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あれこれ考えているうちに、シップは視界一杯に腹を見せてから停船した。

──やはりうちの船だ

「カイン?」

「うん」

じっとシップを見る俺に、ハロルドが声をかけてくるのに曖昧な返事を返す。

シップに乗っているのは多分俺の想像通りの人物だと思う。それを確かめたくて俺はシップから目を離せなかったのだ。

ハッチが開く。影が二つある。

「・・・あ」

陽が当たってその二人が誰だかわかって、俺は声をポツリと出した。オアシスで別れたルパートとバートだ。

その後に続く人影がないかと目を凝らすが、出てくる様子がない。

──二人は大学へ戻ったはずだが・・・戻った二人に声をかけて連れてきたのだろうか?

「ルパート!バート!」

出てきた二人に博士が声をかける。博士の下へと嬉しそうに駆け寄っていく二人を俺は視線で送った。

と、視界の端で動きがあり、またシップの乗降口へと目をやる。

しっかりと磨かれた靴。ピシッとプレスされたスラックスとシャツ。そして艶やかな黒髪。その人物を見て俺は駆け出した。

「エルヴェ!」

さすがにズィータのようには飛びつかない。エルヴェの数歩前で立ち止まって、ハロルドやズィータよりも高いところにあるその目を見つめた。

「久しぶりだな」

エルヴェはその大きな手を俺の両肩へとかける。肩をくいくいと動かし──体の様子を伺ったのだ──俺の顎へと手をかける。

くぃっと顔を持ち上げて「思ったよりも日焼けしてないな。肌のコンディションも良いようだ」と一人ごちる。

「やはりあの香油は正解だったな」そう言いながら、今度は俺の髪をさらりと撫でた。

「うん。髪も痛んでない。石鹸も正解だな」

自画自賛気味の声を聞いていると、エルヴェはサイドの髪を俺の耳にかけようとして、動きを止めた。こちらの耳にはピアスがついている。

エルヴェは視線をずらした。

何か言われるかと思い身構えた俺は、入ってしまった力を抜きながらエルヴェの顔を見、その視線を追えばそこにはいつの間にか側に来ていたハロルドがいる。

俺の場合は耳に髪をかけてなければピアスはほとんど見えない。対してハロルドは髪の毛が短いから、はっきりと見える。髪に隠れていたとはいえ、オアシスでも他の四人はあっという間に気付いたが、エルヴェも同じものだとすぐにわかったようだ。

「ねぇ、何で俺はダメでエルヴェは大丈夫なわけ」

これまた近くまで来ていたズィータがハロルドへと言う。ズィータからは奪うようにして距離をとらせるのに、エルヴェが触れているのに全く文句を言わないところを突いているのだろう。

「そりゃ、カインの兄さんだから」

「え」

俺は戸惑いの声をあげた。

──俺の兄?エルヴェが?

「お揃いをつけさせる間があったら、もう少しカインのことを知った方が良いんじゃないか」

エルヴェが厳しい目と声をハロルドへと向けた。

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