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大通りの両側はテントが張られ露天商が出て市場風になっている。実はその先、店舗の方へと足を進めればがらりと現代風になるのだとハロルドが教えてくれた。
ここのオアシスは今ではちょっとした観光地になっているらしい。興味がない俺は観光については調べていなかったので「へぇぇ」と感心するばかりだ。だが、露天部分はそんな観光地っぽくなく売られているものも手軽だ。歩きながら食べたり飲んだりできるものもいろいろと売られている。
色合いが気になって覗き込んだ飲み物は酒だった。
「飲んでいくかい?」と店のオヤジの言葉に「帰りに寄る」なんて返事をするもの楽しい。
「・・・飲めるのか?」
ハロルドが意外そうな声で聞いてくる。
「ああ。強いよ?」
にやりと笑えば「チビなのに」とまじまじと見られる。
「チビってなんだよ」バシバシとハロルドの背を叩く。「ははっ」と笑い声を上げるのに「びっくりするほど飲めるんだぞ~」と胸を張ればさらに笑われた。
小さな通りを左に折れる。
一本入るだけで、喧騒が止んだかのように静かになるのにびっくりだ。南側は背の低い建物が多い。それでも俺達が進む通りは家の陰になっていて、直射日光が当たらない通路は少しだけ涼しく感じた。入った途端にとても暗く感じたが、目が慣れてくると洗濯物が干されていたり、花が飾られていたりと生活観があちこちに見て取られる。クスコスなどの昔ながらの生地の服は見当たらなくて、やはり今の服がぶら下がっているのが少しだけ寂しい気がした。
と、今度は右手へと折れた。数歩進むと、陽がさしてきて。俺は腕を持ち上げ影を作った。家の壁が途切れたと思ったらもうそこは砂が広がっていた。
それでも、初めのころは大き目の土くれもある。が、先に進めばそんなものもなくなりさらさらの砂になる。
左右を見渡すと左手に腰より低い位置にいくつかの塊が見える。
「それだ」
俺はハロルドの顔を見上げた。そう言ってハロルドが頷いた。




