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「大丈夫か?」

「大丈夫、大丈夫」

隣でハロルドが心配そうな声で聞いてくるのに、俺は軽く答えた。

店先で座って、ハロルドが1杯、俺は2杯果実酒を口にした。テイクアウトもできるので──飲みながら歩く人の方が多いのだ──俺はさらに1杯をテイクアウトして時々口にしている。

「・・・確かに酔っているようには見えないが」

俺は酒を飲んでも顔色は変わらない。家系的に酒に強いようで、飲むはたからどんどんと分解されていくらしく、我が家では水とかわらない感覚になっている。父を初め兄達は付き合いで飲酒する機会も多いので、この体質はとてもありがたがっている。が、やはりよほど空腹の場合や、体調が悪い時にはやっと酔っているかも?という状態になるらしい。(残念ながら俺は未経験。次兄が一度体験したと言っていた)

ただ酒の味は好きなので、酔いとは別のところで機嫌は良くなるのは自覚済みだ。

普通に足を進める俺を見て本当に大丈夫と踏んだらしい。

「なぁ、あれを見てなにか得るものがあったのか?」とハロルドが話題を変えてきた。

「あれ?」

「南門だ」

「ああ・・・」

俺は頭の中で、比較しスケッチした図柄を思い返しながら返事をした。

「写真なり、図版なりがたくさんあるだろう。お前のところなら、かなり詳細のもあるはずだ」

「うん。そうだね。細っか~い解説付きのもあるなぁ」

「だろう。実際、他の面子は来ないじゃないか」

「うん。まぁ、それは細かい専攻の差ってのもあるんだけど」

俺は考古学でも、文字の専攻だ。壁画を読み解くのがメインと言っても良いだろう。個人的には神々を称え、王を称えるような文面より個人を感じるものが読んでみたいのだが、時代がそれを許してくれない。当時は個人的なものなど残すのはできないくらい、文字というものも貴重だったのだから。

「・・・写真だけじゃなくて、その場の雰囲気?ってのも大事だしさ」

センセイに言われ実物を目にするようになって以来、はかどり方が違うのも事実だ。

「そうか」

ハロルドが頷くのを見ながら「それにさ、やっぱり今日実物を見て確信したよ」と続ける。

「確信?」

「ああ、神殿・・・もしくは神殿とオアシスの間に絶対文字が残るところがあるって」

俺は目に力をこめた。

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