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はじまり
ずっと憧れてた。
紺色のブレザーと、胸元に輝く校章。
赤レンガ造りの校門と、それさえ霞むほど立派な校舎。
オープンスクールの時に見た合唱も吹奏楽部の発表も、
校舎案内で行った生物室の標本さえ、憧れの対象で。
頑張って勉強して、絶対にこの高校に入ろうって思ってた。
だから、合格発表で自分の番号を見つけたとき、死ぬほど嬉しかった。
自分の努力は無駄じゃなかったんだって思えた。
そうして迎えた入学式。
桜たちも僕のことを迎えてくれてるようだった。
憧れの制服を着て、憧れの学校に通っている。
その事実が僕を高揚させて。
だからこそ、今こんな気持ちでいるのが信じられない。