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ハロルドはさんざん俺をからかった後、

「まだ時間がありますね。ちょっと買い物へ」

そう博士とセンセイに言って(俺には言わなかった!)場をはずした。

「う~~」

離れていくハロルドの背を恨めしく見ていると、博士とセンセイがニヤニヤと笑っている。

多少・・・いや、かなり我ながら大人気なかったとは思うが、つい反応してしまった。

俺はばつが悪くなって「荷物の確認します・・・」と言って二人から少し離れてカバンのふたを開けた。


出発の二十分ほど前になってルパートとバートがやってきた。

二人は博士と既に何度か出かけたことがあり、旅慣れている様子だ。

カバンや袋がいい感じにくたびれていて、俺はそれをまぶしく思った。

と、二人の後ろからハロルドの姿が見えた。

こちらへとつかつかと歩み寄ってきて、「全員そろいましたか」と博士に聞いている。

今回はガイドのハロルドを入れて六人での旅だ。

うなずく博士とセンセイに「じゃ、行きましょうか」と出発を促す。

「え?」

おのおのが荷物を取り上げるのに、俺はびっくりした。

「ムゥロがつながれているところまで、歩きだぞ」

ルパートに言われ、はっとする。

人通りの多いところへぞろぞろとムゥロを連れてくるはずがないのだ。

俺は重い荷物を抱えて、皆の後をよろよろと追いかけた。


「はぁ。はぁ」

ムゥロがいる町の外れまで、そんなに歩いた訳ではないのに俺は息が上がっていた。

一番若くて、運動量が一番多い俺が息をあげているのに、他のメンバーは平然としている。この差に釈然としない気持ちを抱えながら俺は汗を拭った。

メンバーは着いた順から自分が乗るムゥロを決め、手際よく荷物を腰の辺りにくくりつけている。

「チビ」

ハロルドに呼ばれて俺は荷物を抱え、彼の元へと歩く。

「チビって名前じゃないんだけど」

「その割りに呼ばれてきたじゃないか。自覚はあるんだな」

「・・・・」

言い返す気になれずに俺はただハロルドの顔を見た。

「お前のはこいつだ」

ハロルドが鼻の辺りを撫でながら紹介してくれる。

「よろしく」

そう言って、まねして撫でれば「ふふー」と目を細めながらムゥロは息を吐いた。

「ほらよ」

声がしたと思ったら、目の前が白くなる。

「な、なに?」

頭から布のようなものをかけられた俺は慌ててそれをずらしてとった。

「クスカスだ」

「・・・知ってる」

俺はその布を広げて確認しながら返事をした。

クスカスというのはこの地方独特のマントのようなものだ。

「それを着るんだ。日差しが強いからお前みたいな色が白いのはあっと今に真っ赤だ」

「え・・・」

──このタイミングでクスカス?

そう思ってきょろきょろと辺りを見回せば、俺とハロルド以外はもうみんな着ている。

というか、遮光のグラスまでかけていて、正直誰が誰だかわからない。

──センセイは確かあの位置にいたな

──あ、荷物を見たほうが早いか

そんなことをぼおぅっと考えていると、手からクスカスが抜かれ再度頭からかけられた。

「俺、持ってるし!」

ハロルドがいた方向へと抗議の声を上げる。

「・・・すぐに出せるのか」

「う・・」

首を振る。

準備してくれたエルヴェも用途まではわからず、二人揃って肌寒い時とかの防寒用だと思って荷物の中程に詰めてしまったのだ。

布がずれてやっと視界が開ける。

クスカスをちょうど良いところへとずらしながらハロルドは

「もう出る時間だ、やるから着てろ。あと、岩塩だ」

と、言ってちゃっちゃと俺の身支度を整え岩塩を手に握らせると、ほらとムゥロの背に乗せた。

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