すべての始まりーネコに生まれ変わりー
初めて投稿します。下手な部分(描写etc)などがあるので不安ですが頑張りたいと思いました。思いました←
「・・・・・」
学校帰りを一人歩く学生服の人がいた。姓は黒井。高校生。趣味はゲームやマンガを読むこと。所謂【ヲタク】というものだ。
今日も夜遅くまで現在ドハマり中のゲームをしていたせいで、目の下にでかいくまをつくっていた。
睡魔という魔物が恐ろしい精神攻撃を仕掛けてくる中、それに必死に抗いつつも家に帰るための足を止めない黒井はコンビニを見てコーヒーでも買っていこうかなぁ、なんて考えていた。しかし彼には手持ちがなかった。コーヒーどころか国民的駄菓子【うまい棒】すら買えない程である。
「くそぅ・・・早く家に帰って仮眠をとらねぇと。」
そうでもしないとまた今夜の戦いに参加できなくなる。なんとしてでもそれは避けなくては。
ふらふらと歩いていると目の前をネコが横切った。真っ黒なネコだ。
「ニァー」
一瞬こっちを向いてネコが鳴き、するすると家の塀を登り屋根に降り立つと、あくびをして体を丸め眠り始めた。とても気持ちよさそうに寝ているのを見て、ネコに言い聞かせるように言った。
「いいよなぁ。一日中ゴロゴロできるし、こうやって社会に囚われることもなく自由だし。ほんと、お前みたいにネコになりたいよ。」
ま、聞こえてないんだろうな。と、そこでネコへの関心は失せた。さぁ早く家に帰ろう。
『その願い、聞き届けられた。喜べ人間、我がその願い叶えてやろう。』
「だっだれだ!?」
突然聞こえた謎の声。それに驚き周りを確認するも人っ子一人いない。いつの間にか屋根の上のネコも消えていた。
得体のしれないその声に恐怖し、身を守るために道路に縮こまる。一体なんだってんだよ!と、震えながらも叫ぶがシーンとした静寂がやってくる。
「なんなんだよ・・・はっ!そうか、幻聴だな!そうなんだな!あっははは〜こりゃまずいなぁ今日はちゃんと眠らないとなぁ〜。」
なんだ、幻聴であれば怖くない。そう思った黒井は立ち上がるとそそくさとその場を去ろうと一歩前に踏み出してガクンと体制を崩した。
「なっ!?」
本来あるはずの、今まで黒井が踏んでいたアスファルトの地面がボロボロと崩れていた。その下には空洞のようにぽっかり開いた穴があり・・・その穴に踏み出していたのだった。
バランスを崩し倒れこむ黒井は咄嗟に崩れていないアスファルトの地面に手を伸ばすが、足元の穴からできた亀裂が瞬く間に広がり、同じように崩壊していった。
そして初めて経験する浮遊感に大量の汗を噴出させながら、何もすることができず黒井は穴に落下していった。
『よしよし、落ちてくれたね。んじゃさっそく改造改造っと♪』
どこからともなく聞こえた声を最後に黒井は意識を失った。
◆
ゴツゴツ・・・硬いところに寝てる?そしてこのにおいは嗅いだことないな。
「つつ・・・は?」
目を開けて見ると地面が近くに見えた。地面とチューできるくらいに近い。
「なんで倒れてんだ?・・・よっと、あり?」
手も使って立ち上がっても地面との距離が然程離れなかった。そして立ち上がったことにより急に視界に入ってきた二本の黒い毛で覆われた細い腕。ふさふさでモフったら最高だろうなぁと思ってしまった。
けどなんでだろう。右手を動かそうと思うと、右側にあるふさふさの手が動く。左手も同じ結果だ。
その手を視線で辿って行くとこれまた毛がふさふさな肩から出ていたことがわかった。あれ、これ俺の・・・?
「はは、幻聴に続いて幻覚もかよ。いよいよって感じだな・・・。」
悪い夢なら覚めてくれと、肉球がついたその手でペチペチと顔を叩く。おかしい、なぜこんなぷにっとした感触が伝わるんだ?
後ろのお尻にあたる部分に何かついてるように感じた。確認するとそれはニョロニョロと動く黒く細長い尻尾がついていた。
まさかと思ってそれを触った。触った感触が尻尾にも伝わる。
もしやと思い頭の上も触った。そこにはボサボサしていた髪の代わりにふさふさの毛とツンと尖っているような耳がついていた。
黒井はもう人ではなくなっていた。そしてそこから、自分が体験したそれらをまとめて、ひとつの結論に至った。
「俺ネコにナッテルーーーッ!?」
その日裏路地で奇妙な鳴き声が響き渡り、人々は不安な気持ちになった。
こうして、ネコとなった黒井のネコ生活が幕を開けたのであった。
ついでに言うと不定期更新になるかもしれないです。ネコはきまぐれですので。
次回は異世界と自分について知るようです。