った。ただし、心配してくれる父や使用人との約束もあって、週末は邸に帰る事にした。
シズカ・ロングフィールドも入寮を志願したが、こちらは父や周囲からの猛烈な反対を受けて、自宅から通学することになった。