(3)
あいつに頼むしかない!
俺はおじいちゃんの部屋を後にして、隣の部屋の引き戸を静か~に開ける。
ベッドに寝っころがりながら、漫画を読み、耳にはイヤホンをして、携帯に録画しておいたアニメを聞いて、3DSまで操作している。
どれか一つにやることを絞れよ!とツッコミたくなるがしょうがない。不機嫌になられては困る。弟は気分屋だし、これが最後の頼みの綱なのだから。
部屋の中に入っても俺のことに気づいてくれなかった。
俺は弟がつけてるイヤホンを取り、
「ホームステイが出たーーー!」
と叫んだ。
弟はおめえいつからそこにいたんだ?とホームステイってなんだよ!と思ったに違いない。アホみたいな顔でこっちを向いた。
もう一度俺は
「ホームステイが出た。」と今度は控えめに言ってみた。すると、アホみたいな表情から真顔に戻った。どうやら理解してくれたみたいだ。さすがうちの弟だ。話が早くて助かる。なんて心の中で弟を褒めていたが
「やだ。やらない。めんどくさい。」
あーそうだ。こいつは自分の利益にならないことは絶対に動かないんだった。いつからこんなできの悪い子に育ってしまったのやら。
「いいのか?断っても?このままだとずっと俺の部屋がホームステイにホームステイされるんだぞ!」
「知るか!」
「待て待て。他人事じゃないんだよ。よく考えてみなさい。俺の部屋はホームステイにホームステイされているんだから、俺はお前の部屋をホームステイするしかないだろ。それでもいいのか?」
「嫌だよ。勝手にホームステイとホームステイしてろよ。」
こういう時の弟はすごくノリが良い。
「ホームステイとはホームステイ出来ないから。俺とホームステイしたくなかったらホームステイをなんとかして。お願いします。」
「嫌だ!」
くそ。このガンコ者め。こうなったら代価を払うしかないか。
「じゃあ、一カ月分ジャンプ買ってくるから」
「乗った!」
こうして、俺は弟を仲間にした。