退屈な毎日
私は会話文に句点をつける派ですっ!あと読む前に縦読みモードにして読んでもらうと読みやすくなると思います
蝉の鳴き盛りの季節である今、日本では少子高齢化が進んでいた。高齢者が9割と残りは20歳前後の若者が1割という異常現象がもはやあたりまえなのである。
日本政府はこの現象を食い止めるために男女交流会を提案・促進している。しかし日本人はこれを拒んでおり、代わりにあるものに夢中であった。それは日本経済の大部分を支えているアニメ、正確にはアニメの登場人物(これが美少年少女ばかりなのだ)に熱中しているのだ。アニメは遺産と見なされている現代では、アニメを廃止する訳にもいかず、もはや打つ手もない。
日本は着実に破滅に向かっている、足早に追い詰められるように。
とある男は居酒屋にいた。一人ではない、六人が男女三人ずつ向かい合って座っている、だがなぜ俺は座っているのだ、友達に誘われここに来たはいいが、なぜ誰も口火を切ろうとしないのだ。まさに葬式である。
これが男女交流会であることは明白だ。しかし、薄々皆も「無駄である」と感じているはずだ。その証拠に目の前の化粧の雑な女は携帯を弄り始めた。全く失礼極まりない、なにしに来たんだこいつは。
だめだ、我慢の限界だ……
男は立ち上がり、
「あの、急用思い出したんで帰ります、失礼しました。」男はそう言うと懐から二千円を叩きつける。
いや、叩きつけてやった、のほうがこの男の心情に相応しい。そして男は一度も振り返ることなく店を出た。
男は夜道を歩いていた、物思いに耽りながら。
大学生活がなぜこんなにもつまんないのか、今日の俺は一体何をしていたんだろうか等を。だがアニメに浸透されているこの国でどう過ごせばいいのか。だめだ、ムリだ、希望はない……。
男はアニメを好まない人間だった。故にこの世界に合っていない生き方を、性格をしていた。白黒の世界である。どこか異世界があるなら行ってみたいものだ。
そんな男にも彼女がいた。ようやく色付くだろうと思っていたのに、彼女が話すものはアニメ、アニメ、アニメの一点のみ。無論、会話が噛み合うはずもなくすぐに別れた。それが最後だった。
男は家賃三万のボロアパートに住んでいる。まあ、大学生にとっては大助かりの賃貸だ。
夕食を済ませ、大学のレポートを仕上げようと男は準備をする。外からは蝉の声が延々と耳に入ってきて五月蝿いと思ったが、逆にレポートを仕上げることへの促進応援歌になった。
一時間前に注いだ麦茶が空になり氷だけになった頃にようやくレポートを仕上げることができ、疲れて横になった男の意識は段々と薄れていく。やがて眠ってしまった男の体を黄色く眩い光が纏い男は一瞬にして消えてしまった。
部屋にはコップの中の氷だけが季節の暑さに耐えていた。