表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/31

最終話「私の友達の話をしよう」

 ――あれから、三年の時が流れた。

 

 異世界からの錬成術師くろがねちゃんと私の奇妙な共同生活と宇良部さん達、現世護手同士の争い。

 

 ……あれももう懐かしい思い出。

 私の隣には、もうクロちゃんはいない。


 あの小さな……私の友達は、もうこの世界の何処にも居ない。

 

 当時中学生だった私も、今やごく普通の女子高校生。

 色々あって、故郷の岡山を遠く離れ、東京、調布にある私立の女子高に通う毎日。

 

 今日は……久しぶりにこっちに顔を出した宇良部さんに、バイクの後ろに乗せてもらって、大垂水峠にツーリングに連れてきてもらっていた。


 県境付近の見晴らしのいい峠のラーメン屋さんがお目当てだったのだけど。

 いつのまにか潰れてて、その跡地には自販機が申し訳程度に並んでるだけだった。


 せっかくなので、飲み物でも買って、風景でも眺めながら、一息つこうという事に……。

 

「ほれ、こいつはオレの奢りだ!」


 ずいっとコーラのペットボトルを手渡される。

 ……何と言うか、女の子にこんなのを買って寄越す辺り、相変わらず気が利かない。

 

「宇良部さんって……私の事、女の子扱いしないよね……。普通は、飲み物とかって、オシャレにミルクティーとかあまーいカフェオレとか、そんなのにしない? まぁ……喉乾いてたからこれでもいいけどさ。……と言うか、久々に会ったのに、なんか言う事ないの? 髪型だって、変わってるし、少しはお洒落して、大人っぽくしたつもりなんだけど……それについて一言も触れないのはどういう事?」

 

「おおっ! そういや、髪伸ばしたんだな! と言うか、よく見れば、お前っ! 誰だよっ!」

 

 そう言って笑ってくれるんだけど……ものすごーく今更だった。

 ちなみに、昔はボブ・ショートだった髪の毛も、腰近くあるロングにしてるし、背も165くらいと結構伸びた。

 女子にしては、むしろ背がある方。

 

 胸も……Cくらいはある……同じ学校に通ってる紅葉ちゃんが隙さえあればお触りに来るので、もまれて刺激されたのではとか言う評判が立ってるのは……何と言うかちょっとアレだけど。

 

 ……うち、女子校だからなんか許されてるのよねー。

 

 さすがに、ミニ・スカートでバイクに跨るとか無茶はしないし、バイクに乗る時は長袖長ズボンは常識だから、お肌の露出は控えめ、普通にデニムとウィンドブレーカーってとこ。

 まぁ、色気はないなー。


 とにかく……所作や言葉使いも気にするようしてるし、少しは女らしくなった……と思うっ!

 

「ちょっと! 宇良部さん、超今更なんだけどっ!」


「わりぃわりぃ……冗談だ……うんうん、すっかり可愛くなっちまって、俺も嬉しいぜ。体の調子はどうなんじゃ?」

 

「そだね……最近、やっと病院通いから解放されたとこ。普通に身体動くし、痛いとこも無い……クロちゃんと一緒だった頃は、むしろ加減が大変だったけど……。もう、普通のか弱い女の子だしねー!」

 

 そう言って、笑うと宇良部さんが優しく頭に手を乗せてポンポンと叩く。

 

 眼下に広がる関東平野の街並みをぐるりと見渡す……。

 

 3年前……バカな陰陽師がトチ狂った挙句、呼び出した空亡そらなきと呼ばれる黒いミニ太陽みたいなヤツ。

 

 都市伝説……人の思いが具現化したこの世を終わらせかねかった災厄。

 突然、関東一円が真夜中みたいに真っ暗になって、電気も消えて……大パニックになった。

 

 私達も、それを阻止すべく色々頑張ってたんだけど、力及ばず、それはこの世界に呼び出されてしまった。


 絶望的なまでに大きな存在。

 際限なく、湧いてくる空亡の眷属……異形の化け物たち。


 軍隊だって、宇良部さん達も私だって、為す術なんて無かった。

 

 けれど、たった一人。

 それに立ち向かったものがいた。

 

 ……クロちゃん。

 彼女は、本来の身体……私の身体を使って、空亡へ戦いを挑んだ。

 

 そして、奥の手とか言って、なんだかすらりと背も高くて、すごく美人で強そうなお姉さんに変身した。

 

 そこから先はもう滅茶苦茶だった。


 ウンカの群れのように、空から湧き出してきた、黒い戦闘機が空を舞う化物共を駆逐し、東京湾に現れた漆黒の大艦隊の一斉砲撃で、巨大怪獣みたいなのがあっという間に倒れ伏した。


 地面を埋め尽くすほどのやっぱり黒一色の戦車やらロボット兵士やらなんやらが、地上に降りた化物共を次々と屠っていった。

 

 古今東西の兵器、武器のオンパレード。

 

 兵器の女王「黒の節制(ブラックテンパランス)」……クロちゃんはそんな風に、自分のことを言っていたんだけど。

 なんと言うか、もうスケールが違った。

 

 地獄のクロちゃん軍団と、空亡の使い魔との訳の解らないような東京大決戦が始まり……。

 

 さらに続々と現れたクロちゃんのお仲間の参戦。

 

 さしもの空亡も、最終的にクロちゃんの操るめちゃくちゃデッカい斧を持った巨大ロボに真っ二つにされて、溶けるように消えてしまったのだった。

 

 私はと言うと……クロちゃんが元の身体に戻るのと入れ替わりに、本来の身体に戻れたのだけど。

 

 その身体は、クロちゃんと最初に会った時の車に轢かれた直後の状態で、あっちこっちズタボロで、今にも死にそうだった……。

 でも、その辺は、政岡さん達が頑張ってくれて、一命を取り留めることが出来たんだけどね。

 

 本来は魔術を使っても、とても治しきれないくらいの重傷だったんだけど。

 宇良部さんの鬼の血なんてのを身体に入れて、半ば無理やり治したんだって……無茶するよね。


 おかげで、見えないものが見えるようになったり、色々妖とかに狙われやすくなって、変なことに巻き込まれやすくなっちゃったけど……。

 

 すっかりルームメイト状態になっちゃった紅葉ちゃんもいつもそばに居てくれたし、紅葉ちゃんのお姉さんの翠さんがボディーガードみたいな感じで、守ってくれたり、何かと世話を焼いてくれるので、割と普通の女子高生で居られている。

 

 実は、自分のことを自分で守れるようにって、魔術師の修行なんかも始めた所。

 

 ホントはもっと早く修行を始めても良かったんだけど、身体が本調子になってから、それまでは皆が守ってくれるって言うから、つい甘えちゃった。

 

 翠さんも……洗脳されて敵に回っちゃったり、色々あったけど。

 今はもうすっかり、政岡さんなんかとも仲直りして、会えばイチャコラとよろしくやってたりなんかする。

 

 兎にも角にも、私達が関われたのはそこまで。 

 クロちゃん達の世界がどうなったのかは、私達には知るすべもなかった。

 

 でも……クロちゃんが言っていたように、こっちの世界で大勢の人が死ぬようなことも無かったし……。

 

 向こう側で大暴れして、世界を無茶苦茶にしちゃったっていう伽耶さんと葵さんって人達。

 この二人が空亡の卵みたいなのを孵しちゃったのが、そもそもの原因と言えるんだけどね……。

 その空亡は、やられちゃったし、二人もなんだかんだで無事。


 今は色々忘れちゃって、普通の生活を送ってるらしい。

 

 クロちゃんが言ってた向こうの世界をめちゃくちゃにしちゃった因果は、なかったことになったみたいだから、ちょっとは違う展開になったのかもしれない。

 

 それに、あれだけ無茶苦茶な大戦争みたいな事になったのに、ほとんどの人は、まるで時間が止まったみたいになってて、誰も怪我ひとつしなかったし、何が起きたのかすらも全然解ってなかった。

 

 建物とかだって、大戦争の巻き添えで壊れてたりしてそうなものだけど。

 全然、壊れてなかったのだから、もう訳がわからない。

 

 もう、本当に何事もなかったかのように元通り。

 

 大規模な鏡面空間結界みたいなものでも使ったのでは? とか政岡さんも言ってたけど。

 何がどうなったのか、まったくもって不明。

 

 私達は、あの戦いの数少ない目撃者だったのだけど、正直何が何だかさっぱり。

 

 とにかく、正真正銘、世界の終わりとか、人の世の危機的な状況だったみたいだけど。

 文字通り人知れず、何事もなかったのように、それは終わってしまった。


 ついでに言うと、黒幕だった何とかって総帥は……空亡を呼び出した張本人だったらしいのだけど。

 空亡がやられちゃったので、揺り返しをひっかぶって、人知れず死んじゃってたらしい。


 だからもう、総帥さんが何をしたかったのかとか、その企てが上手く行ったのか、失敗したのかすら解らない。

 

 なんとも煮え切らない話なんだけど。


 これが三年前の騒ぎの結末。

 

 そして……今に至るって訳。

 

「おう……どうしたよ? ぼんやりして」


「いやぁ……三年前の事を思い出してさ……クロちゃん、お別れも言えなかったなぁ……って」


「せじゃな。あんときゃ、俺らも瀕死のお前さんを助けるためってんで、そっちの方が大変じゃったからな。俺達もクロ助がどうなったかは解らずじまいじゃ。でもまぁ……便りがないのは元気な証とも言うからな。……あいつの事だから、上手くやってるんじゃないかな? それくらいにはデタラメな奴だったからな……」


「そだね……宇良部さんも色々あんがとね。お医者さんから、もう大丈夫って、太鼓判が出たから、私も頑張って修行して、今度は宇良部さんたちをお助けできるくらいになるよ!」


「ほぉ、そりゃ楽しみだな。鬼の血が適合する時点で、結乃ちゃんも相当な器なんだがね。その……色々大変だったらしいな。もっとちゃんと面倒見てやりたかったんだが、俺もお役目ってもんがあってな……すまねぇな」


「大丈夫、紅葉ちゃんや翠さんが色々助けてくれてるから。色々護符とかももらったから、前みたいに化物に襲われたりなんかも、最近はとんとないよ」


「そっか。翠のやつもお前さんを実の妹みたいに思ってるって言ってたぞ。さて……寒くなる前に帰るかねぇ……。そいや昼飯はどうする? ホントは、ここの屋台ラーメンでも食わせてやろうと思ってたんだがな……この様子じゃ、随分前に潰れちまったらしい。残念じゃなぁ……」


「女の子連れてランチで立ち食いラーメン屋台とか、それはちょっと考えもんだよ? そういや、行きがけに高尾の辺りで、オシャレっぽいパスタ屋さんあったから、そこなんかどうよ? ちょっちお高さそうだったけど」


「そ、そうか? パスタか……そりゃ悪くねぇな。お前さんにゃ、このゼファーを譲ってもらった借りがあるしな。そいや、こないだ狩った妖が懸賞金かかってたような奴でよ! 実はちょっと懐に余裕があるんじゃ……いいぜ、ここはちょっと奮発してやらァ」


「おお、言ってるみるもんですなー。んじゃ、ゴチになりまーす!」


「オッケーオッケー! じゃあ、はよ乗れや……結乃ちゃんはバイクの後ろ乗り慣れとるから、俺も楽でええわ! 帰りはダウンヒルじゃ! カッ飛ばすぞ?」


「いいねぇ! 思いっきりやっちゃってよ! 宇良部の兄貴っ!」


 宇良部さんの後ろから、ギュッと抱きしめるような感じにしながら、峠道のダウンヒルを思い切り、かっ飛ばしてもらう!

 

 これ、女の子は皆、恥ずかしがるんだけど、運転手にとっては、くっついてもらって一緒に体重移動してくれた方が楽だから、私みたいにバイクの後ろに乗りなれてる子には半ば常識。

 遠慮して、バイクのフレームとかに掴まるとかえって危ない。


 まぁ、ちょっと胸とか押し付けちゃうような感じになるから、ちょっと照れくさいんだけどね。

 

 山の中の峠道を右へ左へ、理想のカーブラインを描きながら、下っていく!


 宇良部さん、良い腕してるじゃないっ! 後ろに乗ってると、そのへんは手に取るように解る。

 風の音、オイルの焼ける匂い、心地よいエンジン音。


 やっぱ、バイクはいいなぁ……じっちゃんのゼファーも大事にしてもらってるみたいだし。

  

 私もまずは原付きの免許でも取ろうかなって思ってる! もちろん、安全運転で! 痛いのはもう懲り懲りだもん。


 やがて、麓の高尾駅の前の交差点。

 

 信号待ち。

 

 赤信号の間、横断歩道を行き交う人達をぼんやりと眺める。

 

 点滅を始めた信号に急かされるように、バイクの前を長い黒髪の女の子……が横切っていく。

 

 二十歳すぎくらいのちょっと大人のお姉さんっぽいから、女の子ってのはちょっと違うかも。

 何故か理由は解らないんだけど、妙に気になって、思わずその後ろ姿を目で追ってしまう。


 横断歩道を渡りきったその人がチラッとこっちを振り返る。

 

 ……懐かしい見覚えのある顔。

 

「ク、クロちゃん?!」


 ……信号が青に変わる。

 宇良部さんがアクセルを捻ると、たちまちその姿は遠ざかっていった。

 

 それから。

 目当てのちょっとアンティークな雰囲気のオシャレなパスタ屋さんで、宇良部さんとランチ。


 向かい合って、なんかデートみたいな感じ。

 

 こじんまりとして、おひげのマスターさんが一人で経営してる小さなお店。

 思い切り初見の私達にも、笑顔で出迎えてくれた。

 

 ちょうど、お昼どきを少し過ぎたところで、お店には私達だけ。

 私は女子らしく、カニとグリーンアスパラのクリームスパゲティ。


 宇良部さんは、ミートソースの大盛り……まぁ、ベーシックではあるよね。


 お味は、満点! 超、美味しかった。


 これなら、また来てもいいかな? お値段も一人千円未満と私でもなんとかなるお手頃価格。

 今度、翠さんや紅葉ちゃんでも誘って来てもいいかなー。

 

「そいや、さっき交差点で何か言ってなかったか? 思わず、そのまま行っちまったけど」


 食後のコーヒーを飲みながら、宇良部さんがそんなふうに切り出した。


「あはは……クロちゃんによく似た人を見かけてね。多分、見間違いだと思うけど……」


「またクロ助の事か……あれも、なんともよく解らん事になったからなぁ……やっぱ気になるか?」


「そうだね……結局、全然訳が解らないことになっちゃったし……」


「そうだな……。けどまぁ、気にしても始まらねぇしな……。世の中、納得行くような事のほうがすくねぇんだ……忘れろとは言わねぇが、俺達は明日を生きるしかねぇんだ……前向きに……な!」


 そんな話をしていると、ドアベルが鳴って、お客さんが入ってきた。

 

「やぁ、カナちゃん、今日は早いね……」


 マスターが親しげに話しかけるその女の人は……。

 

「うそ……クロちゃん?」


 さっき見かけた、クロちゃんそっくりの女の人だった。

 

「マジかよ……冗談だろ……」


 宇良部さんも呆然とする……まじまじと見ても、本人にしか見えない。


「っと、スマン! き、君の名は? 言っとくけど、ナンパとかじゃねーからなっ!」


 名前を聞くだけ聞いて、ナンパの口説き文句みたいだったことに気付いたらしく、慌てて取り繕う宇良部さん。


 見た目は不良っぽいくせに、実は結構硬派なんだよね……宇良部さん。


「えっと……お客さんですよね? うふふ……初めまして……私、ここで働いてる倉田加奈子って言います。どこかでお会いしましたっけ? どっかで会ったことあるような気もするんですけど、思い出せなくて……」


 そう言いながら、倉田さんはエプロンをひょいっと身につけながら、困ったように苦笑する。


 あれ……やっぱり、他人の空似?

 名前もよく似てるけど、ちょっと違うしやっぱり、別人……なのかなー。

 

「私、雪宮結乃って言います。こっちは宇良部譲さん。初めましてだと思います。あ、あの……ごめんなさい、知り合いによく似てたんで……」


 ひとまず、ごまかそうとしたんだけど、私達を見る倉田さんの視線がすごく真剣で……。

 思わず、言葉が続かなくなる。

 確かに、すごく失礼だったかもしれない……どうしよう、謝ったほうがいいかな?


「……あの、笑わないで聞いてほしいんですけど。私、長い間病気で入院してたんですけどね。その時、生死の境を彷徨ってる中で、見た夢で、お二人とそっくりな人とお会いしたような……。だから、最初に二人を見て、思ったのがなんだか凄く懐かしいって……。あ、あれ? なんで? 私……」


 突然、ポロポロと泣き崩れる倉田さん。

 

 ……実は、どうも私達だけしか認識できてないみたいなんだけど。

 空亡が倒された瞬間から、この世界は微妙に変わってしまった。

 

 例えば、例の総帥さん。

 あの人は初めから居なかったことになってしまった。

 

 結構存在としては、大きな存在だったんだけど、関係者の記憶もなんだかもう、しっちゃかめっちゃっかになってしまっていた。


 そして、クロちゃんの前世……黒木加奈子さんについても。

 クロちゃんの話だと、お墓もあるって話だったのに、その一切の痕跡がなくなってしまった。

 

 入院してたって言う病院も本人から聞いてたから、特定できてたんだけど。

 宇良部さん達の調べだと、当の本人らしき人物は、三年ほど前に白血病から奇跡的に回復して、すでに社会復帰できてると言う話だった。

 

 個人情報の関係もあるし、本人が生きているということだけは解ったので、そこからは敢えて追わなかったんだけど。


 偶然とは言え、その本人と出会えるなんて……。

 

 戸惑うマスターさんを尻目に、私は宇良部さんと顔を見合わせると、軽く小突く。

 笑顔と共に倉田さんにハンカチを渡す、宇良部さん。


 話には聞いてたけど、全然男の人に慣れてないらしく真っ赤になって、凄く大事なものを貰ったみたいにハンカチを受け取って、涙を拭くと、はにかんだように笑う。

 

 ……宇良部さんより年上なんだけど、なんかかわいい人だなぁ……。


「ごめんなさい。何故か、突然涙がとまらなくなっちゃって……」

 

「……倉田さん、ちょっとした……お話をしてもいいかな?」


「はい……どんなお話ですか?」


「うん、私の小さなお友達の話」


 私は、この倉田さんにクロちゃんから聞いた……彼女の冒険の物語を語って聞かせたいと思った。

 

 彼女が送っていたかもしれないもうひとつの運命の……もうひとつの物語を……。


「お友達の……話ですか?」

  

「そう、私の……大事なお友達の話なんだけどね。とても、とても長いお話なんだけど……聞いてくれるかな?」


「はい。是非、聞かせて……ください」



 ……物語を語ろう。

 

 長い長いお話を。

 

 それは私の大事な友達の話。

 

 今も、どこか遠い世界で、戦い続けている。


 ……大好きだった彼女の物語。


 ――Fin――

エター状態で放置してるのも、忍びなかったので、

最新作「とある勇者だったおっさんの後日談」の最終話公開に合わせて、この作品も完結させることにしました。


本作品、かなり半端なとこで、一年余りも放置してましたが。


ラストシーンの構想自体は出来ていたので、もう無理やり繋げちゃいました。


唐突に後日談、ダイジェスト語り。

正直、褒められた締め方ではないとは思いますが、これも一応、物語の締めの手法のひとつです。

有名所では、幽☆遊☆白書の締め方がこれで、割と賛否両論でしたが……。


この転ロリシリーズは、私にとってはなろうデビュー作ではあるのですが。

当初は全然人目に止まらず、鳴かず飛ばずでした。


けどある日突然、衆目を浴びるようになり、デビュー作にもかかわらず、高く評価され、

わずか2ヶ月で10万PVを達成するような作品となりました。


完結後、一年以上経ってもポイントも伸び続け、つい先日ブクマも300を超え、

言わば良作扱いされている作品です。


その続編たる本作は、思ったより人気も出ず、ちょうど別の作品「宇宙駆け」シリーズのヒットで、そちらの方に注力してしまい……。

結果、どうにも続きが書けなくなって、放置してました。


かねてから、何らかの形で続けようとは思ってましたが。

一年が経過し、続きを書くのは断念して、こう言う形で物語を締めくくることにしました。


もし、続きを楽しみにしていた方がいたなら、大変申し訳ありませんでした。


結局、エターってのは、この何とか終わらせたいってのと、続けたいって思いがせめぎ合って、

中途半端な状態でほったらかしになることで、発生します。


読者の皆様には忌み嫌われる状態だと、承知していますが、

作家たるもの誰もがやりかねない……そう言うものなのです。


今更ですが、この転ロリシリーズについては、本作品のこのラストシーンを最後に、

いったん筆を置かせていただきたいと思います。


一応、続編というか関連作として、「アイシア様」と言う同じくエター状態の作品もありますが、

あっちはそのうち再開しようとかと思ってますんで、気長にお待ち下さい。


それでは、また別の作品で……。


2018/03/27

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ