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第六話「浄眼使い」①

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第六話「浄眼使い」①

---Yuino Eye's---

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「あ、あはは……紅葉ちゃん、凄いね! クロちゃんを一発で見抜くなんて、その眼が関係してるのかな? そだね……見つかったからには仕方ない……紅葉ちゃんにだけ、特別に教えるけど……そう、この子は私の使い魔! 色んな物を見えなくしたり、バリアー……じゃなくて、結界? 張ったり守るのが得意。私のご先祖様が残した使い魔で、お話とかも出来るんだよ……クロちゃん、自己紹介っ!」

 

 とりあえず、適当なことを並び立てて、クロちゃんに丸投げ!

 ……じっちゃんの話だと、うちって結構昔から岡山に住んでるらしいけど……。

 ご先祖から伝わってるもんなんて、じっちゃんの形見のゼファーくらいのもんだっての。

 

「ほ、ほぇうわっ? うーあー! え……えっと、わたし……クロ!」


 なんかクロちゃんもしどろもどろになりながらも、色々開き直ったようで、むしろ堂々と胸を張って腕を組みながら、こっちに歩いてくる。


「うん、結乃ちゃんはわたしのマスターだ! 結乃ちゃんを悪いヤツから守るのがわたしの使命なのだっ!

 ちっちゃいからって馬鹿にすんなよ! 魔眼使い! けど、このわたしの「暗闇に潜む影ハイドインシャドウ」を見破るとは大した術者だな。……よし、いいだろう! お前を結乃ちゃんの友達として認めてやろう!」

 

 無茶振りすまぬ……クロちゃん……。

 でも、なんかノリノリ。

 

 と言うか魔眼使いとかハイドインシャドウって何? もしかして、私、左手が疼いたりするの?


 さすがに、紅葉ちゃんも驚いたようでポカーンとしてる。

 

「す、すごい……こんなの初めてみた……明らかに私達の使い魔や式神とは別格の存在です! ここまで高度な知性を持っているなんて……なにより……霊格がとんでもなく高い! これはもう、もう精霊とか神様の分体クラスですわっ!」

 

 ……クロちゃん……なんか物凄い評価されてる……。

 まぁ、異世界の魔王様の下僕とか言ってたから、何とか四天王とかボスキャラみたいなもんだったのかも。

 

「うええっ! 神様って……わたしって、そんなのと一緒なの? う、嘘でしょ……。じゃ、じゃなくて……いや、うん……そ、そうだな! このわたしの霊格までも見抜くとは、お主も只者ではないな! よし! では、名を名乗るがよいぞ!」

 

 どうやら、偉そうな感じを演出してるらしかった……でも、クロちゃん……とっても大根役者。

 もっとがんばれ! 年上お姉さんなんでしょ?

 

「あ、はい……私、中菱紅葉と申します……この地の守護を任じられております一族の末子にてございます。この浄眼くらいしか取り柄のない駆け出し陰陽師の一人ですが……どうか、よろしくお願いします。」

 

 紅葉ちゃんも紅葉ちゃんで、何だか改まって正座して背筋もピンとまっすぐ!

 三つ指ついて、深々とお辞儀……さすが、お嬢様……なんかすっごいサマになってる!

 

「浄眼? わたし知ってるよ! カイでおなじみの奴じゃん! この世ならざる魔を見抜き、妖のほころびを見破る……幽世の魔眼って奴だね!」

 

 ああっ! 浄眼ってどっかで聞いたと思ったら、魔眼の結界師……ムラクモの特殊能力じゃないの!

 

 ムラクモって、最初はカイの敵役として出てきて、カイの式神や結界の弱点をあっさりと見破って、何度となくピンチに追い詰めるんだけど…。

 

 本気で正々堂々と戦ったり、成り行きで共通の敵と一緒に戦ったりするうちに、カイとの間に友情が芽生えて、共に戦う仲間になるんだよね……。

 

 浄眼で敵の弱点を見抜くことで勝利の鍵になったり、鉄壁の防御結界でカイを幾度となく守ったり、作中屈指の強キャラ!

 カイのピンチになると颯爽と現れるイケメン少年……カイと一、二を争う人気キャラ! それがムラクモ!

 

「クロ様……漫画なんて読まれるのですか? それって……ムラクモ様の事ですよね? 私もムラクモ様大好きです! 同じ浄眼使いとして、憧れなんです! でも、実際はあそこまで便利なものじゃないんですよね……私が未熟なだけなのかもしれませんけど」

 

 なんか当たり前のように返す紅葉ちゃん。

 ……紅葉ちゃん、ムラクモ推し。

 

「そ、そうなんだ! ムラクモ推しとはいい趣味しとるなぁ! ク、クロちゃんはね……長いこと眠ってたもんで、現代の文化なんかにもすっごい興味もっとるんじゃ! カイだって、なんか気に入ったみたいで、うちにあったの全巻読破しちゃったくらいなんじゃっ! 紅葉ちゃんも、カイ知っとるの?」

 

 すらすらとそれっぽい説明が出来る私も大概だよね……。

 ついこないだまで私、普通の中学生だったのは事実だし……。

 

 陰陽師のご先祖が残してくれた古の精霊クロちゃん。

 私の命の危機に反応して、長い眠りから目覚めて助けてくれた!


 ……よし、この設定で行こう!

 

 これなら、パッと出魔法使いの説明にはなってるよね? 何ともありがちな設定だけど、出任せでもない。

 嘘っぱちなのは、クロちゃんの素性だけ……と言うか、私もいまいちよく解ってない。

 

 どっかでさりげなく、この設定をクロちゃんに伝えようっ!

 

「もちろん知ってますです! 陰陽師少年カイは私達、現世護手女性陣のバイブルみたいなものですわ。作中の呪文が間違ってたり、怪異の説明がおかしいとこがあったんで、皆で訂正のお手紙送ったら、ちゃんと単行本では直してくれてて、とっても嬉しかったです。結構、本当のことも書いてあって、作者の流木乃葉ながれこのは先生陰陽師説もあるくらいなんですよ!」


 なんか、本業の人から語られた衝撃の事実。

 

 と言うか、何してんの? 本業の人……。

 あの作品、考証とか設定やたら凝ってるって評判だったけど。


 こっそり、本業の人達が助言してたようなもんだったのね……。

 って、おーいっ! 現代の魔法使いさん達ーっ! なんか、ミステリアスなイメージが台無しですよ?

 

 そう言えば、紅葉ちゃんもさっき片目を押さえて、ブツブツ言ってたの……ムラクモの真似っぽいような……。

 紅葉ちゃん……ムラクモの真似してたら、本当に能力発現しちゃったとか……まさか、そんなじゃないよね?

 

「へぇ……やたら凝った設定だと思ったら、そんな裏話が……本業の人が助言してるならそりゃ真実味帯びてくるよね。……魔術師とか陰陽師ってもっと浮世離れてしてると思ってたけど……少女漫画とか読むんだね」

 

 クロちゃんが感心したような感想を述べる。

 でも、少女漫画を読む陰陽師の人って……なんか、絵面的にシュールだよ?

  

 アルバイト巫女さんだって、もうちょっとイメージというものを大事にしてると思う。

 

「そりゃあ、読みますよ……皆、普段は普通の女の子ですからね……今朝会った譲先輩もご同業ですよ。私もクロ様みたいな……精霊様が漫画読むとか超びっくりです!」


 クロちゃん、すっかり精霊様認定。

 それにしても……宇良部さんも同類って事はあの人も魔法使いなんだ……なんかイメージが……。


「ふふふ……わたしは、アニメとかラノベとかにだって詳しいよ? ん……現世の人間達の築き上げた文化というものも、なかなか興味深いものなのだよ! 昔と比べると、世の中もすっかり様変わりしてしまったが……人の世はいつも興味深い」

 

 なんか素に戻ってた事に気付いて、慌てて口調を変えるクロちゃん……。

 ちなみに、実際クロちゃん……少女漫画とかアニメとか物凄く詳しい。

 

 ……入院生活って物凄く暇なせいで、自然とそうなったらしいけど。

 紅葉ちゃんの精霊とか神様のイメージが崩壊すんじゃないかな……これ。

 

 もうちょっと、神秘的な感じの演出とか……しないの?

とりあえず、あとがきコメント。

移設した分は、あとがきまで移すのめんどくさかったのでそこまでやってません。(笑)


ちなみに、紅葉ちゃんの浄眼は漫画の真似したら、ホントに出来ちゃったってオチです。


陰陽師少年カイのせいでにわか陰陽師みたいなのが大量生産されてしまっている……と言う。

なんせ、本物の監修を受けちゃってますからねー。

……対策しろよ!(笑)

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